第12話 「戦闘スーツのフィット感」の巻
第二回作戦会議。アインシュタインが大きな袋を抱えて現れた。
「今日は諸君に嬉しい知らせがある。諸君が首を長くして待っていた戦闘スーツが、ついに出来上がった!今日はそれを見てもらおうと思う。」
アインシュタインは誇らしげな顔で袋を開ける。そして山田が衣装を取り出して皆に見せた。
「まず、リーダーである『グレンジャーレッド』のスーツがこれだ!」
それは、子供の頃にテレビで見たのとそっくりだった。妙に光沢のある赤い生地で作られた全身タイツ。腰には白いベルト。胸元にはワンポイントの刺繍がほどこされいる。稲妻のようなマークの真ん中に青い糸で「G」と縫いつけてあった。あんなの着たら恥ずかしいだろうなぁ、とため息が出た。
「これを沢田に着てもらう。」
「えぇっ!?」
「おめでとう!頑張ってくれたまえ!」
アインシュタインは強引に、僕にその衣装を渡した。
「そして、これが『グレンジャーブルー』。そして『グレンジャーグリーン』、『グレンジャーイエロー』、最後に『グレンジャーホワイト』だ。デザインは五着とも同じ。胸元の刺繍の『G』は、もちろんグレンジャーの『G』だ。そして色なんだが、ブルーは藤原、グリーンは野口、イエローは柿本、ホワイトは松井にやってもらう。頑張ってくれたまえ。」
それぞれに衣装が渡された。藤原や松井が歓声を上げる。
「全員統一して、白い長靴と白い手袋を着用する。ヘルメットも今から配る。サイズが合ってるか、確認してほしい。」
試しに着てみた。ピッタリだった。すごく着心地の良いことに驚いた。肌の滑りは良いし、通気性も優れていて暑苦しくない。そして何より、動きやすいのだ。デザインや、こういう服を作ること、作る人間はひどく問題ありだが、運動着として評価するならこの衣装は最高だと思った。
「いいなあ、これ…。」
思わずつぶやいてしまったのを、アインシュタインは聞き逃さなかった。
「気に入ってくれたかい。実は、このスーツは私が作ったんだ。手縫いでね。」
「すごい…。」
裁縫が趣味と言うだけはあった。手縫いとは思えないほど、縫目は細かくそろっていた。
「嬉しいよ。君もやっと、我々と一緒に戦う覚悟ができたようだね。」
アインシュタインがにやにやして言う。
「やめてくれ!俺はお前らとは違うんだ!こんな所、すぐに出ていってやる!」
「照れるなよ沢田。本当は、ちょっと楽しそうだなあとか、思ってるんだろ?」
「そうっすよ。一体何が不満なんすか?」
「だって、こんなの普通じゃないだろ!」
僕がそう叫ぶと、皆の動きが止まった。少しは応えたかと思ったが、そうではなかった。
「当たり前だ。我々は一般庶民を守る戦士、ちびっこが憧れる『ヒーロー』だ。普通なわけないじゃないか。ほら、こんな素敵なスーツを着て、平和のために戦えるんだ!そこらへんの一般庶民とは、まるっきり訳が違うよなあ。はっはっは。」
そうだよなあ、と笑いが起こる。僕は頭痛を感じて、よろよろと部屋を出た。