群馬県太田市の住宅で住人の手塚由佳さん(52)が殺害された事件で、群馬県警は27日、手塚さんの長男(26)に対する殺人未遂容疑で公開手配していた三原理稀(みはら・りき)容疑者(30)を逮捕しました。

三原容疑者は手塚さんの長女(28)の元夫です。事件後、現場から逃走して行方が分からなくなっていましたが、27日午後、群馬県高崎市内で身柄を確保されました。

● パチンコ店で発見、逮捕
事件が起きたのは25日昼ごろです。手塚さんの住宅で、三原容疑者が長男の頭部などを刃物で切りつけ、殺害しようとしたとされています。

住宅内では手塚さんが胸を刺されて死亡しているのが見つかり、近くには包丁1本が残されていました。三原容疑者は事件後、靴を履いていない状態で現場から逃走していました。

その後、9月27日午後2時すぎ、事件現場から約40キロ離れた高崎市内のパチンコ店で発見され、逮捕されました。

「捜査員が高崎市のパチンコ店のベンチに座っている三原容疑者を発見し、警察車両内でそのまま逮捕したそうです。警察の問いかけに対しても『(本人で)間違いない』と素直に応じたといいます。県警は、手塚さんの殺害にも関与したとみて捜査を進めています」

大手紙社会部記者はそう話します。

今回の逮捕によって、三原容疑者は元妻の母親に対する殺人容疑と、元妻の弟に対する殺人未遂容疑で捜査を受けることになります。

● 以前から警察にDV相談
事件の1週間前には、三原容疑者が手塚さんの家族に危害を加えることをほのめかしていたといいます。



三原容疑者と手塚さんの長女は今年3月までに離婚していましたが、その後もしばらく同居していた時期がありました。

「3月30日、三原容疑者は長女と口論になり、その場にいた手塚さんの長男が栃木県警に110番通報しています。

さらに長女は、栃木県佐野市のアパートで三原容疑者と同居していた6月2日、群馬県警にDVについて相談しました。県警は三原容疑者を指導するとともに、長女に対しても、接近禁止などを求める保護命令を裁判所に申し立てるよう助言したそうです」

関係者はこう説明します。

9月19日にも、長女から栃木県警に精神的なDVについて相談がありました。その際、長女は「三原容疑者から、母親と弟を殺して自分も死ぬと言われた」という趣旨の話をしたとされています。

事件前日には、群馬県警が安全確認のため長女に「実家には帰らないほうがいい」と伝えていたといいます。

しかし、実家には病気のため介護を必要とする母親がおり、家庭の事情から長女は実家に戻らざるを得ない状況だったとされています。

警察は口頭での指導や「実家に近づかない」「避難する」といった助言をしていました。それでも結果的に事件を防ぐことはできませんでした。

こうしたケースでは、接近禁止などの保護命令が必要と判断されるほど危険性が高い場合に、GPSなどを活用して接近を把握する仕組みを整える必要性も指摘されています。

● GPSによる監視をめぐる議論
GPSの導入をめぐっては、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(57)が28日、TBS系「ゴゴスマ」に出演し、今回の事件について自身の見解を述べました。

橋下氏は、接近禁止命令などの法的措置をもっと早く取れなかったのかという点について触れながら、次のように話しています。

「もっと早く接近禁止命令とか、いろいろな法的な措置がとれなかったのかということを、こうなってからは言えるんですけれども、その当時の2人の関係というのは、警察や現場の者しか知らないところがあります。なんでもかんでも禁止して引き離して、それでいいのかというところです。逆上するなり、被害者と言われる人が『そこまでは』というところもあるし、本当に難しい」

その一方で、GPSを活用した監視については必要性を指摘しました。

「日本で政府が議論しているのは、いろんな理由があったとしても、GPSをつけるということです。加害者側が被害者側に近づいたときに通知したり、警察に連絡がいったりする。そういう技術を使っていく。それは今年の7月ぐらいに議論されているのですが、日本はまだ先進国の中では踏み出せていない。僕は必要なんじゃないかなと思いますけどね」

