今回の事業仕分けは大きな進歩である。毎年の国の予算は、要求する各省庁と査定する財務省、一部の政治マターを除き、実質的には両省庁の課長補佐クラスの折衝で大部分が決まっていく。その折衝は、基本的には今回公開された事業仕分けとほぼ同様であろう。公開されている評価シートや中継を聞いていると完全に財務省主導で行われていることがわかる。

・事業の意義・目的が適正か、目標は適切か
・政策目標に対して事業の効果があるか
・事業は国が実施する必要があるか、地方や民間では実施できないか
・事業の緊急性があるか
・事業の仕組みは効率的か、無駄がないか

これを財務省の査定官ではなく、民主党議員や民主党が選んだ政府外の有識者が公開の場でやることが大きな違いであり、大きな進歩である。

ただし、今年のこのイベントショーには以下の問題点がある。
・報道の仕方の問題なのかも、事業仕分けは最終判断ではなく、あくまでも参考意見に過ぎないのだが、そのことが十分に周知されているとは言い難い。
・仕分け人の人選が適切か。民主党と財務省の息の掛かった者のみで構成されている。国の事業に地方公共団体の職員が公開の場で意見するのは画期的であり、自治体代表の仕分け人も立派な方だろうと思うが、神奈川県の市の職員のみであり、地方公共団体の代表とは言い難い。
・評決の基準がない。ワーキンググループの最終判断者の裁量に委ねられている。多数決なら多数決で徹底すべき。菊田真紀子が仕分け人の半数が予算縮減と判断、しかも要求額を明示しない事項要求である「児童劇巡回」を自分の独断で要求どおりとしたのは不公平。その理由が、「子どもに希望を与える事業は大切にしたい」、事業仕分けは事業の目的で仕分けるのではないはず。ほかに「廃止」と評決された事業と整合がとれていない。取りまとめ役ですら事業仕分けの役割を理解していないということか。

仕分けられる官僚側からは、仕分け人は何の権限で自分たちの予算にケチを付けるのかと言っているらしいが、納税者の権限で税金の使い方に意見しているということ。十分に権限がある。

また、選ばれた仕分け人の方にも大きな誤解があるようだ。自分たちが偉くなったように錯覚している人が大勢いる。説明者に対する高飛車な態度、下品な言葉づかい、自らへの利益誘導の質問や指摘。

さらに、政務三役の位置づけが曖昧である。査定側として参加することになっているようだが、政務三役はどう見ても要求側である。確かに、財務省に要求する前の段階は各部局から出てきた要求案を査定したのだろうが、いま、事業仕分けに掛けられているのは、各省内で自ら指揮し検討して財務省に要求した予算である。その要求した者が、さらに査定できるはずがない。そもそも、脱官僚を掲げながらこのような重要なイベントショーで官僚に説明させる方がおかしい。政務三役が堂々と説明し、仕分け人と議論すべきである。

説明する官僚側も今までの財務省折衝とは違うのだから、もっと本音ベースの説明をしたらどうだろうか。役人対役人では、理屈がすべてであり、「目的が違う」、「対象が違う」という理屈で通ってきたかもしれないが、国民相手では通用しない。一方で、たとえ理屈では通らなくとも、感情的に訴えることで通用することもある。また、仕分け人は公益法人に天下りが何人いるとかを問題視しているが、官僚OBの人数は事業を仕分ける上では問題ではないのではないか。公益法人が効率的に仕事をしているかが問題なのである。公益法人を通しているから問題だとされているが、地方公共団体や民間では実施してもらえないから公益法人で実施している事業も少なからずあるはずである。それを仕分け人に堂々と説明したらどうか。

公開の場での事業仕分けは、今後も大きな成果を生む可能性を秘めている。鳩山総理は今年限りと言っているようだが、日本テレビのNEWSゼロに出演していた枝野議員は立派なことを言っていた。
事業仕分けの評決は尊重されるべきだが、その評決と違う決定もある。しかし、その場合はしっかりと説明することが必要である。また、今年のようなやり方は今年限りで、来年度以降も公開の場で議論することは必要だと言っている。今後に期待したい。