「猫物語~白 つばさタイガー」
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「化物語」シリーズの新展開。それぞれのエピソードの後日談というか、何となくまとまってオチが付いて解決したかのように見えた怪異譚のその後が描かれるシリーズ。羽川翼編は猫物語の黒&白として二冊にわたって描かれた。とはいうものの、上巻に当たる「黒」はほとんどが阿良々木暦のトークショーで、ゴールデンウィークに現れた最初の「障り猫」退治を改めて描くという、まあサービス付録みたいな本だった。が、「白」は違ってました。なんと、語り手が羽川翼自身。そして、猫ではなく遙かにパワーアップした「虎」の怪異を彼女自身が生み出してしまうと言う話。誰にでも優しく、決して怒らず、苦もなく努力を積み重ねることができ、成績優秀・容姿端麗・完全無欠・究極の学級委員としてある羽川翼の裏の顔…。知られざる裏の顔が生み出した2つの怪異。「障り猫」と「苛虎」。この2つの怪異を彼女自身が退治するお話し。

西尾維新さんの人間観って実に卓越してます。完全無欠の羽川翼を「気持ち悪い」「闇に鈍い」と断ずる冷酷さ。その裏側には、完璧な人間なんていない、誰だって弱さを持っていて、それをどうやって乗り越え、長所と欠点を調和させるかが人としての成長なのだというきわめてまっとうで、妥協のないスタンスをしっかり持ってるんですね。だから彼の描く作品は、設定やストーリー展開がどんなに突飛でメチャメチャであろうと、底辺部分できっちり共感できる。凡百のライトノベルズ作家と一線を画すのはまさにその点なんだろうな。その魅力はアニメにしても当然のごとくしっかり残っていて、だからこそ、多くの人の支持を受ける。彼が本格的な文学作品を書いたら、いったいどんなものを書くんだろう?なんて思ったり、変わらずにこういう軽いタッチのものを書き続けて欲しいと思ったり。化物語シリーズ新展開、この先も楽しみだ。

★★★★☆(ホシ4つ)