桜台は私が育った練馬区にある町で近所にはまんぷく亭という食堂があった。
あっというのは言葉が違うな。今もご夫婦そろって元気にやっている。
ここの売りは大盛りであること。定食のご飯を大盛りにするとマンガのような山盛りのご飯が配膳される。

始めてのお客には女将さんから、うちのご飯は大盛りだけど大丈夫か?と聞かれることになる。
私は当時大食いであったので、大盛りのご飯を求めてよくお店に通った。
おすすは2つ。生姜焼き定食とカツ丼である。

生姜焼きは甘ダレがたっぷりとついた豚肉に辛子をつけ、それがまたとてもご飯に合った。
カツ丼は大ぶりのカツがこれもまた甘ダレと卵に絡まり、ご飯がすすんだ。

そんな大盛りの店だから8割はガテン系の男でうまる。
一度女の子を連れて行ったことがあるが、二度とごめんだと怒られた。
大食漢の友達にはとても喜ばれるお店だった。

このまんぷく亭の面白いところは夫婦の掛け合いにある。
二回に1回は口喧嘩か無視をしていて厨房の空気が悪いのだ。

その厨房を囲むように座る常連はすぐにわかる。
今日喧嘩をしているかどうかを。

普通はそんな空気はいやだろうが
長年連れ添ったこの夫婦のそれは見ている方は別にイヤにならない。
むしろ、なんだか微笑ましくうつるのだ。

何も言わなくても100以上はあるメニューを合作する2人には
日常の一部でしかないのだ。

オシドリ夫婦というのは彼らのことをいうのであろう。

喧嘩する人は仲が良くないなんて言うのは、こんなことと同じである。カラオケの得点を競うのはばからしい