しばらく前に話題になった作品だけど、やっと
wowowで見られました。
主演は、堺雅人と山田孝之
愛する妻をひき逃げで失った堺雅人演じる町工場の
経営者が、出所してきた犯人山田孝之に復讐を企てる
というお話し。
そう書くと、二時間ドラマにありがちな、サスペンスドラマと
思われがちだけど、(私もそう思って観始めたけど・・)
はっきり言って、設定は復讐だけど、それは設定だけの
事であって、描かれているのは、現代人の抱える絶対的な
孤独。
妻を失った事によって、主人公が孤独になったのは
当たり前であるけれど、それ以外の登場人物も全員が
孤独。
犯人に殺されかけても一緒に行動する中年の男
全く何もすることがないからというホテトル嬢
乱暴された相手に「誰かが部屋にいるっていいね。」
とその男を部屋に招き入れる若い女の子。
そして、極めつけがひき逃げ犯
絵に描いたようなロクデナシのチンピラも
行き場の無い毎日を送っている。
そんなチンピラを最近、悪役っぷりが身についている
山田孝之がそれはそれは憎たらしく演じています。
ついでにそのチンピラにどこまでもついていく
子分を演じる綾野剛がなかなかいいです。
他にも安藤さくら、田口トモロヲ、谷村美月など、
演技派の役者をそろえて、2時間、息もつかせぬ
展開を見せてくれます。
使われてる小道具もうまいですね。
wowowの解説でも言っていたけれど、話しは余りにも
非日常的なのに、会話に出てくるのは、牛角やら
セブンのサンドイッチやら、やけに生々しく日常が
描かれているのが不気味です。
映画の最初と最後に描かれた留守電やプリンの使い方も
絶妙ですね。
特にプッチンプリン。あれ、ただのプリンだったらああは
ならないもの。
そうそう、後で気づいたけれど、復讐劇といいながら、
主人公二人が対峙するのが、クライマックスの乱闘シーンだけだと
いうのも驚きです。
全力で観終ってどっと疲れました。
一般受けする映画ではないけれど、でも、重厚な演技の
ぶつかりあいを観たいと思うなら一見の価値はあると
思いますね。
堺雅人はやっぱりスゴイ俳優ですね。