こんにちは
今宵は仲秋の名月ですね。
お城の近くに住む娘が「今日はライトアップが控えめ…なんでだろう?」と言ってました。スマホをずっと見てるくせにこんな情報はキャッチしてないことに呆れるやら感心するやらの今日この頃です
本日はスピルバーグとトム・ハンクスがまたまたタッグを組んだこの作品を。
2015年公開のアメリカ映画
冷戦真っ只中のアメリカ。保険専門弁護士のドノバン(トム・ハンクス)はソ連のスパイとして逮捕されたアベル(マーク・ライランス)の弁護を引き受ける羽目になります。
国中の目が反共に向いている中での弁護に家族は様々な嫌がらせを受けますが、ドノバンは真摯に役目に取り組み、死刑ではなく懲役刑を勝ち取ります。
その中でドノバンはアベルの真面目で真摯な人柄に惹かれ二人の間に奇妙な友情が芽生えますが…
スピルバーグが実話を元に、困難な任務に真摯に立ち向かった弁護士の姿を描きます。
鑑賞しながら先日ご紹介した「寒い国から帰ったスパイ」と「トランボ」を思い出しました。
不毛な国同士の争いに巻き込まれた善意の人々の末路を「寒い国から…」はシニカルに絶望的に描いていましたが、こちらはスピルバークらしく希望と可能性を示唆しています。
ドノバンはその後、偵察中に墜落してソ連の捕虜となったパイロットとアベルの交換の「交渉人」もする羽目になります。ついでに東ドイツで投獄された学生も一緒に交換しようと画策します。
国家の思惑に振り回されながらも3人の人間の命を救うべく奮闘するドノバンの姿が感動を誘いますね。
交渉に赴いたベルリンの様子も興味深いですね。まさに「壁」が作られようとしている時で、敗戦の痛手を引きずりながらまたもや新たな争いに投じられた国の悲劇が胸に迫ります。
ドノバンもコートは追剝ぎされるわ暖房は効かないわで風邪を引いたままでの交渉を余儀なくされます。
そしてグリーニッケ橋での捕虜の交換へ。タイトルの「ブリッジ」の意味が様々に交錯する場面ですね。
映画の中で最も印象に残ったシーンです。アメリカで逮捕されてしまった自分が祖国に受け入れられるかどうかは迎える側の行動でわかると言っていたアベルに対して政府側がとった態度とは…ドノバンの表情と共に余韻が残るシーンでしたね。
それにしてもアメリカという国はイデオロギーの違う人々に厳しい国ですねぇ。「トランボ」はマイルドな作品でしたがヒステリックな反共思想を描いていましたし、近頃のニュースでは人種差別に抗議して国家斉唱のときに起立しなかったNFL選手に対するファンの怒りがすごかったですね。
ユニフォームまで燃やしてましたから…
でもどちらも迎合することなく自分の主張を貫くことで理解者を広げていきました。ドノバンの場合は国の「ヒーロー」を連れ帰ったことで喝采されるのですが…複雑な心境だったでしょうね。
大統領選も今は熱に浮かされたようになっていますが…どういう結果になるのでしょうかね。
脚本はなんとコーエン兄弟!!!いつもは一癖ある作品になりますが、今回は暗く重い話に絶妙にユーモアを交えてハンクスとライランスの魅力を引き立てました。さすがですね。
特にライランスは老スパイの悲哀をユーモアを交えながら飄々と演じて秀逸でした。名演技ですね。BFJの巨人さんを演じているとのことですが…
コーエン兄弟とスピルバーグの作品ってあったっけ?調べてみなくては…と思いながら★★★★☆
たぶん調べないだろうなぁ…
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