はじめに
政府というもののあり方は国によって様々ですよね。アメリカなどでは国土が広いこともあり、日本とは違い地方ごとに地方政府と呼ばれるものを設けています。そしてそれら地方政府一つ一つが国家レベルの権限を有しているのです。対して日本の場合、政府と呼ばれるものは中央政府のみです。これらは我々が目にする国会議事堂に集まる人々、場所を指すわけです。
1認識と権限
今回は中央政府というものを説明するのにアメリカの中央政府を例に挙げたいと思います。アメリカの中央政府の設立は1776年頃にまで遡るのですが、この頃既に大陸会議が植民地に対して
「それぞれの構成員の幸福と安全をもたらすために最も適した」
新政府を形成することを勧告する決議を採択していたのです。
同じ時期に、一部の州に於いては既に政府を形成しており、独立宣言の起草後1年以内に、3つの州を除くすべての州が憲法を起草していたとされています。これらの新憲法は主に、民主主義の影響を強く受けていました。
しかし、米国が元々英国の植民地だったこともあって、その体験と習慣が根幹には据えられていた、という特徴もあります。こういった背景もあり、植民地であった時代からの劇的な変化、断絶というのは叶いませんでしたが、全てがそうであったというわけではなく、何れの憲法でも啓蒙主義思想を持つ思想家の理想である共和主義の精神がしっかりと根付いていました。
2目標設定
米国が現在でも自由の国と評されるように、その目標も自由というものを積極的に求める内容が目立っていました。言論、集会、嘆願などの自由といったものを憲法に加えたのがその代表です。他にも州ごとの憲法(州憲法)には武器を持つ権利、住居不可侵の権利、法の下での平等な保護を受ける権利などが含まれているのが大半でした。
また、これは日本においても同じなのですが、行政、立法、司法の三部門からなる政府組織を設けることで、相互に抑制と均衡が保たれるようにする制度を設けたのです。所謂三権分立というものであり、権力の乱用、偏りを防ぐ効果を期待しています。
これらの制度に加え、その機能を盤石なものにするために
「この憲法と、これに準拠して制定される合衆国の法律、および合衆国の権限をもって既に締結された、或いは将来締結されるすべての条約は国の最高の法規である。これによって各州の裁判官は、各州憲法、または州法の中に反対の規定がある場合でも、これに拘束される。」
と定めました。
3手段の選択
現代に於いて政府の有効性は大幅に縮小されています。そんな現代に於いて国際問題を支配しているのは国籍を持たない金融であるという考え方が強まっています。そうでなければ投資銀行、ベンチャー投資家、自由放任主義の経済専門家であるという考え方が非常に多くなってきているでしょう。
これが何を意味しているのかというと、全体主義的な国家は現在では、あまり機能しないということです。米国の保守派も「大きな政府」は必要のないものであり、さして注意を払う必要もないという考え方が大半を占めています。
4どのような効果を目指すか
ここからは中央政府の役割をわかりやすく書くために、日本政府を例に挙げていきたいと思います。他国の場合も大半がそうであるように、日本の政府も政権を獲得すると、所謂マニフェストという形で民間に公表していますね。
過去に民主党が政権を獲得した際にも機構改革案を出しています。その際に政府が公表していた目指すものは国家の将来構想や予算の骨格を策定する首相直属の「国家戦略局」及び少数の閣僚による「閣僚委員会」を設けて政治主導の強化を試みる、というものでした。この他にも
・外交を含めた国家戦略を策定する他、財務省が行う予算編成の前段階として国家戦略に沿った予算の骨格をまとめる。
・現在の次官会議は廃止しないが「閣議の事前調整としての会議は行わない」また、機能も見直す必要性がある。
・行政全般を見直して、無駄や不正を洗い出す「行政刷新新会議」を創設する。
などの機構改革案を出しました。これらは日本における、中央政府が目指すものの一例ですが、これは各国の経済状況、理想的な経済環境、生活水準などによって当然変わってくるものだと思います。
故に、中央政府が一概に何を求め、何を目指しているのかを説明するのは非常に困難なことではあるのですが、端的に纏めてしまえば、中央政府が目指すものは国民の生活水準の向上、及び、国家の安定なのです。「目指すべきものは」とも言えますね。
5問題点
最後に日本の中央政府における問題点を挙げます。
その一つに税金の徴収方法が一つ挙げられます。我が国の税収の40%は地方で徴税され、60%は国税とされて中央政府が徴税します。しかし、国税として徴税された6割の税金のうち、2割は地方交付金交付税という形などで再分配されることになります。実質、地方が徴税する4割の税収だけでは、地方の公共サービスを十分に設置することができず、資源再分配の機能を果たすことができない、ということになります。それ故に国税に頼らざるを得ない状況を生んでいるのです。
こうしたヒエラルキーが生まれてしまうことにより、必然的に中央と地方の間に権力的な格差が生まれてしまうことは、我が国の深刻な問題点です。
これに対して、解決案の一つに現在は道州制などの案も提示されていますが、実現までにはまだ時間がかかりそうだというのが現状ですね。
この記事を踏まえた上で、次回はもう少し深く解説していきたいと思います。