交際相手の女性の遺体を宮城県栗原市の山中に遺棄したとして、東京都練馬区でバーを経営する36歳の男が10月5日、死体遺棄容疑で逮捕されました。

逮捕されたのは、バー経営者の三浦拓也容疑者(36)です。三浦容疑者は9月28日、同居していた交際相手でアルバイトの室賀真歩さん(25)の遺体を栗原市の山中に遺棄した疑いが持たれています。

三浦容疑者は練馬区の自宅から宮城県へ向かった理由について、当初は「店で使う酒を買いに行った」と説明していました。その後、「温泉に行くためだった」とも話していたということです。

● 栗原市の温泉には10分ほど滞在
9月30日、室賀さんの母親から「娘と連絡が取れない」と相談を受けた警視庁は捜査を開始しました。

10月4日には、宮城県栗原市の花山湖周辺で室賀さんの遺体を発見しています。

逮捕前の任意の取り調べで、三浦容疑者は「仕事から帰ったら(女性は)いなかった。宮城には一人で行った」などと説明していました。

一方、練馬区から宮城県まで車で向かった理由については、当初「店で使う酒を買いに行った」と説明していたものの、その後は「温泉に行くためだった」とも話していたということです。

実際、三浦容疑者は栗原市内の温泉に立ち寄っており、滞在時間は10分ほどだったことが分かっています。

練馬区から宮城県まで車を走らせ、温泉にわずか10分ほど滞在したという説明には、不自然さが残ります。ただ、実際に温泉を訪れていたことから、宮城県へ向かった理由を問われた際に説明できるよう、口実を作るために立ち寄った可能性も考えられます。

防犯カメラやスマートフォンなどの解析から、三浦容疑者の足取りも明らかになってきました。

9月28日午前7時ごろ、三浦容疑者は自宅から駐車場まで原付きバイクで移動しました。その後、車で自宅に戻り、宮城県へ向けて出発したとみられています。この際、自宅にあった室賀さんの遺体を車に乗せた可能性があります。

その日の夕方ごろには、遺棄現場周辺を2回訪れていました。2回目の訪問時には周囲が暗くなっており、この際に遺体を遺棄した可能性があるということです。

その後、三浦容疑者は栗原市内の温泉に立ち寄り、10分ほど滞在しました。そして翌29日午前3時ごろ、東京の自宅に戻っています。

自宅近くの防犯カメラには、三浦容疑者が宮城県から帰宅した29日午前3時ごろ、車からスーツケースを下ろし、自宅へ運び入れる姿が映っていました。警視庁は、このスーツケースが遺体を運ぶために使われたとみています。

● 以前から繰り返されていたDVトラブル
三浦容疑者と室賀さんの間では、以前から口論や暴力をめぐる通報・相談が繰り返されていました。

「今年3月以降だけでも計4回あり、警察が2人を引き離した後も同居を再開していたとみられています。9月には、室賀さんの鼻を骨折させたとする傷害容疑で三浦容疑者を書類送検しています。警視庁は室賀さんの殺害にも関与した可能性があるとみて調べています」(社会部記者)

室賀さんの知人だった30代男性も、以前から本人から暴力について相談を受けていました。

「事件の前からDVのトラブルはありました。三浦容疑者がキレて物を投げたり、問題を起こしたりすることがあったんです。今年の7月20日ごろには、彼女から『彼氏に殴られて鼻が折れている』という内容と、ケガの画像が送られてきました」

男性は室賀さんに対し、「病院と警察に行って証拠を残した方がいい」と助言し、警察への相談を促したといいます。

さらに、この男性によると、三浦容疑者は室賀さんのスマートフォンを使い、本人が生きているように装って知人らへLINEを送っていたということです。

「まほさんのスマホから、自分(知人男性)宛てに『しね!なごやかえる』と、あたかも生きているかのような偽装LINEを送っていたんです。まほさんの10年来の友達や、元バースタッフの女の子にも連絡していたようです」

この「しね!なごやかえる」というメッセージには、三浦容疑者の強い悪意や嫉妬が表れているとも考えられます。別の記事によると、この30代男性は以前、室賀さんと交際していました。

● 室賀さんは三浦容疑者の経営するバーの客だった
では、室賀さんは三浦容疑者とどのように知り合ったのでしょうか。

室賀さんはもともと、三浦容疑者が経営するバーの客でした。室賀さんと約1年ほど前まで交際していた30代男性が、集英社オンラインの取材に応じ、当時の状況を明かしています。

