ドーン・オブ・ザ・デッド (2004) 全速力ゾンビ
◆レンタルDVDで視聴。ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」のリメイクであり,正直それほど,期待はしていなかった。ところが・・・。◆冒頭から終末まで,まったくゆるみのない,緊張感あふれる作品に結実している。元の「ゾンビ」はLDで所有しているほど,昔から大好きな作品であった。本作はそのリメイクとして徹底したエンタティメント性を追求し,実に楽しめる逸品である。
◆主人公アナは,突然の近所の女の子のゾンビ化,そして愛する夫のゾンビ化をも乗り越えてショッピングモールへ避難。そこで,これまでの悲劇を改めてかみしめ,一瞬悲嘆に暮れるが,後は戦う気丈な女として描かれる。人間の生き抜くための本能を越えて,その気高い力強さには感動する。
◆愛する人がゾンビ化して襲ってくるという地獄が次々に描かれるが,中でも妊婦である妻を守ろうとする黒人男性の悲劇は心に突き刺さる。ベビーゾンビは,予想はしていてもいただけない。夢に出そうだ。
◆文字で連絡を取り合い,友情を結んでいく黒人警官と銃砲店主アンディもつらい悲劇である。「すまんな相棒」と引き金を引く悲しさ。このような一つ一つの悲劇のエピソードを,さらっと描いているのが,スピード感を落とさなかった理由だ。
◆スピード感を最も高めているのは,旧作「ゾンビ」との最大の違いでもある,全速力で追ってくる元気なゾンビたちだ。彼らは何もしゃべらないが(これはゾンビ3より退化。たしか,ゾンビ3では,知性を持つゾンビが出た),生きた人間を食う本能が全速力を生むのか。あるいは,ダン・オバノン解釈(「バタリアン」参照)のように,脳みそを食わねば苦痛が走るのか,それは定かでないが,とにかく元気がいい。元気がよすぎてゾンビらしくないともいえよう。しかし,そんなことは,後で振り返っておもうばかりで,鑑賞中は,そのスピード感に圧倒され続ける。
◆エンドタイトルが出ると,席を立つあるいはDVDをストップさせる方,要注意!エンドタイトルに結末が記されている。それも,船においてあったどうも8ミリキャメラのような主観映像で示されるのは,なんともすばらしきアイディア。
◆そういえば,この映画2004年公開だが,その画像はざらついており,70年代の劇場で観ている感覚を模しているようだ。その辺も計算尽くであろうが,そんなことはどうでもよい。とにかく映画に身を任せよう。とんでもない疾走感と終末感が結合した作品だ。

(改造バスと群がるゾンビたち。いいねえ。こわいねえ。)
◆評価☆☆☆☆