韓国では2008年から、性犯罪者や凶悪犯を対象にGPS機能を備えた「電子足輪」による監視制度が導入されています。2023年10月からは、ストーカー加害者も対象に加えられました。

韓国法務省などの統計によると、電子足輪の導入前と比べ、性犯罪者の再犯率は約8分の1〜20分の1にまで低下したと報告されており、極めて高い抑止効果が確認されています。

韓国では、加害者が被害者の2キロメートル圏内に接近すると管制センターが検知し、加害者と被害者の双方に警告が送られる仕組みが設けられています。警告を無視した場合には、警察官や保護観察官が現場に出動する体制も整えられています。

さらに2026年6月からは、被害者が専用アプリを通じて、加害者の現在地や移動経路をリアルタイムで確認できるよう機能が強化されたとされています。

韓国でのこうした取り組みを参考に、日本でもGPSなどを活用した新たな防止策について議論が進むことが望まれます。

● 両腕には和彫り
三原容疑者の自宅は、栃木県佐野市にある2階建てのアパートです。事件現場からは約20キロ離れています。

間取りは2DKまたは2LDKで、住民によると単身者向けというより、複数人で暮らすことを想定した物件だったといいます。

このアパートに3年近く住んでいるという住民は、三原容疑者について次のように話します。

「引っ越してきたのは、ここ1年ほどのことだと思います。ゴミ出しなどで会ったときに挨拶をする程度の関係でしたが、優しい感じで、人を殺すようには見えませんでした。

ただ、声の感じとは裏腹に、たまに半袖を着ているときには両腕にびっしり入った和彫りが見えることがあり、印象に残っています。

家の裏には、ニュース映像で押収された黒のレクサスが停まっていて、いつもその車に乗っていました」

離婚後も一時期、長女と同居していたという三原容疑者。その痕跡なのでしょうか。外から見える部屋の窓際には、キャラクターもののぬいぐるみがずらりと並んでいました。

では、三原容疑者はどのような経歴をたどり、周囲からどのような人物として見られていたのでしょうか。

● 経歴・生い立ちの変化
小・中学校時代の卒業アルバムなどからは、素朴で真面目なスポーツ少年だった姿がうかがえます。

当時を知る周囲の人たちからは、後に重大な事件を起こすことをうかがわせるような兆候は感じられなかったとされています。

その後、年齢を重ねるにつれて、外見や周囲との人間関係、素行などに変化が見られたといいます。

成人するころには、周囲から「金髪のギャル男」と呼ばれるような派手な容姿になり、シャツの隙間から刺青をのぞかせるなど、学生時代とは異なる印象になっていたと知人は証言しています。

事件当時の報道では、三原容疑者は「職業不詳、栃木県佐野市在住」とされていました。

● 同級生が語る人物像
かつての同級生や知人によると、三原容疑者は、普通の友人として接していた相手に対しても、何らかのきっかけで「自分の敵だ」「裏切られた」と思うと、態度を一変させることがあったといいます。

極端に攻撃的な態度を取ることもあったとされ、今回の事件について知った際には、学生時代からの攻撃的な一面と重なると感じたという知人もいます。

友人関係では嫉妬深い一面もあり、「俺以外の別の友達と話しただけで、お前とは縁を切るぞ」などと相手を脅すことがあったといいます。

相手の交友関係に強く介入し、人間関係を自分の思いどおりにしようとする傾向があったとの証言もあります。

また、気に入らない相手に対して集団で無視するよう周囲を誘導するなど、陰湿ないじめに加担していたとの指摘もあります。

● 法改正のスピード(GPS義務化への現実味)
この事件は、日本国内で足踏みしている「ストーカー加害者へのGPS装着義務化」の議論を加速させる決定打になる可能性があります。

「実家に帰るな」という被害者への行動制限だけでは命を守れないことが証明されたため、加害者側を物理的・技術的に縛るための法整備(接近禁止命令に連動したGPS装着など)へ向けた国会や法制審議会の具体的な動きに注目が集まります。

参照:《両腕にびっしり和彫り、部屋はぬいぐるみだらけ》スマホを元旦那に奪われた【群馬】
   橋下徹氏「GPSつけるというのは…必要なんじゃないかな」被害者守るため…群馬女性殺害