日本ではファイザー社のワクチンの医療従事者への接種が始まりましたが、一つのネックがマイナス70以下のフリーザーでの保存です。しかし、モデルナ社の同じmRNAによるワクチンはマイナス20℃での保存が有効で、これならどこにでもあるフリーザーでの保存が可能です。また、解凍後もファイザー社のワクチンは2~8℃の冷蔵庫で5日間までの保存に対して、モデルナ社のワクチンは30日1カ月の保存が可能です。日本で一般の人へのワクチン接種が始まれば、この違いはとても大きい。

どうして両者には大きな違いがあるのか、日刊ゲンダイでのコメントを以下に引用します。

 

 

米モデルナの新ワクチンが画期的なワケ 元WHO専門委が解説

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「えっ、またワクチン?」とビックリした人もいるだろう。米国のモデルナ社が16日、開発中の新型コロナワクチンが最終治験で94.5%の有効性が得られたと発表した。
 コロナのワクチンといえば、1週間前に米ファイザー社が有効性90%の成功を発表したばかり。そこに新たなワクチンの登場だ。

 モデルナもファイザーも「mRNA」という成分を使う点では原理は同じだが、保存方法が大きく違う。ファイザーのワクチンはマイナス70度以下の超冷凍で保存しなければならないというネックがあったが、モデルナはマイナス20度で済む。しかもファイザーは2~8度の冷蔵庫での保存期間が5日間が限度だったが、モデルナは30日間と6倍の長さだ。
「モデルナのワクチンは画期的といえます」と言うのはハーバード大学院卒で医学博士・作家の左門新氏(元WHO専門委員)だ。
「マイナス20度というのは家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度と同じです。マイナス70度の超冷凍保存ができるフリーザーは大学の研究室などの限られたところにしかありませんが、冷凍室付きの冷蔵庫はどこにでもある。つまりモデルナのワクチンは保存と輸送が簡単になった上に保存期間が延びて、大幅に使い勝手が良くなったわけです。凍ったワクチンを冷蔵室に移し、1日もあれば液体に戻して注射することができます」
 mRNAは唾液などにもある酵素で簡単に分解される脆弱な物質。だから酵素の働きが弱まるマイナス70度での超冷凍保存が必要だ。

 一方、こうした酵素の動きを制御する薬品も開発されている。この種の薬品を使えば、超冷凍でなくてもmRNAの効力維持が可能だ。「モデルナはこの種の薬品を使ったのかもしれない」と左門氏は推測する。
「ただし、モデルナが治験した人数はまだ3万人です。ワクチンは100万人に投与して数人に重い副障害が出ることもあります。この点から同社のワクチンの安全性は未知数といえるでしょう」(左門新氏)
 とはいえ家庭用冷蔵庫でも保存可能とは大きな進歩。たった1週間で大きな光明が見えてきた。