「あの…レカルさん、私…
嘘だったんです」
嘘だったんです」
「え…?」
「嘘をついていたんです。本当に…本当に…すみません!!」
満天の星空の下、風でそよぐ笹の葉と短冊…
フエナの黄緑の髪が、笹の葉のように風で揺れている。
レカルの金の1つ縛りの髪は、空の月明かりに濡れていた。
レカルの金の1つ縛りの髪は、空の月明かりに濡れていた。
二人の間に、沈黙の時間が流れ…
金の髪がフエナを見直す。
フエナは、怒られると思い、目をふせた。
フエナは、怒られると思い、目をふせた。
そっ…
頭を撫でられた感覚。
「…え‥?」
「わかっていたよ‥」
レカルは、怒る様子もなく、フエナに語りかける。そして…
「気付くのが、遅くなってごめんな…」
レカルの指先は、フエナの頬を触れていた‥。
目が合った二人は、月明かりの下、静かに見つめ合う…
目が合った二人は、月明かりの下、静かに見つめ合う…
フエナは、いつものように学院に登校するために道を歩いていた。しかし、何か不思議な風が、フエナの耳元に囁いた時、道の途中で倒れてしまったのだ。
ちょうど、フエナを見掛けた雑貨屋のフェヴは、近くの自分の店で休ませてあげた。
その時、余りにも顔色が悪いフエナに、フェヴは心配そうに声をかけた。
すると‥フエナは、とても申し訳なさそうに呟いた。
その時、余りにも顔色が悪いフエナに、フェヴは心配そうに声をかけた。
すると‥フエナは、とても申し訳なさそうに呟いた。
「…夢を見ました。
それは、植物の季節からのお告げです‥。
『今宵、夜空に星の河が流れて通ります。
其を、町で笹に願い事を書いた短冊を下げて歓迎をしなさい。
そうしなければ、町の異なる属性たちが河の流星で…』」
フエナは、
この町の守り人。
季節の神からのメッセージを受け取ることができる存在。
お告げは、フェヴの相方である予言者の少女の役目であったが、現在は他の町へ行っていて、いなかった…。
それは、植物の季節からのお告げです‥。
『今宵、夜空に星の河が流れて通ります。
其を、町で笹に願い事を書いた短冊を下げて歓迎をしなさい。
そうしなければ、町の異なる属性たちが河の流星で…』」
フエナは、
この町の守り人。
季節の神からのメッセージを受け取ることができる存在。
お告げは、フェヴの相方である予言者の少女の役目であったが、現在は他の町へ行っていて、いなかった…。
フェヴは、フエナからのお告げをいち早く、フエナの守り人の仲間たちに知らせた。
フエナは植物の神、
フエナの妹であるマホナは、星の神、
隣近所の青年のレカルは、炎の神。
その青年の弟のセイヤは、水の神。
4人は幼な馴染みでもあり、守り人の仲間で、それぞれの神に支える者たち。
フエナの妹であるマホナは、星の神、
隣近所の青年のレカルは、炎の神。
その青年の弟のセイヤは、水の神。
4人は幼な馴染みでもあり、守り人の仲間で、それぞれの神に支える者たち。
レカルがメンバーの中で、一番年上だということもあり、リーダー的な役割をする。
「フエナが植物の神から受け取ったメッセージ。
それは、この指示された祭りを行わなければ、俺たちの異なる属性が共に生活できなくなるということだった。それは何が何でも避けなくてはいけない。
それは、この指示された祭りを行わなければ、俺たちの異なる属性が共に生活できなくなるということだった。それは何が何でも避けなくてはいけない。
みんな、協力してくれ。」
他の属性を受け入れることが困難な性質の炎属性の者たちは、今、こうして他の属性たちと問題なく過ごしているのも、炎属性の神子であるレカルが、他属性の仲間と仲良くしていてることが、大きく関わっている。このバランスが崩れた先に炎属性者たちによる他属性の拒絶があるのは言うまでもない‥。レカルは、仲間たちを大切にしている。その仲間が傷付く姿をみたくないのだ。「はい!」
挙手をしたのは、フエナの妹のマホナだ。
