娘はどうなっているだろうか・・・。無事に到着して2日目だ。今だから書くが、行く前の日に猛吹雪になっただけでなく、不吉な事が連続で起こっていた。
前日に息子のご飯茶碗が粉々に割れる。
空港で見送った時、私の携帯のストラップの「おでんくん」が突然取れる。
当日娘が出かける前に付けたネックレスが切れる。
当日仏壇に無事をお祈りしようとろうそくに火をつけようとしたら、ろうそくの芯が燃え尽きてなくなり火がつかない。
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などなど、びっくりするぐらい不吉な事が起こったが、ここまで続くと逆に次は何がくるのか面白くなってきていた。
考えようによっては、行く前に不吉な事が起こり尽くし、現地ではラッキーな事が続いているかもしれない・・と無理やりポジティブシンキングしている。
さて、今日はおじいちゃんも仕事に出かけたので、息子と二人きり。こんな日に限って大雪に。残された体脂肪の多い二人で雪かきをした。
その後、冬休みの自由研究に取り掛かる。今年の干支の「イノシシ」を書く事にした。
画用紙に下書きして絵の具ですぐに塗ろうとするので私がすかさずストップ。
学校ではパレットのどこに何色を入れて、水のつけ方から片付け方までルールがきっちりしているようだが、冬休みだからこそルールのない書き方で楽しんで欲しいと思った。
私「まず、クレヨンで下書きの線をなぞってみなよ!」
息子「えーーーー!絵の具で絵を描くときはそんな事しないよ~~!」
私「いいんだよ!グリーンだよ!やってみな!」
言われるままにクレヨンで実線を描く。
次は絵の具の用意
私(パレットにむちゃくちゃに使う色を乗せる)
息子「ええええ!その場所で混ぜていいの?」
私「いいんだよ!混ぜたい所で混ぜなさい。混ぜ方もしっかり混ぜなくていいんだよ。絵の具がマーブル状態で塗ってみて!」
まずは水で伸ばした色で全体を塗る
息子「おおお!クレヨンだと線が浮き上がるからはみ出ても大丈夫だ!」(感動)
次に
私(全体に色が入った画用紙の上に直接絵の具をニュルニュルを出す。)
息子「えええええええええ!!画用紙に絵の具のせちゃっていいの??」
私「いいんだよ!今度は水で濡れていないカチンカチンの筆でこの絵の具を延ばしていって!ほら!イノシシの毛みたいに!」
と固い絵筆の先を使って絵の具を毛のようにかすれさせていく。
この辺で二人っきりという事もあり、息子の描いている姿を見て私もやりたくなったので
「お母さんも毛を描くの手伝っていい?」と聞くと「いいよ」と言うので私も手伝う事に。
これがやってみると面白い。小学校の頃の私も水で延ばしすぎてのっぺらい絵になってしまったり、違う場所が乾かないうちに他の色を塗って色が混ざり、失敗してしまった思い出があるが、私はもう大人だ。こんな間違いは絶対にしない。
私「うちわ持ってきて!まだ次の場所を塗るのは早い!」
息子「はい!」
私「はい。渇いたからここで毛を描くよ!固い筆でダイナミックに!こんな風に!」
と手本を見せるつもりが、すごく面白かったのでそのまま息子と一緒にイノシシの毛を描く。
シュ!シュ!
ほら!
毛みたいだよ!
違う色もいれてみよう!
ほら!
いいじゃん!
絵の具塗った後にクレヨンで描いたっていいんだぜ!自分の好きなようにやってみなよ!
・・とノリノリ(死語ですね)になった私は毛を描きながらイノシシの歌を即興で歌いだす。
「イノシシ~。駆け抜けろー。その強い体でー。どこまでもーーーーー。駆け抜けろー!!!」
息子「ぷぷぷ。その歌なんだよー」
私「いいから!もっと毛をダイナミックに」
さらに歌い続ける。
そして、途中の経過を確認するために離れて絵をチェック。
私「ほら!この方がイノシシが浮き上がってみえるでしょ!いい!この絵いいよ!」
息子「本当だ!僕こんな書き方したの初めてだよ」
その後も私はイノシシの歌を歌いながら手伝い続け絵は無事に完成した。
息子が絵の具を片付けようとしたが、めちゃくちゃに考えもなく絵の具を出しまくったので、たくさん絵の具がパレットに残った。
もったいないので息子が予備に描いたもう一枚の絵にも色を塗る。
・・・絵が完成した息子はもう参加していない。私だけがその場に残り、予備の絵に色を塗りまくる。
2枚目の絵も完成。
心なしか、2枚目のイノシシの方がルンルン(死語)しているような気がする。しかしこれは私の作品だ。
パレットや筆洗い、雑巾などを私が洗って片付けた。学校で洗ってくると水で洗うし、時間も限られているので汚れが落ちないが家ならお湯で洗えるのでそんなに面倒でもない。
結局、私が一番楽しんだような気がする。
そして、その楽しさに騙され、片づけまでしてしまった。
私「良かったね!自由研究が完成して!」と言うと、息子は
息子「え!絵だけじゃ4年生として足りないよ。イノシシについてレポートも作る」
なんて事をぬかした。
私の渾身の指導で描かれた絵も息子の「イノシシについて」のレポートの一部として使われるらしい。
なんだか腹立たしいが、まァいいか。面白かったし。
小学校の頃はは面倒であまり好きではなかったが、大人になってやってみると面白かった。
スキーもそうだった。学校のスキーは寒いし、順番待たされるし、同じことばかりするし全然楽しくなかったが、大人になって友人たちと車で出かけるスキーはものすごく楽しかった。
まだまだ、子供の頃は嫌いだった事も今やってみると楽しいことがあるのかもしれないと思ったのだった。