深呼吸の必要 緑の中の再生のドラマ | 星空シアター

深呼吸の必要 緑の中の再生のドラマ

バンダイビジュアル
深呼吸の必要 (初回限定版)

◇レンタルDVDにて鑑賞。

◇篠原哲雄監督の原点は,緑の中の再生のドラマにあることを確認させられる。「月とキャベツ」でも山崎まさよしが育てるキャベツの緑はまぶしく,この映画の色の印象として強く残っている。本作「深呼吸の必要」でも同様であり,より一層のどこまでも続くサトウキビの緑がまぶしい。


◇それぞれに傷をもち,そこから逃れるように集まった5人の男女。明確には,子供を見送る事に絶望した小児科医,挫折した元甲子園球児,リストカットのあとがある高校生の3人が深く傷を負っていることが示される。主人公の香里奈と不満ばかりのギャルの絶望は語られない。全員が全員不幸のどん底というのでないのが,逆にリアリティを感じる。とはいえ,この二人も何かから逃れてきたことには変わりはない。


◇彼らが,沖縄の小島のオジイとオバアのもとで,労働と通じて,そして沖縄の自然に抱かれて,緑の中でそれぞれが再生していく物語である。少ない台詞,色恋がからんでこない,いわば淡々とした労働風景を丹念に繊細に描くことで,いつも何かに追われているようにあくせく働く自分に,「深呼吸の必要」を感じさせてくれる。


◇日々走り,そして疲れている我々は,ちょっと立ち止まり,深呼吸をして「なんくるないさあ(なんてことないさ,どうにかなるよ)」ってつぶやくことで,少し余裕をとりもどせるんじゃないだろうか。そう思わせてくれる癒しの映画である。


◇長澤まさみはほとんど台詞が無く鬱々とした女子高生を好演。終盤の笑顔がすてきである。