elephant RPG的視点
◆Harinezumiさんの「命がけおすすめ」に触発されて,リクエストしたレンタルDVDにて視聴。 ◆コロンバイン高校での銃乱射事件をモチーフにした作品である。終末の銃乱射以前には,ストーリーはなく,高校生たちの普通の日常が淡々とつづられる。
◆アル中の父親に手を焼いているジョン。写真部だろうか,さまざまな対象をカメラに写しては,自分で現像しているイーライ。あけすけに「だっさーい」と罵られるミッシェル。いつもべったり3人組のジョーダン・ニコル・ブリタニー。ジョンのガールフレンドで,異性・同性愛会(?)で意見交換をするアケイディア・・・。
◆特筆すべきは,そのカメラ視点。カメラは,高校生の後をついて,ハイスクールの中をふわふわと移動する。画面には追いかける生徒の後頭部が映る。音楽はなく,その場その場の音,たとえばロビーに流れるライトクラシックやフルートを練習する音,カフェテリアでの歓声などなどがまさにBGMとなる。これは,RPGゲームの主人公のような視点だ。これにより観る者は自分がハイスクールの中を漂っているような感覚をもつ。ハイスクールの中は掃除がゆきとどき,廊下も実に広い。設備も充実しており,学生たちも活気に満ちていて自由な雰囲気を満喫できる。
◆メイキングによると,台詞は生徒たちのアドリブだそうだ。ストーリー展開がないので,それで可能なわけだ。おもしろい着想である。
◆ある事件がおこるまでの普通の日常を淡々と描くことで,その後に起こる惨劇との対比が鮮明にされる。これと同じ着想の邦画がある。黒木和男の「TOMMOROW明日」である。長崎原爆の落とされる前の日のいくつかの家族の生活が,普段の生活が淡々と描かれる。彼らの明日には死が待っているというのに。観る者は,明日起こることも知っているから,この普通の日常を必死に生きている登場人物があわれでしかたない気持ちになるのだ。
◆悲劇は普通の日常を引き裂いて,突然に迫りくる。しかし,予想することはできない。主人公たちのように,その日の日常を普通に必死で生きていくしかない。
◆暗示:ヒトラー,ベートーベンの「月光」ソナタ,「エリーゼのために」