「まほさんは中部地方の出身で、上京してきたのは自分と交際していた去年の6月か7月ごろでした。当時は沼袋駅付近に住んでいて、中野駅の南口にあるカフェで働いていました」

室賀さんは昨年夏ごろから、三浦容疑者のバーへ通うようになったといいます。

「彼女はお酒が好きだったので、駅付近のバーへ飲みに行くようになり、たまたま今回の三浦の店に行ったんです。その後、彼女から『バーテンと付き合いたい』と言われて、別れることになってしまった。去年の9月か10月あたりから三浦容疑者と同棲を始めたのだと思います。バーでアルバイトとして働いていたことは、後々、他の人から聞いて知りました」

しかし、男性は交際中から室賀さんの身に何らかの異変が起きていたことにも気づいていました。

「ある時、彼女の片目がすごく腫れていて、俺は殴られたのかなと思ったんですが、本人は『転んだ』と言っていました。また、LINEでは『婚約したんだけど、店の客のババアと浮気しとった』と言っていたこともあります」

男性が室賀さんへの暴力を具体的に知ったのは、本人からLINEとケガの画像が送られてきた今年7月のことでした。7月20日前後、室賀さんは男性に次のようなメッセージを送っていました。

《愛想つかして指輪投げたら、鼻折られたわ》

室賀さんの説明によると、その日の午前6時から8時過ぎごろ、三浦容疑者の店で女性関係をめぐって口論になったといいます。

その際、強く殴られて倒れ込み、さらに顔をぶつけられたことで、ワンピースや髪にも血が付着したと男性に伝えていました。さらに室賀さんは、鼻のケガだけでなく、命を脅かされるような暴力を受けたことも訴えていました。

《ここまでやってしまったし殺すって言われて首絞められた》

警察に助けを求められなかった事情についても、室賀さんは男性にこう伝えていました。

《本当は現行犯で捕まえてもらいたかったんだけどね…携帯取られてたし、美容外科行ったりで》

男性は室賀さんに対し、病院を受診したうえで警察に相談し、証拠を残すよう助言しました。その後、室賀さんは実際に警察へ相談しています。また、母親も娘が暴力を受けていることを警察に伝えていました。

前出の社会部記者が説明します。

「7月21日には、母親が『娘が彼氏に殴られて病院に行くと言っている』と警察に相談しています。その後、三浦容疑者は傷害容疑で書類送検されました。9月25日にも警察官が同居先を訪ね、室賀さんからトラブルはないと確認していたといいます」

● 繰り返されていた相談はなぜ生かされなかったのか
今回の事件では、以前からDVや交際をめぐるトラブルが繰り返され、警察への通報や相談も行われていました。それにもかかわらず、最終的に室賀さんが死亡する事態に至ったことで、周囲や行政による介入や被害者の保護が十分に機能していたのかが問われています。

DVや交際相手からの暴力をめぐる問題では、被害者が加害者から離れた後、再び同居や交際を続けるケースもあります。今回も、警察が2人を引き離した後に同居を再開していたとみられています。

さらに、このトラブルでは室賀さんだけでなく、三浦容疑者側からも「口論になった」「彼女から殴られた」などの通報があったとされています。

双方から通報が寄せられるケースでは、どちらを保護すべき対象と判断するのか、警察側のリスク評価や対応が難しくなる可能性もあります。

ただ、室賀さんは7月に鼻を骨折するなどの被害を訴え、母親も警察に相談していました。その後、三浦容疑者は傷害容疑で書類送検されています。

現在、三浦容疑者は死体遺棄容疑で逮捕されており、「記憶にない」と容疑を否認しています。

警視庁は、室賀さんが首を圧迫されたことによる窒息死だった可能性を含め、三浦容疑者が殺害に関与した疑いについても調べています。

今後の捜査によって、室賀さんが死亡した経緯だけでなく、事件に至るまでに繰り返されていたDVや警察への相談に対して、どのような対応が取られていたのかについても明らかになっていくとみられます。

参照:≪宮城・25歳女性遺棄≫「店の客のババアと浮気しとった…」婚約しながら浮気トラブルか
   《宮城・25歳女性を山中遺棄》「彼氏に殴られて鼻が折れた…」DV男は1か月前に書類送検