中国の大学で、AIメガネを悪用した学生によるカンニングが発覚し、大きな問題になっているといいます。試験を行う側も、いろいろなテクノロジーの発展により、カンニング対策を変えていかなければならないため、大変です。
中国でカンニングと聞いて、ぼくがまず思い出すのは、中国で実際に起きた大規模な集団カンニング事件をモチーフにした映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』です。中国を舞台にした映画ではなく、タイで製作された作品ですが、中国や香港を含むアジア全域、そして世界中で大ヒットを記録しました。
単なる学校のカンニングと侮れない世界で、演出は完全にスパイ映画や極上の強奪劇です。ピアノのコード(音の並び)を使った解答の伝達や、消しゴム、時計の針を駆使した巧妙なトリックの数々に、特別なスリルを味わえます。
などと、映画の面白さを思い返している場合ではないのが、現実のカンニング事件です。AIメガネによるカンニングが発覚したのは、広東省にある華南農業大学です。
● 解答がレンズに表示される仕組み
2026年7月、男子大学生が期末試験に臨む際、日本円で約7万円のAIメガネを装着しました。このメガネは、縁の部分を指でタップすると試験問題の写真を撮ることができ、AIの検索機能を使うと、緑色の文字で解答がレンズに表示される仕組みだといいます。
試験開始から約10分後、メガネを怪しんだ試験監督が「あなたのメガネには問題がある、帰りなさい!」と指摘したことで、男子大学生のカンニングが発覚しました。
この大学では、ほかの期末試験の会場でも、AIメガネなどを使ったカンニング行為が複数確認されました。大学側は、AIメガネやBluetoothイヤホンなど、通信や撮影機能のある電子機器の持ち込みを禁止するなど、対応に迫られました。
中国では、3日間5,000円でAIメガネをレンタルできるサービスもあり、中には「試験問題を調べて答えを出せます」といったうたい文句でアピールするメーカーもあります。また、レンタルサイト上には「試験で使うと見つかりやすい?」「おすすめしない。ランプが光るよ」などのコメントもありました。
● ローソン、AIグラス(デジタルグラス)を使った実証実験
AIメガネを悪用する事件は今後も出てくると予想できますが、AIメガネをビジネスに活用した事例も当然、登場しています。
AIメガネもAIグラスも同じものを指しますが、AIメガネは主に一般の生活者向けのメディアやニュースでよく使われます。一方、AIグラスはガジェット好き、IT業界、またはビジネス市場(DXや産業用)で好まれるスタイリッシュな表現です。
ローソンでは、KDDIと連携し、AI機能を備えたデジタルグラスを店舗業務に導入する実証実験を、首都圏の2店舗で限定的に実施し、運用・検証を進めています。
スタッフがメガネに向かって質問するだけで、AIが音声・テキスト・映像で業務をサポートします。また、カメラが作業内容や時間を可視化して業務改善につなげるほか、多言語対応により、外国人スタッフなどのグローバル人材の育成にも活用されています。
AIメガネはさまざまな活用が見込めるだけに、悪用も懸念されます。しかし、「スマートフォンの限界」と「深刻化する労働力不足」という2つの社会課題を同時に解決できる唯一のデバイスだといわれています。これまでの10年が「スマホで生活が便利になった時代」だとすれば、これからの10年は「AIグラスによって人間の身体能力と視野が拡張される時代」になるとのことです。
参照:大学試験で「AIメガネ」使いカンニング 問題撮影し解答がレンズに レンタル普及
