「一夫多妻の生活を送る男による犯罪」と聞くと、2023年に逮捕された渋谷博仁(しぶや・ひとひと)を思い出します。当時74歳だった渋谷は、10代の少女にUFOなどの映像を見せ、「あなたは宇宙人に連れ去られて食べられる。死を避けるには性交するしかない」と信じ込ませ、性的暴行を加えようとしたとされています。

あまりにも荒唐無稽な話ですが、今回明らかになった一夫多妻的な生活を送る男の犯罪は、笑い話では済まされません。暴力とマインドコントロールによって女性たちを支配し、性的搾取を繰り返した、きわめて陰惨な事件です。

● 10代女性が「男から監禁されて逃げてきた」と警察に駆け込む
事件が発覚したのは、2025年11月下旬です。10代の女性が大阪府内の警察署に逃げ込み、「男から監禁されて逃げてきた」と助けを求めました。

その後、盗撮した性交動画を動画投稿サイト「myfans」にアップロードしたとして再逮捕されたのが、職業不詳の小野洋平被告(39)です。

小野被告は、妻の小野晴香被告(28)と、内縁の妻で養子でもある小野凜(おの りん)被告(23)らと同居していました。その一方で、SNSを通じて知り合った10代の女性に首輪を付け、監禁するなどしていたとされています。



妻や内縁の妻と暮らしながら、まるで一夫多妻のような生活を送っていた小野被告。さらに、女性たちを盗撮した動画を販売し、2年以上にわたって約5000万円を得ていたとみられています。

小野洋平被告が最初に逮捕されたのは、2025年11月26日でした。当時の状況について、社会部記者が説明します。

「11月24日、10代の女性が大阪府内の警察署に駆け込み、『男から監禁されて逃げてきた』と助けを求めたことで事件が発覚しました。25日には東京都の新宿警察署が捜査を引き継ぎ、捜索を実施しました。

小野被告が女性を監禁していたとみられる新宿区内のマンション3階に捜査員が向かうと、小野被告は窓から飛び降りて逃走を図りました。その際に腰椎を骨折し、階下で身柄を確保されました。そして、26日夕方、監禁容疑で逮捕されたのです」

● 被告の顔写真が見当たらない理由
今回の事件で気になったのは、小野洋平被告の顔写真がインターネット上でほとんど見当たらないことです。

通常、重大事件の被告が逮捕されると、警察署から出て車に乗り込む場面や、検察庁へ移送される際の姿を報道各社が撮影します。こうした映像が、被告の顔を伝える代表的な報道素材となります。

しかし、小野被告は逃走を図った際に重傷を負い、病院へ搬送されました。そのため、通常の護送場面などをメディアが撮影する機会がなかった可能性があります。

また、今回の事件は、100人を超える女性が被害に遭ったとされる、きわめてデリケートな性的搾取・盗撮事件です。被害者のプライバシーを守り、二次被害を防ぐため、報道各社が事件現場や関係者の映像の扱いに慎重になっている可能性も考えられます。

ただし、顔写真が見当たらない理由について、こうした事情が実際にどの程度影響したのかは明らかではありません。

● 自らを「頂きおじさん」と称していた小野被告
小野被告の自宅などを捜索したところ、スマートフォン37台、タブレット端末1台、ノートパソコン3台、ハードディスク3台などが見つかりました。さらに、手錠やスタンガン、首輪、縄といった物品も押収されたといいます。

社会部記者は、捜査の進展について次のように話します。

「押収した機器からは、100人以上の女性が映った860点以上のわいせつな動画ファイルが見つかりました。捜査では、相手の承諾を得ずに撮影したとみられる動画が確認され、その一部がインターネット上に投稿されていたことも判明しました。これを受け、12月16日に性的姿態撮影処罰法違反の容疑で再逮捕されました」

被害女性は犬用の首輪を付けられ、小野被告や妻、内縁の妻らから「イヌ」と呼ばれていたとされています。

一方、小野被告は自らを「頂きおじさん」と称していました。妻の晴香被告を「ペンギン」、凜被告を「ウサギ」と呼び、「妻を4人集めて子どもを作る」「一夫多妻制」などと話していたようです。

さらに、小野被告は晴香被告や凜被告らにも、動画投稿型の販売サイトで売るための映像を撮影する準備を手伝わせていたといいます。

「晴香被告や凜被告らが、新宿区内のホテルの天井に隠しカメラを設置する様子が防犯カメラに映っていたようです。その後、小野被告と女性が部屋に入り、性交を終えたあと、晴香被告らがカメラを回収する姿も確認されたといいます。

小野被告は、こうした行為について『動画を販売サイトに投稿して金を稼ぐためだった。2年以上この関係を続け、月に200万円くらい稼いでいた』と供述しています」

● ファンから直接収益を得られる動画販売プラットフォーム
小野被告が動画を投稿していた「myfans」とは、どのようなサイトなのでしょうか。アダルトサイトに詳しいライターは、次のように説明します。

