夜空の銃弾(プロローグ) | sample1280のブログ

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                                   これは葛藤の時代を生き抜いた1兵士の記録である。

 

 

1956年、日々奴隷のように物品を運ぶだけの民のみで構成されたフラギリス軍と、この世界を支配する王家、富裕民、及びフラギリスを裏切り富裕民の下で働く者たちで構成されたフィース軍との対立は、正に佳境を迎えていた。

 

数でも兵器でも及ばないフラギリス軍が何故何10年もの間戦い続ける事が出来たのか。

生まれたその瞬間から決定される身分、職業、そして運命までも。昨日までの仲間が明日の裏切り者へと変わる瞬間。権力を振りかざし、質の悪い人間をフラギリスへと排除していく王家。普通、王家の人間といえば、それぞれの称号を示す何かしらの物を身に付けていそうだが彼等は象徴的な物は何も身に付けようとしない。王は決して王冠を被らない。溢れんばかりの自信、知性に富み、無意識に耳を傾けてしまう演説、そして何よりも圧倒的な威圧感。彼の体現する全てが大衆に王である事を知らしめているのであり、そんな彼に王冠という象徴は必要ないのだ。

 

「王たる所以は我であれ」

 

それが彼の信念であり、他の王族達もこれに従った。そんな王より選ばれし一部のエリート達は富を手にし、豊かな生活を送っていた。不平等、怒り、裏切り、憎しみ、これらがフラギリス軍の戦争への起爆剤であり、同時に最強の兵器だったに違いない。こうして30億のフラギリス軍と90億のフィース軍との何十年にも渡る血戦は始まる。

 

フラギリス軍が寄せ集めの知識でしたのが、致死量の電流を焦点に向かって流す事の出来る拳銃型の兵器でコックスと名付けた。持ち手は黒色のゴムで覆わていて、コックスの側面から兵士が背負うバックパックへとコードが繋がれ、電気を補給する。コックスで1人を焼き焦がしていくフラギリス軍に対し、1度の発砲で何十本もの鉄線を突き刺し雷の発生原理を利用した電撃で何十人もの兵士の息の根を止めていくフィース軍。圧倒的不利にも関わらず、フラギリス軍の兵士は王の首を取る一心で向かい来る鉄線にも屈せず戦った。

 

そして、誰であったか判別も出来ない程に焼き焦げ、次々に死んでいった。戦争の現状は掲示板で随時フラギリス市民に伝えられ、ある者は夫や息子の安否を心配し泣き叫び、ある者は勝利を諦め、またある者は神に祈りを捧げた。新たな掲示が貼られる度に、市民の溜息や叫び声が増えていった。

 

だがこれだけは明記しよう。勝利を収めたのはフラギリスだった。20何億年もの焼き焦げた兵士は勝利の一片となり巨大な花を咲かせたのだった。

 

 

ここに我が軍の戦歴と勇敢なるフラギリス兵の名誉の死を讃えたい。

 

 

                         

 

 

                                                              フラギリス軍総司令官 フロント・ドロ