気になってはいた作品です。今日観に行って、想像以上の衝撃で観終わった後のどっと疲れが襲ったような感覚に、確かにこの作品が注目されたのは頷けるなって思いました。
自分の平凡な中学生活からは想像できない生徒たちの過激な発言や行動に、恐怖と驚愕を覚えました。ただ、フィクションでありながら現実世界でも似通ったことは起こりえるし、実際起こっているかもしれないと考えると、背筋が凍るような思いです。人間の脳がここまで残酷になりきれるんだということは正直考えたくもないです。
この作品を観て、ふと、こんな映画を公開するのは果たしていいことなのか、っていうのは感じました。勿論正論もあるけれど正しいとは言い難い場面も多々あって、受け取る人に何を植えつけるか分からない恐さを与える作品でもある気がします。こういう映画を公開するっていうのは一種の賭けにも思います。
松たか子演じる森口先生は、淡々としてるけど鋭利な口調から究極の怨みが感じ取れて、逆に犯人生徒の方は狂気的なアクションが多く、双方の淡々とした冷酷さ、狂気的な冷酷さの絡み合いが想像を絶する怖さを生みだします。
松たか子役よりも、生徒や犯人の親などの事件を取り囲む登場人物達の心理を色々と想像させられたかな。たとえば、犯人に対し異物を排除するように「人殺し」と罵声を浴びせていながら、自らも楽しんで”虐め”を遂行するクラスメイト達の心理は、現在の社会にも通ずるものがあるんじゃないかと思いますし、そこに矛盾を感じなくなったら「いけないな」っていう焦燥を抱くべきでしょうね。
一つの事件が発端になり、多くの歪んだ愛情が絡み合い、一瞬にして全てが壊れていく過程をずっと見ているのは残酷で辛いものがあったけど、それでも目を離させないという観客を取りこんでしまうとてつもない威力があり、そういう力強さに関しては完全に感服します。
ラストで犯人役の一人が泣きながら崩れ落ちて、最後の最後に訪れた何かを悟ったようなおぼろげな表情で、ちょっとだけ彼が、（母親以外に対し）命の重さを目の当たりにして人間味をようやく少し取り戻したような気がして安堵しましたが、やっぱりモヤモヤ～は残りますね。事件があそこまで起こってしまってからでは、拭いきれないものがあります。
「楽しかったよ」っていうのは絶対に違うし、「良い作品だったよ」とも勧められませんが・・・それなりの覚悟を持った上で「観て考えて欲しい」って人に言うべき価値のある作品です。
こんな衝撃的な作品、久々に観ました。観たい人は、この作品を通して人間の強さと弱さが併せ持つ愛情と狂気の世界に触れてきてください。
ていうか、シビアな作品を観ると評論的な感想になっちゃうなぁ……
あ！！！
つよぽん、誕生日おめでとう＾＾