
2月10日に後藤徹さん著作の「死闘 監禁4536日からの生還」という本が出版された。内容は親族から後藤さんが31歳から44歳まで12年5か月間、監禁された体験を書いている。
● 餓死寸前からの生還
後藤さんは大学4年の時に実の兄により、家庭連合(旧統一教会)に伝道される。12年5カ月間、親族から監禁され、脱会屋・宮村峻氏らから脱会強要を受ける。
アマゾンで、本の内容が以下のように紹介されている。
『突然の拉致。どこかもわからない施錠だらけのマンションの一室。餓死寸前からの生還と、圧倒的不利な状況から全面勝訴を勝ち取った裁判の軌跡を今、初めて明らかにする自伝。
その日は突然訪れた。1995年9月11日、実家へ帰った日。31歳の私は婚約者と所帯をもつ約を交わしていたばかり。何とか脱出できないか。過ぎ去る歳月。焦燥感。天井に沿う木目模様を眺めながら想う「このまま一生ここで朽ちるのか。孤独と絶望と飢餓。
一日一回の慰めは夕方に微かに聞こえてくる“夕焼け小焼け”のメロディー。そのしらべを何千回と聞き果てた末。監禁から12年5か月たった2008年2月10日、突然の解放。私は44歳になっていた。(amazonの本の紹介より)』

後藤さんは監禁解放後、拉致監禁被害の深刻さと違法性を国内外で強く訴えると同時に、拉致監禁に関与した脱会屋らを民事提訴。控訴審で脱会屋らの不法行為が認定され2200万円の賠償命令が下される。2015年、最高裁判所にて全面勝訴判決が確定する。
家庭連合(旧統一教会)といえば、情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」が特集して報道していた。そして鈴木エイト氏がよく解説者として出演していた記憶がある。
その鈴木エイト氏が実は後藤さんに訴えられていたというのをニュース記事を読んで知った。
● 裁判で2000万円をGETした
後藤さんが、ジャーナリストの鈴木エイト氏の記事で名誉を傷つけられたとして1100万円の賠償などを求めた訴訟を起こしていた。東京地裁は1月31日、一部の記事を名誉毀損(きそん)だと認め、鈴木氏が11万円の賠償を支払うよう命じる判決を言い渡した。
鈴木氏は、自らのニュースサイトで後藤氏について「12年間に及ぶ引きこもり生活の末、裁判で2000万円をGETした」とする記事を配信するなどした。判決は、原告の社会的評価を低下させる違法な記事だと判断した。
後藤氏は判決後の会見で「名誉毀損が認められ、非常によかった」と話した。鈴木氏は「踏み込んだ批判が名誉毀損にあたるというのは納得いかない」として控訴する意向を示した。
鈴木エイト氏が訴えられて裁判所から賠償命令を受けるという結果に何か僕が違和感を感じたのは、テレビで見る鈴木氏はどこかカルト宗教に立ち向かう正義のジャーナリストのイメージが強く、あまり裁判で負けるイメージがなかったからだ。
事実だけを並べた記事を読んだだけでは、内容に違和感だけが残ったままだ。実はこの家庭連合(旧統一教会)の名誉毀損の事件は、考えるべきポイントがあることが、約1年半前に書かれた窪田順生(くぼた まさき)氏の記事に教えられた。
ノンフィクションライターの窪田順生氏の情報サイト「ダイヤモンド・オンライン」に書いた記事の『ジャニーズ性加害問題、「国連が動いたからには…」と期待しても失望が待つ理由』の中に、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の拉致監禁問題が出てくる。
実は日本では“国連が問題視したことは国民的議論が盛り上がらない”と相場が決まっているとの事で、その代表が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の拉致監禁問題だという。旧統一教会が高額献金や霊感商法だけではなく、拉致監禁までしていたという話ではなくまったく逆で、旧統一教会の信者が拉致監禁の「被害」にあったという話。
旧統一教会から脱会させたいという家族が、キリスト教関係者や被害者救済を掲げる弁護士などからアドバイスを受けて信者を拉致して、マンションの一室などに閉じ込めて「もうあんな宗教やめます」と宣言をするまで監禁するというもの。「被害者」は43年間で4300人と言われる。その中に、12年5カ月もの間、監禁された後藤徹さんがいるし、監禁中に改宗を迫られて絶望のあまり自殺をしてしまう人までいたとの事。
● どうでもいいです。ご自由に
日本のジャーナリズム業界は「自分たちが設定したストーリーと矛盾のある話は報道する価値がない」という感じで目をそらして、「報道しない自由」を行使するクセが強いのだ。と、窪田氏は主張する。以下、そのことをわかってもらううってつけのケースとして、ライターの福田ますみ氏が、取材に訪れていた鈴木エイト氏に対しての質問のやり取りがある。それを以下に引用していきます。
【2023年7月30日に開かれた「信者の人権を守る二世の会」主催の第3回公開シンポジウムだ。 これは旧統一教会の二世信者たちが集まってできたものだ。安倍晋三元首相殺害事件後に一部の脱会した二世や山上徹也被告ばかりが「二世のすべて」として報道され、深刻な人権侵害に陥っている問題について話し合うというものだ。
そのシンポジウムの中で、拉致監禁問題を取材しているノンフィクションライターの福田ますみ氏が、取材に訪れていたジャーナリストの鈴木エイト氏に対して、こんな質問をした。
「後藤徹さんも来ていますが、後藤さんは12年5カ月監禁されてました。それについて鈴木エイトさんは『ひきこもり』と言った。これはどうしてなんでしょうか」
すると、鈴木エイト氏は「どうでもいいです。ご自由に受け取ってください」と回答。さらに、その後SNSで「教団側からメディアへの質問の前提がおかしい」と言及した上で、ご自身の発言をこう補足した。(以下、一部引用)
「そんな反社会的団体からの脱会を望む家族と当該信者の話し合いを教団側が『拉致監禁だ!強制棄教だ!』と被害者面でアピールしているだけ。」
「そんな反社会的団体による『被害者アピール』は取り上げる価値もなく『どうでもいい』こと。」
「さすが、鈴木エイトさん!拉致監禁なんてマインドコントロールされている連中が被害者ヅラした自作自演だろ!」という声が多く聞こえてきそうだ。そう、日本のマスコミもまさしく同じ考えだ。
マスコミで働く人の多くは、拉致監禁問題というのは、教団が霊感商法など世間の批判をかわすため、洗脳をした信者たちに被害者ヅラでアピールをさせている、という「ストーリー」が骨の髄まで染みついている。 窪田順生氏『ジャニーズ性加害問題、「国連が動いたからには…」と期待しても失望が待つ理由』より】
ジャーナリストの人たちが、自分の頭の中にある一定のパターンでしか物事を考えられなくなってしまっているのはとても危険なことだ。窪田氏の書いている『信者が拉致監禁の「被害」』の件に関しては、爆笑問題の太田も同じことを情報・ワイドショー番組「サンデージャポン」で主張していた記憶がある。それを聞いたときは、統一教会側に寄り添った片寄った意見に思えたものだが、それは自分も思考がワンパターンに陥っていた証拠と言える。その反省もこめて、色々考えるに値する事件だと思った。
参照:Bitter Winter反カルト・ジャーナリストの鈴木エイトが名誉毀損で敗訴
鈴木エイト氏に11万円賠償命令 記事で旧統一教会信者の名誉毀損
ジャニーズ性加害問題、「国連が動いたからには…」と期待しても失望が待つ理由