チューリップ赤あらすじチューリップ赤

 

京畿道サンポ市に生まれ育ち、現在も実家暮らしで往復4時間かけてソウルへ通勤する三兄妹。仲は良くもなく悪くもなく、平凡な毎日に嫌気がさしながらそれぞれ胸の内に抱えるものがある。一方、父親が経営するシンク工場では、ク氏という謎の男が働き始める……。

 

 

チューリップ紫キャストチューリップ紫

 

ヨム・ミジョン - キム・ジウォン(김지원)

ク・ジャギョン - ソン・ソック(손석구)

ヨム・ギジョン - イ・エル(이엘)

ヨム・チャンヒ - イ・ミンギ(이민기)

 

 

チューリップ黄感想などチューリップ黄

 

すごく良かった!何かしら感じるものがあるドラマだと思います。

 

このドラマは、一言でいうと、寄り添ってくれるようなドラマだと思いました。言葉のひとつひとつがスッと入り込んで、今まで何となく感じていたことを言葉にして答え合わせをしてくれる。そして時には助言のようにも感じる。
だからもしかしたら、底抜けに明るくて、常に前向きになれるような人には理解できなかったり、面白くない部分があるかもしれない。でも人には誰しも抱えているものがあると思うし、ひとつでも刺さるものがあるんじゃないかな。

私の場合は、ミジョンに共感できる部分が多くて、ドラマを観ながら「あぁ、こんな風に思うことは私だけじゃないんだ」と、どこか安心しました。

 

日々を生きるだけで重労働で、どうして生きなければならないのかがわからない。楽しいことや大切なものはあるけれど、それを引き換えにこの重い日々から解放されるなら、そうしたい。だけど、生きていることは事実だから、それを無理に終わらせようとは思わないし、それならば自分を追い立てながら生きる。

そしてミジョンは、今の平凡で窮屈な人生から解放されるために‟心から好きな人を作る“ということを実践します。

 

ただ上辺だけの好きではなく、その人が成功して飛び立とうとすれば喜んで送り出し、地べたを這うように落ちてしまっても決して恥じない。行動一つ一つに揺れることなく、ただただその人を好きになる。崇める。

 

そして、自らもその人に崇めてもらう。お互いを崇め合う。

 

確かに、誰かに無条件に崇めてもらう(好きになってもらう)って、満たされる気がする。ただ、それだけじゃ求めるだけになってしまうから、自分も崇める。相手も満たす。相手が自分の愛で満たされるのを見ると、またこちらも満たされると思う。

 

でも私はミジョンみたいには絶対できないな。もし同じ状況だったとしたら、私はきっとク氏にお酒を控えるように言うと思うし、ク氏が辛い時、適切な言葉をかけてあげられない。そう思うと、‟崇める“って結構難しいのかなと思います。

 

私はこのドラマで初めて‟추앙(崇める)“という韓国語を知ったんですが、作中でこれを言われたク氏も後でネットでその意味を調べてて、ちょっと面白かった。でもそうだよね、他人に「(私を)崇めて。」なんて、人生で言われることないもんね。

 

 

 

ク氏を救ったのはいつもミジョンだったんだなぁ。最初の電車だけじゃなくて、雷が落ちた夜も、負に飲み込まれそうだった時も、何度も何度もミジョンが救い上げてくれた。

 

ソウルに戻ってお酒に溺れる中でも、一番に思い出し、欲したのはミジョン。ミジョンに会いたいから、サンポに行ったんだと思う。

 

再会後、かつて置いていくように去ってしまい、「俺も(ミジョンの中で)最低な奴に入ってるのか?」と何度も問うほど不安に思っているク氏に、「私の中であなたは聖域だから。」と答えたミジョン。この答えにク氏はどれほど救われただろうか。気分が落ちたり上がったりする中で、常に自分を受け入れてくれるミジョンの存在はそれはそれは大きいと思う。

 

広蔵市場でのデートシーンはホントに幸せだった~デレデレ手袋のタグが切れた時のク氏の笑顔!!ク氏は恐らくアルコール依存症と躁うつ病の合併だと思うんだけど、ひと時でも普通の恋人らしいデートをする二人が見れて素直に嬉しかった~~!

 

 


ク氏全然タイプじゃないのに、見終わった後には落ちてたよね。男性美というか野生美というか。ホント魔性の男ですわ。ソウルに戻ってピシッとした格好してるク氏もカッコいいし、サンポの時の無精ひげ生やしてダルダルな服着てるク氏も魅力的ウインク


最初ヤクザとか裏社会系だと思ってたら、普通にホストクラブ経営してるだけだった。まぁたぶん脱税とかはしてるんだけど。会長も普通に結構いい人。あの兄貴分はちゃんと改心してほしいけどね。
 

 

最後は二人とも、プラスに変わっていく描写でよかった。もちろん、ク氏はこれからも沈む時があると思う。でもそのたびに、‟愛で溢れている“ミジョンが救い上げてくれるんじゃないかな。ミジョンが‟愛で溢れている“ようになったのは、ク氏という存在がいるからだし。

 

 

このドラマでは、それぞれが何かから解放されようとします。

姉ギジョンは、高いプライドや偏見を持ってしまうことから。兄チャンヒは、京畿道民であるという劣等感や自身の幼さから。父ジェホは、自身の凝り固まった考えから。ペク社長に至っては、尽きない欲や憎しみから解放されたと言ってもいいかもしれません。

 

誰もが自分自身の持つ何かからの‟解放“が叶えば、ミジョンの願う‟みんな幸せ“になれるのでしょう。

 

何かに落ち込んだり、躓いたりした時にこのドラマをもう一度見返して、彼らの言葉を自分に問いかけたら、少し心が軽くなったり、ゆっくりでも前に進もうと思えるんじゃないかな、というそんなドラマでした。私にも‟解放“できる日が来ますように……。