歌舞伎俳優の中村児太郎さん(32)が、知人女性への傷害容疑で逮捕されていたことが明らかになりました。2025年6月には、妻に顔面骨折を負わせるほどの激しいDVが報じられ、夫婦は離婚協議に入っていました。それから約1年4カ月後、今度は別の女性への傷害容疑で逮捕されたのです。

相次ぐ女性トラブルを振り返ると、飲酒と暴力の関係が浮かび上がります。妻へのDVと今回の事件は、いずれも酒に酔った状態で起きたとされています。

● 妻へのDVと離婚協議
児太郎さんは2021年1月に妻と結婚しましたが、結婚の事実を公表していませんでした。

人目を避けるように夫婦生活を送るなか、児太郎さんは妻の前でも飲酒するようになったといいます。そして、結婚から約10カ月後の同年11月、深刻な暴力事件が起きました。

妻の証言によると、2人で食事をした帰りのタクシー内で、ささいなことから口論になりました。日頃の不満を口にした妻に対し、児太郎さんは髪をつかんだといいます。

妻がタクシーを降りると、児太郎さんは妻を倒し、顔を地面に押し付けたとされています。現場を目撃した人が通報し、警察官が駆け付ける騒ぎになりました。その後、警察官の付き添いで2人は自宅に戻りました。

しかし、暴力はそれで終わりませんでした。

妻が当時の状況を振り返ります。

「彼は警官に『こいつは酔っ払っているだけだから、大丈夫』と話していました。家に入ってから私が『離婚したい』と言うと、腕を首にたたきつけられて……」

児太郎さんは、逃げようとする妻の髪を再びつかみ、馬乗りになったといいます。

妻自身も酒に酔っていたものの、頭の中は冷静だったといいます。身の危険を感じ、「これじゃダメだ。死んじゃう」と考えた妻は、「待って。やめて。こんなことしたら仕事も全部ダメになるよ」と必死に訴えました。

すると、児太郎さんも我に返った様子を見せたそうです。妻は血だらけになっており、児太郎さんも焦っていたのではないかと振り返っています。

2人はその後、二度と暴力を振るわないこと、再び暴力を振るった場合には妻に1000万円を支払うことなどを盛り込んだ誓約書を交わしました。しかし、約束があっても、平穏な結婚生活は戻りませんでした。

妻によると、児太郎さんは稽古を理由にしながら、酒に酔って帰宅することがあったといいます。妻がそのことを責めると、「殴らなければ暴力じゃないだろう」と言い、ウォーターサーバーの本体を投げつけたほか、体当たりや背負い投げをしたと証言しています。

さらに、妻が週刊誌への告発をほのめかすと、児太郎さんは「週刊誌、つぶすから大丈夫」「お前とお前の家族もつぶすから」と脅したこともあったそうです。

妻の証言が事実であれば、夫婦間の問題にとどまらず、深刻なDVや脅迫にあたる可能性のある言動が繰り返されていたことになります。

● 1億3800万円の借金を主張、慰謝料をめぐる対立も
夫婦の対立は、金銭面にも及びました。

妻によると、2025年末、児太郎さん側の弁護士は、本人に1億3800万円の借金があり、妻が求める慰謝料を支払う能力がないと主張し始めたといいます。

妻は、それまで借金の存在を一度も聞かされていなかったと説明しています。結婚する際、児太郎さんは「4億円ぐらい貯金がある」と自慢していたそうです。

妻は、多額の借金が生じた経緯に心当たりがないとしつつ、児太郎さんが銀座で派手に飲み歩いていたことにも言及しています。

最終的に、妻は慰謝料の請求額を減額したといいます。

2025年6月に報じられたDV問題では、妻が顔面骨折などのけがを負うほどの暴力を受けたとされ、児太郎さんの所属事務所も謝罪コメントを発表しました。出演予定だった公演も休演となり、夫婦は現在も離婚協議を続けているとされています。

児太郎さんは同年7月、声明を発表して報道内容の一部を否定しました。一方、周囲に迷惑をかけていることを理由に、東京・歌舞伎座で上演された「七月大歌舞伎」を休演しました。

さらに、2026年1月には、当時契約していた芸能事務所が契約解除を発表しました。事務所側は児太郎さんに契約違反があったと説明し、双方の合意による解除としています。その後、児太郎さんは事実上の活動休止状態にありました。

● 今度は20代の知人女性への傷害容疑
こうした経緯があるなか、児太郎さんは再び女性への傷害容疑で逮捕されました。

報道によると、事件が起きたのは10月3日早朝、東京・新宿区歌舞伎町にあるホテルです。児太郎さんは、知人である20代女性に暴行を加えた疑いが持たれています。当時は飲酒していたとされます。

