だれも知らない | 星空シアター

だれも知らない

◆いやあ久しぶりの小屋での観賞。うれしいなあ。シネコンでの見る映画の選択肢はいくつかあったが、「カンヌ」で最年少主演男優賞の彼の演技を観たくて、「だれも知らない」を選んだ。つくづく「賞」に弱いのだなあ。

◆時折流れるゴンチチのギターデュオのみの音楽は、映画の淡々とした雰囲気に磨きをかけてくれる。はじめ、あれ、この映画は音楽なしかな・・・って思っていたくらい。それくらい悲惨なネグレクト(養育放棄)の事実を淡々と映画はつづっていく。

◆兄のアキラが他に助けを求めないのは、「いっしょに暮らせなくなるから。前にそんなことがあったから」の一言で納得させられる。

◆どんなことがあっても、万引きだけはしなかったアキラのその道徳性を培ってきたものは何だったのだろう。学校に行っていないのだから、学校で学ぶものでなく、人間が本来持っている善意であるのだろう。学校に行っている子供の方が、万引きをしているのだから、学校の教育とは何だろうかと考えさせられてしまう。

◆だからこそ、そんなアキラが、ユキがたおれた時、薬屋でやむなく万引きするシーンには胸を打たれた。にぎりこぶしを流れる汗が、見事にアキラの苦しみを表現する。

◆ユキとの約束を守って、羽田に埋葬するシーンは実に美しいものだった。暗やみの中で、二人の輪かくだけが青白く浮かび上がり、表情は見えないけれど、悲しみの先のぼう然とした心情がひしひしと伝わってくる。

◆ほとんど救いのないこの映画は、それでも、たくましく生きていく子供たちの後ろ姿のストップモーションで終わる。大人の残酷さを浮き彫りにしながら、人はたくましく生きていくエネルギーがあることを伝えてくれるこのラストシーンは、唯一の救いである。

◆評価☆☆☆☆子供たちのすばらしい演技に。