彼女は星属性を持っている。
彼女は星属性を持っている。
「あの、セイヤくんが、夏風邪で寝込んでます!」
セイヤは、水属性でありレカルの弟。かなり丈夫なタイプなのだが、今回は珍しくダウンしていた。
セイヤは、水属性でありレカルの弟。かなり丈夫なタイプなのだが、今回は珍しくダウンしていた。
「了解している。バカは風邪を引かないらしいから、バカではなかったということは認識済みだ。」
普段、真面目なことしか言わないレカルが真顔で、冗談を言うと納得してしまう(笑)
「…それでは、これからどうしましょうか‥?」
不安そうな感じを抱えたまま、フエナはレカルに訊ねる。
「いつもの使いぱしり(セイヤのコト)がいないのは、キツいが、なんとか俺たちで町中にこの祭りを広げよう。チラシは、マホナ、描けるな?」
お絵描きが趣味なマホナは喜んで、了解した。
そのあとすぐにイラストが出来上がり、そのチラシを配ったり、町中にはったり。レカルは、予言にあった笹を準備したり、フエナは短冊を配ることもできるようにたくさん作っていた。着々と、夜の祭りのために準備ができているにも関わらず、フエナの表情は暗い…
「フエナ、あと少しだな。心配するな、必ず間に合うから‥。」
レカルの優しい言葉に、いつもなら赤面して答えるフエナがとても静かだった。
そしてその夜がきた。
町中は、笹と短冊で溢れかえっている。準備は完璧だ。
町中は、笹と短冊で溢れかえっている。準備は完璧だ。
「これで星の河を問題なく歓迎できる。フエナ、安心していいんだぞ。」
まだ何故か不安そうなフエナを心配してレカルが声をかけた。
フエナは「そうですね‥」と小さく返事をしただけだ。
レカルは、不思議に思いつつ、1人、イベントに参加できないセイヤの元へ向かった。
「セイヤ、元気か?」
いつも通りアッサリした問いに、ちょっと腹立てながら、セイヤは答える。
「元気だったら寝てないし!
…それより、気になることがあるんだけど…」
…それより、気になることがあるんだけど…」
まだ、熱が下がりきっていない顔で、セイヤはレカルに一冊の本を差し出した。
それは、“星の河”に関する本だった。
それは、“星の河”に関する本だった。
夜も深まり、夜空の端から星がやってきた。
“星の河”だ。
“星の河”だ。
星は、流星よりもゆっくりと大河の流れのように町の空を通りすぎていく。
その頃、フエナは町の中央の広場の高台の上で祈っていた、願い事を書いた短冊を握り‥
短冊に書かれた文字が夜空の星のように輝いていた。
その頃、フエナは町の中央の広場の高台の上で祈っていた、願い事を書いた短冊を握り‥
短冊に書かれた文字が夜空の星のように輝いていた。
「…お願い‥星の河よ…
願いを聴いて…っ!!」
願いを聴いて…っ!!」
しかし、フエナの思いとは裏腹に、短冊の光は、空の河まで届いてはくれない…
星の河の最後尾が見え始め‥フエナは諦めかけていた‥すると、不意に、フエナの肩を支えるぬくもりを感じた。フエナが振り向くと、それは、レカルだった。
レカルは、フエナの肩を支え、優しく言った‥。
レカルは、フエナの肩を支え、優しく言った‥。
「1人でかかえ込まないで‥。人生を1人で変えるのは難しいけど、二人ならできる。
協力する、俺を信じてくれ‥。」
協力する、俺を信じてくれ‥。」
その言葉に、やっと不安が解けたのか、フエナはいつもの顔赤める、少女になっていた。
フエナは、焦りを捨てて、静かに祈った。肩をレカルに委ねて…
すると光は、細い金の糸となって空へ上り、星の河へ届いた。
星の河は、願い事を叶える証に、星のカケラをフエナの手のひらに届けた。短冊は消えていた……☆
星の河が過ぎ去った夜空の下、二人は広場で空を眺めていた…
フエナの瞳に溢れでそうな涙があった。
フエナは、意を決して告げる…
フエナは、意を決して告げる…
「嘘、だったんです‥」
