「帰ってきて欲しい」
と願うとその心の願望を外化して相手の気持ちと関係なく「あの人は帰ってくる」
になってしまう

常に現実は関係ない
あるのは常に自分の心の中での出来事である
それを現実と認識してしまう

妻は夫を全面的に信頼してきた
それは現実の夫を見てではなく、夫を全面的に信頼することでしか自分を維持出来ないから

要するに妻は依存心の塊であった
正直に自分の心を見つめれば既に夫に幻滅していたかもしれない

依存心が強ければ強いほど、どうしても相手に対する期待も大きくなる
その期待が叶えられなければ怒り、落胆する
つまり依存心が強ければ欲張りになり落胆せざるを得ない

妻は本当は夫に怒っている
しかしこの怒りをぶつけると結婚が破綻に繋がる可能性がある

妻は結婚生活を維持したい
それが自分の心の支えであるから

人は不安より不愉快や不満を選ぶ
不安を避けるためなら不快になってもいい
不安でなければ不幸であることなどなんでもない

幸せになりたければ、夫を捨てるか不倫をやめて欲しいとはっきり言うしかない

それには覚悟がいる

夫への憎しみと言う真実はあまりにも耐え難いため、夫に怒りを向けることを回避する
そのために自己欺瞞を選ぶ
つまり夫を憎んでいないと意識する

本当の感情を隠して仮面を被る
それが抑圧である
抑圧とは避けられないことを避けようとすること

仮面を被っているのに本人は被っていないと思っている
他人も本人も欺く
そういう人は何をしてもそこに心がない

本当は面白くないと思っている話をいかにも興味深そうにして聞く
自分が本当に言いたいことは言わない



彼からの電話、
正直おもんなかった

けど声が聞けるのが嬉しくて、
機嫌よく話してくれるのが嬉しくて、
そんな話を如何にも興味ありげに笑いながら聞く彼女が良いんだろうと、
いつもケラケラ笑いながら電話していました

その先に何も無かったのに


あの人の【彼女】でいることが私のアイデンティティだった

しょうもないアイデンティティ