「ソフト・オン・デマンドやプレステージといったAVメーカーとは異なり、一般に『同人AV』と呼ばれるジャンルの動画を扱う投稿型配信サイトです。プロのセクシー女優や男優だけでなく、成人向けコンテンツの配信に関心がある一般の男女も動画を投稿・販売しています。

基本的には、AV新法など日本の法律に準拠した審査を行うサイトです。盗撮などの犯罪に関係する内容を売りにした動画は投稿できない仕組みになっているはずなので、今回の事件には驚きました。審査体制の問題も浮き彫りになったのではないかと感じています」

同サービスは2021年に始まり、個人のクリエイターが写真や動画、ライブ配信などを通じてファンから直接収益を得られるプラットフォームとして成長してきました。

ただし、サービスを利用する際には、料金体系や契約条件を事前に確認することが大切です。Yahoo!知恵袋などには、入会後に予想していなかった請求が届いたという相談も投稿されています。こうした投稿の内容だけでサイト全体の問題を断定することはできませんが、利用規約や課金の仕組みを十分に確認してから利用する必要があるでしょう。

● 口の中に包丁を入れられ、スタンガンで電流を流された
2026年10月6日、東京地裁で小野洋平被告(39)の妻だった小野晴香被告(28)と、内縁関係にあった小野凜被告(23)の公判が開かれました。

法廷では、小野洋平被告による暴力によって、晴香被告がマインドコントロールされた状態にあったことが明らかになりました。なかでも衝撃的だったのが、凜被告による意見陳述です。

凜被告は、洋平被告から受けた仕打ちについて、次のように述べています。

〈(洋平被告から)口の中に包丁を入れられたり、スタンガンで電流を流されたりしました。真冬にパンツ姿でベランダに出されたこともあります。従わなければ殺されると思っていました。逃げたら顔に硫酸をかけると脅されていました〉

小野被告は、女性たちの交友関係を制限し、周囲との連絡を絶たせていたといいます。さらに、暴行のあとに性行為を強要し、その後は優しい言葉をかけるという行為を繰り返していたとされています。

その結果、凜被告は次のように感じるようになったといいます。

〈愛してくれるのは自分(註:洋平被告)だけだと思わされた〉

凜被告の意見陳述からは、激しい暴力と精神的な支配によって、逃げることさえ困難な状況に追い込まれていた様子がうかがえます。

晴香被告の意見陳述書にも、同様に深刻な被害が記されていました。

凜被告は、10代の女性らに対する犯罪に関与したとして責任を問われる立場にある一方、自身も洋平被告から暴力を受け、支配されていたと主張しています。加害行為に関わった人物が、同時に深刻な被害を受けていたという事実に、法廷の傍聴人も複雑な思いを抱かずにはいられなかったでしょう。

● 「いいことをしたら100円」 金銭まで管理されていた女性
動画販売による収益は、洋平被告の母親名義の口座に振り込まれ、引き出された現金を凜被告が金庫に保管していたといいます。

凜被告が金銭管理を担当していたのは、晴香被告がお金の管理を苦手としており、洋平被告も面倒に感じていたためでした。凜被告は金庫番として現金を管理し、洋平被告に報告していたものの、自分が自由に使えるお金は毎日1000円のお小遣いに限られていたそうです。

ところが、そのわずかな金額さえ、2024年10月からは渡されなくなりました。

凜被告は法廷で、当時の生活について次のように説明しています。

「2024年10月からお小遣いをもらえなくなりました。いいことをしたら100円もらえる決まりになったのです。財布には2000円しか入っていませんでした。怒られたときや、洋平さんが期待する答えを出せなかったときには、お金を取り上げられました」

自分が管理しているはずのお金を自由に使うこともできず、日々の行動や発言まで洋平被告の意向に左右されていた凜被告。常に相手の顔色をうかがいながら暮らしていた様子が伝わってきます。

今回の事件では、被害者の1人であるAさんが、当時わずか13歳だったことも明らかになっています。

身分証を確認し、Aさんが13歳だと知った凜被告。法廷で「Aさんに対してどう思いますか」と問われると、次のように謝罪しました。

「13歳という幼い子に対して、大人の私がひどいことをしました。Aさんは、盗撮された性行為を誰かに見られるかもしれないという恐怖を抱えながら、これから生きていかなければなりません。申し訳なく思います」

洋平被告による暴力や支配の実態が明らかになる一方で、被害に遭った女性たちが今後も深い不安や苦痛を抱えて生きていかなければならない現実も浮かび上がっています。

凜被告の次回公判は11月に予定されており、被告人質問の続きが行われる見通しです。

参照:「硫酸をかけると脅され」…”一夫多妻”男「逆美人局を手伝った内縁の妻」洗脳の実態
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