★ネタバレ★ 米沢穂信 『ボトルネック』 | 思い入れ★ホームシアター★日記

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わ~い。ついに我が家にホームシアターが・・
6.1ch 80インチスクリーン。
その驚きの臨場感!!近所の皆さんごめんなさい。m(_ _)m

『インシテミル』が結構おもしろかったので、書店に平積みに

されていたこの本に前から興味があった。

でも、なかなか購入する機会がなかったが、先日、図書館で

発見できたので、早速借りてきた。


【内容】

恋人を弔うため東尋坊に来ていた高校生のリョウは、突然、

強いめまいに襲われ崖下へ落ちてしまう。・・しかし、気づけば

見慣れた金沢の街。そして、自宅へ戻ると存在しないはずの

「姉」に出迎えられる。


自分が存在する世界と存在しない世界。

パラレルワールドを描いた小説。


SF?はたまた、ミステリー?と思い読み始めたら、意外や意外、

青春小説のような話しの展開と、会話中心の軽い語り口で

どんどん話しが進んでいく。


その為、あまり深く考えずに読み進めて行ったのだけど、

読み終えてみれば、結構、深刻なおはなしで、結末に

到ってはかなりブラック・・


タイトルである”ボトルネック”は、


”ビンの首は細くなっていて、水の流れを妨げる。

そこから、システム全体の効率を上げる場合の妨げとなる部分の

ことをボトルネックと呼ぶ。全体の向上のためには、まずボトル

ネックを排除しなければならない。”


という意味だそうである。


死産したはずの姉が生きていた場合の世界(この場合、リョウは

生まれない)と、姉は死産し、存在せず、自分が2番目の子で

ある世界。

その二つの世界は、家も家族も友人関係も酷似しているが、

決定的に違う事がある。


それは、あらゆる点において、、姉のいる世界の方が、皆が幸福。

でも、自分が存在する世界では、誰もが不幸なのである。


リョウは、ボトルネックなの・・?


結末は、含みを持たせてはいるものの、

ほぼ救いようがない。

自分を否定をされる事を題材にした小説ってたくさんあるけれど、

こういう形で、否定されるのってあまりに絶望的。


あっという間に読めてしまうが、読んでスカッとしたり、感動する

小説ではない。

読んでちょっと後悔。



ボトルネック (新潮文庫)/米澤 穂信
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