「インフルエンサー」と聞くと、突然の高熱を伴うインフルエンザを連想する人もいるかもしれません。
実は、この2つの言葉には語源の共通点があります。いずれも「影響」を意味する英語(またはイタリア語など)の influence に由来します。
インフルエンサーとインフルエンザは、言葉の成り立ちだけでなく、「人々に強い影響を与え、短期間で広く拡散する」というイメージにおいても、どこか似た性質を持っています。前者は情報や行動を通じて人々に影響を与え、後者は感染によって急速に広がります。
今回は、過激な企画を次々と打ち出し、世界中で議論を呼んでいるイギリス出身の成人向けコンテンツクリエイターであり、インフルエンサーであるボニー・ブルー(Bonnie Blue)の活動を取り上げます。
● 過激な企画を繰り返し、注目を集める
ボニー・ブルーの活動をめぐっては、過激な内容の企画や、批判を集めることで注目を獲得する「炎上商法(レイジベイト)」的な手法に対し、さまざまな懸念が示されています。
彼女はこれまで、「12時間で1000人以上と関係を持つ」といった極端な企画を打ち出し、そのたびに大きな話題を呼んできました。
さらに、今年2月には、避妊具を使用せずに400人以上の男性と関係を持つ「繁殖ミッション」を実施したとされ、その直後に妊娠を公表しました。その後も、妊娠や出産を題材とした企画を相次いで展開しています。
こうした活動については、内容の是非とは別に、次々と新しい企画を考え出す発想力に驚かされる面もあります。しかし、その一方で、注目を集めるための企画が今後どこまで過激化していくのか、懸念を抱かせる側面もあります。
話題性を追求する姿勢が、倫理的な限界を越えてしまうことはないのでしょうか。彼女の活動を見ていると、そんな疑問が浮かびます。
● 児童保護(セーフガーディング)をめぐる懸念
2026年8月に第1子を出産した際、ボニー・ブルーは、新生児を抱いた自身のすぐ後ろに、目出し帽を着用した複数の男性が座っている動画を公開しました。
この投稿に対しては、生まれたばかりの赤ちゃんを自身の成人向けブランドや活動再開の宣伝に利用しているのではないかという批判が寄せられました。イギリス政界の保守党幹部や児童保護団体(NSPCC)などからも、子どもの安全や福祉に関する重大な懸念が示され、当局への通報につながっています。
また、赤ちゃんの命名権を競売にかけようとする企画も取り沙汰され、子どものプライバシーや尊厳をどのように守るべきかという問題が浮き彫りになっています。
親自身が発信者として注目を集める一方で、子どもには自らの意思で公開情報を管理する機会がありません。こうした状況を踏まえると、子どもをコンテンツの一部として扱うことの是非について、慎重な議論が必要です。
● 極端な性風俗イベントと「レイプ文化」への懸念
ボニー・ブルーは、視聴者の関心を引きつけるため、刺激の強いイベントや動画企画を繰り返し打ち出してきました。しかし、その内容が過激になるにつれ、倫理面や法的な問題を指摘する声も強まっています。
その一例が、「ふれあい動物園(Petting Zoo)」と称した企画です。ロンドン市内の住宅で自身を全裸の状態で拘束し、参加者に「何をしてもいい」とする内容が計画されました。この企画に対しては、性暴力を容認する風潮、いわゆる「レイプ文化」を助長するのではないかという強い批判が寄せられました。
そのほかにも、「12時間で1000人の男性と関係を持つ」といった動画の配信や、妊娠中にファンから尿をかけられる「ゴールデン・ベビーシャワー」と呼ばれるイベントなど、極端な内容の企画を公言しています。
視聴者の興味を引くために刺激を強めていく手法は、単なる話題づくりにとどまらず、性暴力や人権、同意のあり方をめぐる問題にもつながります。娯楽として消費されるコンテンツであっても、社会に与える影響については切り離して考えることができません。
● 法的トラブルと出入国制限
海外で企画や撮影を行う場合、訪問先の法律や社会規範を理解し、遵守することが求められます。しかし、ボニー・ブルーの活動をめぐっては、現地の規制に抵触する撮影などが問題となり、当局による拘束や出入国制限につながった事例もあります。
バリ島では、成人向けコンテンツの制作が厳しく規制されているなか、観光客を巻き込んだ「バングバス」と呼ばれる過激な屋外撮影を行ったとして、現地警察に拘束されたとされています。その後、長期間の入国禁止処分を受けたと報じられています。
インターネット上で世界中に発信できる企画であっても、撮影する場所の法律や文化的背景が変われば、許容される行為の範囲も異なります。オンライン上の注目を優先するあまり、現地の規則を軽視することには、重大なリスクが伴います。
● 若年層への影響と倫理観の希薄化
ボニー・ブルーは、18歳になったばかりの男子学生や若者を対象とする「全英バスツアー」などの企画も打ち出しています。こうした活動については、参加する若者が将来的な影響を十分に理解しないまま、企画に巻き込まれるのではないかという懸念があります。
一度インターネット上に公開された性的な映像は、本人の意思に反して拡散されたり、長期間にわたって残存したりする可能性があります。いわゆる「デジタルタトゥー」のリスクを、若者自身がどこまで認識しているのかという点は、重要な論点です。
目先の報酬やその場の勢いで参加した結果、将来の生活や人間関係に影響が及ぶ可能性もあります。参加者が十分な情報を得たうえで判断できる環境が整っているかどうかは、慎重に検討する必要があります。
こうした問題の背景には、注目を集めるほど知名度が高まり、サブスクリプション型のサービスを通じて収益を得られる「アテンション・エコノミー(関心経済)」の構造があります。
批判や怒りさえも閲覧数や話題性につながり、結果として収益を生み出す仕組みでは、過激な表現が繰り返されやすくなります。ボニー・ブルーの活動は、こうした仕組みが抱える課題を考えるうえで、ひとつの事例として捉えることができます。
重要なのは、単に個人の行動を批判することだけではありません。なぜ過激なコンテンツが注目を集め、どのような仕組みで収益化され、そこに関わる人々や社会にどのような影響を及ぼすのかを考えることと思われます。
参照:《ベッドの上で赤ん坊を抱き、覆面の男たちに囲まれ…批判殺到》ママになった金髪美女
