市役所の職員などを装って高齢者から現金をだまし取る特殊詐欺グループをめぐり、警視庁はグループのトップとみられる34歳の男を逮捕しました。グループによる被害は東京、千葉など4都県で500人に及び、2年余りで総額22億円に上り、その一部が特定危険指定暴力団「工藤会」に流れた疑いもあります。

● 海外を拠点に活動していた特殊詐欺グループのトップ
逮捕されたのは、東京都中央区に住む職業不詳、佐々木成人(なりひと)容疑者(34)です。

警視庁によりますと、佐々木容疑者は去年3月、都内に住む80代から90代の女性4人に対し、市役所の職員などを装って「給付金の手続きができます」とうその電話をかけ、キャッシュカードをだまし取りました。そして、カードを使って約560万円を不正に引き出したとして、詐欺などの疑いが持たれています。

このグループは、高齢者にうその電話をかける「かけ子」の拠点をタイ、フィリピン、インドネシアなど東南アジアを中心とする海外に置いていたとみられています。

警視庁はこれまでに、グループのメンバー約40人を逮捕しました。捜査の結果、佐々木容疑者がメンバーの報酬を決めるなど、組織全体を取り仕切っていた疑いが浮上しています。

佐々木容疑者は複数の企業の代表を務める一方、頻繁に東南アジアへ渡航していました。日本の警察が直接捜査しにくい海外に活動拠点を設けることで、摘発を逃れながら組織を運営していたとみられます。

また、グループ内では本名を明かさず、「東(あずま)」という通称を使用していました。通信には秘匿性の高いアプリを利用し、直接連絡を取る相手も一部の幹部に限定していたといいます。こうした徹底した情報管理によって、組織のトップに捜査の手が及ぶのを防いでいた可能性があります。

● 暴力団「工藤会」と特殊詐欺グループをつなぐ高橋容疑者
一方、千葉県在住の無職、高橋宏典容疑者(40)も、グループがだまし取った金のうち約30万円を受け取っていたなどとして逮捕されました。

警視庁は、高橋容疑者が特殊詐欺グループと特定危険指定暴力団「工藤会」との仲介役を担っていたとみています。

グループは去年までの2年余りで約22億円をだまし取ったとされ、警視庁は、その一部が工藤会に流れた疑いがあるとみて資金の流れを詳しく調べています。

工藤会といえば、個人的には「餃子の王将」社長射殺事件を思い出します。同事件では、工藤会傘下の石田組幹部だった田中幸雄被告に無罪判決が言い渡されました。今回、約22億円に上る特殊詐欺事件でも工藤会の名前が浮上したことで、改めてその存在が注目されています。

さらに、きょうは恐喝などの疑いで逮捕された工藤会幹部の塩見直之容疑者(59)が送検されました。

塩見容疑者は2021年12月、借金600万円の返済を求めてきた知人男性に対し、「賭場を開けば返せるけど無理」「工藤会の執行部に上がったけ」などと脅し、返済を求めるのを断念させた疑いが持たれています。

今回の事件からは、工藤会が本拠地とする福岡県で警察による取り締まりが強化されるなか、新たな資金源を求めて関東にも活動範囲を広げている実態がうかがえます。みかじめ料の取り締まりなどで従来の資金獲得が難しくなるなか、東京や千葉などで特殊詐欺グループとの関係を深め、詐欺を新たな資金源にしていた可能性があります。

暴力団と特殊詐欺グループの接点が明らかになった今回の事件。海外を拠点に組織化された詐欺グループと、国内で資金獲得を図る暴力団がどのように結びついていたのか、今後の捜査の進展が注目されます。

参照:特殊詐欺グループ“トップ”の男ら逮捕 被害総額22億円か 東京・千葉など4都県で被害者500人
   特殊詐欺G「トップ」逮捕 被害22億円か、報酬の分配割合を決定?