フエナは混乱していた。私の嘘をわかっていたこと、そして謝ってくれたこと、その2つがどう繋がっているのか…
するとレカルが、少しだけ視線をそらして、話し始めた。
するとレカルが、少しだけ視線をそらして、話し始めた。
「セイヤが‥星の河についての本を見せてくれた。
その本には、星の河が通過する日、笹に願い事を短冊に書いてつるすと願いを叶えてくれるそうだ。
‥もし、大きな願い事をするためには、星の河に気付いてもらえるように、大規模な笹と短冊の準備が必要だという…
フエナ、お前は…」
その本には、星の河が通過する日、笹に願い事を短冊に書いてつるすと願いを叶えてくれるそうだ。
‥もし、大きな願い事をするためには、星の河に気付いてもらえるように、大規模な笹と短冊の準備が必要だという…
フエナ、お前は…」
レカルがフエナに視線を戻すと、フエナも目を伏せていた。
「そうです…私は、自分の願いを叶える為に、「この町に危機がやってくる」と嘘をつきました‥本当に自分勝手です…」
自分を責めるフエナをレカルは優しくなだめる‥
「そんなことはない‥
ティアルから聞いたんだ。
俺の事を想ってしたことなんだろう?」
ティアルから聞いたんだ。
俺の事を想ってしたことなんだろう?」
ティアルはこの町の新聞記者であり、人の心を視ることが者だ。ティアルは、この町の騒動を眺めてセイヤに星の本を渡し、レカルにフエナについて教えてくれたのだった。
フエナはその言葉に真っ赤になった。
フエナは、夢を見たのだ。あの意識を失った時に。その夢は、この町から炎属性の者たちが消えている夢だった。そう、いつも日に、レカルがいなかった。フエナにとって、どんなことよりも恐怖の出来事。そしてフエナは、その夢が本当になると直感したのだ。
フエナは、夢を見たのだ。あの意識を失った時に。その夢は、この町から炎属性の者たちが消えている夢だった。そう、いつも日に、レカルがいなかった。フエナにとって、どんなことよりも恐怖の出来事。そしてフエナは、その夢が本当になると直感したのだ。
「お前は、俺たちのこと‥俺のことを想って嘘をついてくれたんだ。だから、ありがとう…それから‥」
レカルは、真っ赤で硬直しているフエナの手を握った。そして静かにフエナを見つめながら、告げた。
「今度は、フエナを俺に守らせてくれないか?」
『…ずっと傍にいる為に…』
その優しい声は、フエナの心に響いた…フエナは、涙を溢す‥嬉しみの涙を…
「レカルさん‥私、レカルさんが…大好き‥です…ずっと…傍に居させて下さい…」
かすれかすれの声だったが、レカルにはちゃんと届いた。
レカルが、ゆっくりと頷いてくれた。
その様子に、ほっとしたフエナは、足の力が抜けて座り混んでしまう。
レカルが、ゆっくりと頷いてくれた。
その様子に、ほっとしたフエナは、足の力が抜けて座り混んでしまう。
「大丈夫か?フエナ;」
心配そうに覗きこむレカルの姿が、フエナにはいつも以上に温かく想えた………
やっと熱が下がり始めたばかりセイヤが、ベッドでゴロゴロしながら、窓際に座るティアルに声をかける。
「なんで、フエナの気持ちの手伝いしたんだよ?」
ティアルは死神だ。セイヤとしては、悩んでる姿を見てる方が好きなんじゃないか、と思っていた。
ティアルは死神だ。セイヤとしては、悩んでる姿を見てる方が好きなんじゃないか、と思っていた。
「何を言ッテル?
手伝ったつもりはナイ。バラしてやったんダヨ。
好きって想いを伝えナイデ、誰かの為に尽くシテルなんて、人間の癖に天使ミタイナコトしてるから、ムカついただケダ。」
手伝ったつもりはナイ。バラしてやったんダヨ。
好きって想いを伝えナイデ、誰かの為に尽くシテルなんて、人間の癖に天使ミタイナコトしてるから、ムカついただケダ。」
そう言うとティアルは窓を飛び立っていった。
「ふーん。」
セイヤはその去っていった空をしばらく眺めていた。
夜空の星の下、桃色の短冊が揺れる…
恋のはじまりの日*☆♪