十干の謎 ――乙2

サミー@ココヨミです。

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前回の記事はこちら。

こちらから孫引きする『滴天髄』を、『四柱推命大全』にある注釈を踏まえ、検討します。

懐丁抱丙。跨鳳乘猴。
丁を懐きて丙を抱けば、鳳（おおとり）（酉）にまたがり、猴（さる）（申）に乗るべし。

漢字・語句

懐：「懐柔」という言葉もありますから、意味自体は「抱」と同じでしょう。「ふところ。胸のあたりの部分。」との意味合いもありますから、ここでは〈赤ん坊を抱くように胸元で抱く〉との意味合いでしょう。
抱：実際には旧字体ですが、Unicodeには該当するフォントがないようです。該当する活字の画像自体はこちらで確認できます。意味合いは、「だく。いだく。かかえる。両手でだきかかえる。」でしょう。
- 区別：「懐」は抱きかかえる対象が、胸元に収まる程度に小さいのに対して、「抱」は抱きかかえる対象がかなり大きく、両手を回しても、両手の指先が触れない場合もあるのでは？
鳳：「おおとり。めでたいときに現れるとされる伝説上の鳥。鳳凰（ほうおう）。雄を「鳳」雌を「凰」という。」
- 酉の言い替えとして使われているだけ？
猴：「動物の名。さる。ましら。」
- 申の言い替えとして使われているだけ？

主語の乙が省略されているとすれば、〈乙は丁を胸に抱き、丙を抱える〉、〈乙は酉に跨り、申に乗る〉と、文字通りに解釈可能。

前半は十干同士の、後半は十二支との関係なので、異なる側面から乙について述べているようです。

前半。甲、乙、丙、丁、との順序に従えば、乙に続く丙は、既にかなり大きく成長しているので（あるいは陽なので？）、乙は丁を両手で抱えるのに対して、丁はまだ小さいので（あるいは陰なので？）、乙は丁を胸に抱きかかえている、ということでしょう。

後半。十干と十二支との関係と言えば、十干十二支や蔵干でしょうか？　乙と酉ならどちらも陰なので「乙酉」と揃います。対して申は陽なので、十干十二支にはなりません。となると、残るは蔵干。

酉の蔵干は庚と辛。乙は含まれません(T_T)　申だと戊、壬、庚。やはり乙は含まれません。

その上で、そもそも宜忌の話のはず。どう考えましょう？

天干に丙や丁が透干（とうかん）すれば、猴（さる）（申）や鳳（おおとり）（酉）の金旺の地支を怕（おそ）れず。

＊透干‥地支の根の五行と同じ五行を持つ十干が天干中にあること。例えば地支に午（火）があって天干に丙（火）がある場合、「丙は透干している」という。

まずは透干から。要は、天干と地支が比和の場合、「天干は透干している」というようです。

鐘は、「天干に丙や丁が透干すれば」と言っているので、命式の天干の〈列に〉、十干が透干することを言うようです。

さて、これらは火の比和です。本来、火剋金となるので火が比和で強化されれば、ますます金は火によって剋されることになります。

ところが鐘は、「金旺の地支を怕（おそ）れず」としています。

金の旺は酉（仲秋）ですから、酉の金気は相当強力です。すると、火がそんなに強くない場合は、火剋金は反剋して、金となりそうです。

だとして、申は？　孟秋ですから金ですが、三合では水の生。金旺とはいえません。

やはり、蔵干でしょうか？

酉の蔵干は、庚（陽の金）と辛（陰の金）。申には庚（陽の金）が含まれます。「金旺」との言い方は謎ですが、申と酉の蔵干には金が含まれます。すると、この金を、〈何が〉恐れなくてよいのでしょうか？

酉は、最初の10日が庚、後ろの20日が辛。申は、後ろの16日が庚です。

「天干に丙や丁が透干す」る＝地支が火となり、十干十二支が火の比和となる場合を考えます。

丙は陽の火、地支で陽の火といえば、午。すると、丙午、ですね。

丁は陰の火、地支で陰の火は、巳と未。すると、丁巳と丁未ですね。

『滴天髄』では、「鳳（おおとり）（酉）にまたがり、猴（さる）（申）に乗るべし。」となっているなら、こう捉えては？　乙を主語とは捉えられなくなりますが……。

命式に、丙午、丁巳、丁未のある人は
酉の月の全日、申の月の後半16日は金に当たる期間を恐なくて良い
- むしろ、酉に跨り、申に乗るべし。火が剋すべき金は、確かに火の抵抗ではあっても、その火が比和で強力なので、ガンガン剋してしまえば良い！

だとして、これ、乙とどう関係するのでしょう？？

『四柱推命大全』を五分割くらいにして、コメンタールにした本を、誰か出してくれないかなぁ？？(T_T)

乙との関係は謎ですが、宜忌の観点でまとめるなら、こうなるでしょうか？

酉の月の全日、申の月の後半16日は金に当たる期間。この期間は、命式に火の比和がある人には、少なくとも忌＝凶ではない。
- 裏を返すと、命式に火の比和がない人には、この期間は凶。

金は声訓で禁、制約の意味合いがあります。

火の比和には、金の制約は問題にならない、のかな？

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サミー
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