女性からの被害届を受理した警視庁は、10月5日に児太郎さんを傷害容疑で逮捕しました。本人は容疑を認めていると報じられています。

その後、児太郎さんは釈放され、警視庁は任意での捜査を続けています。

今回の事件について、児太郎さんは「どう責任を取ればいいか、本当に自分でもわからない。許されるならば死んでお詫びしたいと考えてしまう」と話しているといいます。

今後は被害女性に誠心誠意謝罪し、弁護士を通じて示談交渉を進める方針とされています。

ただし、謝罪や示談交渉が進められたとしても、相次ぐ女性トラブルによって失われた信頼を取り戻すのは容易ではありません。

昨年のDV問題と今回の事件を踏まえ、関係者からは「二度と舞台に立てなくなったと思っています」との声も上がっています。

児太郎さんは、NHK大河ドラマ「西郷どん」(2018年)に出演するなど、歌舞伎以外の分野でも活動してきました。父は九代目中村福助さん、祖父は人間国宝の七代目中村芝翫(なかむら しかん)さんです。歌舞伎界の名門に生まれた俳優だけに、今回の事件が今後の活動に与える影響は大きいとみられます。

梨園関係者は、相次ぐトラブルによって成駒屋の名声が傷ついていると指摘します。

「トラブル続きで名門屋号の一つである成駒屋の権威を傷付け、廃業(引退)もやむを得ないと言われています。成駒屋は特に女形の芸のトップとして評価されてきましたが」

成駒屋の中心的な存在として知られるのが、八代目中村芝翫さんです。妻はタレントの三田寛子さんです。

伝統ある家柄を背負う立場でありながら、女性への暴力をめぐる問題が繰り返されていることは、本人の責任だけでなく、歌舞伎界全体のあり方にも疑問を投げかけています。

● 繰り返されてきた歌舞伎界の不祥事
歌舞伎界では、過去にも社会的な批判を招いた事件が起きています。今回の問題を考えるうえでも、これまでの不祥事を振り返る必要がありそうです。

・市川海老蔵さんの暴行被害事件
2010年、市川海老蔵さんは東京・西麻布の飲食店で、元暴走族リーダーの男性らと飲酒中にトラブルになりました。その結果、顔面骨折など全治6週間の重傷を負いました。

この事件では、酒席でのトラブルが大きく報じられ、歌舞伎界を代表する俳優の私生活にも注目が集まりました。

・中村七之助さんの警察官への暴行事件
中村七之助さんは、タクシーの乗車料金をめぐるトラブルから、駆け付けた警察官の顔を殴ったとして逮捕されました。

著名な歌舞伎俳優による警察官への暴行事件は、社会に大きな衝撃を与えました。

・中村鶴松さんの器物損壊事件
中村勘九郎さん、七之助さんの部屋子である若手俳優の中村鶴松さんも、トラブルが報じられた一人です。

報道によると、泥酔した状態で浅草の飲食店のドアを蹴り壊し、器物損壊の現行犯で逮捕されました。

・市川猿之助さんをめぐる問題
市川猿之助さんについては、一門の役者やスタッフに対する過度なパワーハラスメントや、性的同意のない身体接触などをめぐる告発報道がありました。

その後、猿之助さんは自宅で両親とともに心中を図る事件を起こし、歌舞伎界のみならず社会全体に大きな衝撃を与えました。

・香川照之さんの性加害報道
2012年から「九代目市川中車」として歌舞伎の舞台にも立つ香川照之さんは、銀座のクラブでの行為をめぐり、女性への性加害が報じられました。

報道では、同席していたホステスの女性に対し、ブラジャーを剥ぎ取る、匂いを嗅ぐ、胸を触る、無理やりキスをするといった行為があったとされています。

この問題も、著名人による女性への不適切な行為として大きな批判を招きました。

● 名門の格式と社会規範の間にある溝
これらの事件は、それぞれ経緯も被害の内容も異なります。しかし、歌舞伎界の著名人をめぐる不祥事が起きるたびに、飲酒に伴うトラブルや、社会的地位の高い人物に対する規範意識の甘さが批判されてきました。

今回の児太郎さんの事件も、単なる個人の不祥事として片付けられるのでしょうか。

妻へのDVが報じられた後、知人女性への傷害容疑で再び捜査対象となったことは、本人が社会的な責任をどう受け止めているのかという問題を突き付けています。

歌舞伎界が今後も伝統芸能として社会から信頼され続けるためには、芸の継承や家柄の格式だけでなく、一般社会と共通する倫理観や法令遵守の意識を徹底することが求められます。

伝統を守ることと、問題行動を見過ごすことは別です。今回の事件を機に、歌舞伎界が女性への暴力やハラスメントにどう向き合い、再発防止に取り組むのかが問われています。

参照:中村児太郎の〝廃業〟やむなし 度重なる暴力報道で名門「成駒屋」の看板にキズ
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