諸君、私は漫画が好きだ!
ということで、漫画批評を自身の整理の意味合いも含めて行おうかなと思います。
シュトヘル 伊藤悠
13c初頭、モンゴル軍侵攻のさなかの西夏。
モンゴル軍に「悪霊(シュトヘル)」と呼ばれた女戦士と、モンゴル軍の配下であるツォグ族でありながら西夏文字に魅了され、その文字を命を懸けて守ろうとする少年の物語。
~以下ネタバレのオンパレードです~
はい、というわけで記念すべき第一弾は歴史学科(笑)にふさわしい歴史物の漫画でございます。
皇国の守護者(原作者と喧嘩して打ち切られたのはナイショ)をご存知の方はそちらのコミカライズ版をなさった作者さんですので、なじみがあるかもしれませんね。
いやー、久々に良作の予感、ビンビンしております。
=こっからあらすじです=
冒頭の説明を聞くと、舞台は完全に中世の東アジアだと思われがちなのですが・・・実は現代日本からストーリーは幕を開けます。
主人公の須藤は、楽器製作をしている親が蒸発中で、不登校気味の男子高校生。
彼は知らない戦場にいるという夢に悩まされ、そちらの世界に既に浸ってしまっています。
その彼の元に現れたのはスズキという女の子。
わぉ、なんと典型的なボーイ・ミーツ・ガール!!
彼女はなんと須藤くんの家に押しかけます。
そこで須藤くんが戯れで作ったある楽器の手に取ると、彼を導くような言葉を発します。
そして次の瞬間には、須藤くんはなんと800年以上前に処刑された女戦士、シュトヘルの身体に乗り移ってしまいました。
シュトヘル(須藤)が生き返って真っ先に目にしたのは、スズキさんにそっくりの少年ユルール。
彼からシュトヘルとの出会いや生き返るまでの経緯を聞き、須藤はシュトヘルとして13世紀の世界でユルールを守ろうと決意しました。
=あらすじがおわりました=
面白いです。
ユルールが西夏文字を守ろうとする理由、そしてシュトヘルが堕ちたところからまた人間らしさを取り戻すところが今のところは見所ですね。
特に、ユルールが自文化にない文字の尊さを認識し、それを命を懸けて伝えようとする場面では彼の聡明さとひたむきさに心打たれます。
人として生まれたならば、野獣のようにただ弱肉強食の世界で朽ちてゆくのではなく人が生きた証を残したいという彼の考えは、シュトヘルの心を融かすきっかけにもなります。
最新刊では大ハン(モンゴルの首領)がどうして西夏文字を滅しようとするのか、その答えも判明してますます面白くなりつつあります。
~ネタバレの嵐は通過しました~
いやー、疲れました。初めてでしたからね。