「1日30分睡眠」を17年間続けてきたと自称する堀大輔氏(日本ショートスリーパー育成協会代表理事)を巡り、2026年8月から9月にかけて、複数の騒動が起きています。
これまで「ショートスリーパー」を前面に打ち出してきた堀氏ですが、2026年9月には自身の睡眠時間をめぐる疑惑を払拭する目的で長時間の生配信を実施しました。しかし、この配信をきっかけに新たな疑問や批判が生じることになりました。
● 約7日間にわたる連続生配信
2026年9月、堀氏は「1日30分睡眠」が事実であることを証明するため、169時間、約7日間に及ぶ連続生配信を行いました。
もともとの目的は、「実際には長時間眠っているのではないか」という疑惑を解消することでした。しかし、配信を通じて注目されたのは、睡眠時間の真偽だけではありませんでした。長時間にわたる配信そのものに対しても、視聴者からさまざまな疑問や反応が寄せられるようになりました。
ぼくも配信を一部視聴しましたが、堀氏の目が充血している様子などが映っており、長時間の睡眠制限による負担を感じさせる場面もありました。長時間にわたって睡眠を取らずに過ごす様子を見続けることに抵抗を感じ、途中で視聴をやめました。
配信中には、堀氏の母親が息子の様子を心配して訪ねてくる場面も映されています。
さらに、ヘッドスパの施術中に、約27分間にわたっていびきをかいて眠っているように見える場面があり、これも批判を集めました。これに対して堀氏は、通常の睡眠ではなく「マイクロスリープ(微小睡眠)」が起きただけだと説明しています。
配信終了後、堀氏はSNSのプロフィールなどから、それまで長年ビジネスの中心として使用してきた「ショートスリーパー」という表現を削除し、「睡眠時間は自由」という表現へ変更しました。
この変更を受け、これまで「1日30分睡眠」を強く打ち出してきたこととの関係について、疑問や失望を示す声も出ています。
● 生配信では見えなかった受講者への対応
こうした一連の出来事が起きる約1年前、堀氏の睡眠術を学ぶ講座を受講していたジャーナリストの横田増生氏が、講座での堀氏の様子を明らかにしています。
横田氏が講座を受講したのは2025年8月です。当時の受講料は通常5万5000円でしたが、半額の2万7500円に設定されていました。また、「睡眠の改善が見られない場合は、全額返金保証」とされており、受講を申し込む際の金銭的なハードルは比較的低く設定されていました。
ところが、初日の講座で堀氏はZoomを通じて、受講生に対して次のように説明したとされています。
「講師である私に直接質問は、できません。禁止です」
講座では、堀氏が受講生同士を組み合わせて「バディグループ」を作り、受講生はまずバディに相談する仕組みになっていました。そして、その相談の過程や結果を堀氏に報告するという形式です。
堀氏は、この仕組みについて次のように説明しています。
「バディの相談を受けた方から、『堀先生、今の回答で合っていますか』っていう質問を受けるのはありです」
横田氏が事前に見ていたYouTube番組などでの堀氏は、陽気で親しみやすく、周囲を楽しませる人物として振る舞っていたといいます。自分自身が笑われることになっても、周囲が幸せになるのであれば構わないという姿勢を示すこともあったようです。
しかし、実際に講座へ参加すると、そこで見せる態度はそれまでの印象とは大きく異なっていたと横田氏は記しています。
堀氏は講座の中で、医師やプログラマー、教員なども受講しており、受講開始から1か月の段階で、ほぼ100%の確率で睡眠が改善していると説明したとされています。
一方で、受講生が講座を途中で離脱することについては、かなり強い口調で言及しています。
「この講座を3日ぐらいで辞めようと思っている人って、今の段階でどれぐらいいますか。もう十分だから、3週間の時点で、プログラムやめようと思うんですっていう人もいますか。1か月続けるということでOKですね。
脅迫じみていると思わないでください。正直に回答してほしいところなんですけども、いないですよね? いないですよね!? もう一回言いますね、いないですよね!? じゃあ、離脱しないでください」
なぜ受講料を支払っている受講生に対して、ここまで強い態度を取るのか。その背景について、堀氏自身が講義中に説明しています。
「講師はお金を預かっているんだから、サービスをして当然だろう、という人もいるでしょう。しかし、僕はここには違和感があります。僕、別に睡眠変える必要ないんです。僕は日本の中で睡眠極めてる側の人間なので。けれど、そんな僕が一番熱量が高くて、一方で自分の睡眠を変えようとされている受講生の方々が、勝手に講座を辞めることができると思うのって、おかしくないですか」
● 「1日23時間以上使える」としていた睡眠法
堀氏は2016年に出版した著書『できる人は超短眠!』の中で、自身の睡眠について次のように記しています。
「私は6年間1日平均45分以下しか睡眠をとっていません。もちろん、45分しか寝ないからといって、つねに眠気に襲われているとか、思考力が鈍るとか、健康を損なっているわけではありません。むしろ、活力がみなぎり、集中力も増し、ストレスも解消され、健康状態も良好です。なにより1日23時間以上も時間が使えるので仕事も遊びも目一杯できます」
堀氏が初日の講座で受講生に強い口調で継続を求めた背景には、その月の受講者数が19人にとどまり、「不安でしょうがない」という事情があったとされています。
また、別の月には40人の受講者を集めたものの、開始から2週間後には14人まで減少したことについても、危機感を抱いていたと説明しています。
しかし横田氏は、
“仮に40人いた受講生の半数以上が途中で離脱しているのであれば、「1か月終了時点で、ほぼ100%の確率で睡眠が改善している」という説明との整合性について、疑問が生じます”
と、述べています。
一方、講座では講師への直接質問が禁止されているため、受講生がその疑問を直接確認することは難しい状況でした。
こうした講座の運営方法や受講生への対応については、堀氏が外部で見せている人物像との違いを指摘する声につながっています。
● 法律専門家が指摘するビジネス上のリスク
堀氏が提供しているビジネスについては、その根幹となる「科学的根拠」がどこまで明確なのかという点も論点になっています。
法律専門家からは、仮に「1日30分睡眠」という方法が事実ではない、あるいは一般の受講者には再現できないものであると判断された場合、受講生から受講料の返金を求められたり、場合によっては損害賠償を請求されたりする可能性があるとの指摘があります。
さらに、行政上の問題として、受講すれば誰でもショートスリーパーになれるかのような広告表示をしていた場合、合理的な根拠を示せなければ、景品表示法に抵触する可能性も指摘されています。
一連の騒動を通じて浮かび上がっているのは、「1日30分睡眠」という従来の主張そのものだけではありません。長時間生配信での実演、講座における受講生への対応、そして睡眠法の科学的根拠や広告表示のあり方など、複数の論点が重なっています。
今後は、「1日30分睡眠」という主張にどの程度の科学的根拠や再現性があったのか、また、これまでの広告や講座での説明が実際のサービス内容とどのように整合しているのかが、重要なポイントになると考えられます。
参照:《1日30分睡眠》堀大輔氏の「ショートスリーパー講座」に横田増生氏が潜入体験
