今年8月、福岡市・天神を流れる那珂川(なかがわ)で遺体となって発見されたラジバンシ・ラクスミさんは、7月に25歳の誕生日を迎えたばかりでした。ラジバンシさんはネパール国籍の専門学校生で、福岡市中央区で暮らしていました。来日したのは3年前で、ネパールにいる両親へ生活費を送るため、専門学校に通いながら複数のアルバイトを掛け持ちしていたといいます。

そんな彼女の死をめぐり、捜査が進むにつれて浮かび上がってきたのが、複雑な男女関係と、それを背景としたトラブルです。

● SNSに残されていた意味深な投稿
ラジバンシさんはSNSを利用しており、亡くなる直前にも複数の投稿を残していました。

遺体が発見される前日に投稿されたネパール語のメッセージには、次のような内容が記されていました。

〈私には関係を大事にして続けることもできるし、現実を見せることもできる。これからのあなたの行動次第で、どちらが相応しい人間か決まるよ!(NEWSポストセブン編集部訳)〉

さらに、その前日には、自身と男性の手元が映った動画を投稿し、

〈You secretly hate me I openly don’t care(同編集部訳:陰で私を嫌っているみたいだけど、どうでもいいわ)〉

という言葉も添えていました。これらの投稿は、ラジバンシさんが抱えていたとされる人間関係のトラブルと関係していたのでしょうか。

キー局記者は、SNS上で動画に映った男性に注目が集まったと説明します。

「事件の2日前に投稿された動画には、男性の手元だけが映っていました。この男性が何らかの形で事件に関与しているのではないかと、SNS上で“特定騒ぎ”になりました。男性はラジバンシさんのパートナーだったネパール人とみられています。

ラジバンシさんは以前にも、『彼に愛されすぎて、裏切った人や嫌っていた人なんてどうでもいい』などとSNSに投稿していました」

事件直前に相次いでいた意味深な投稿からは、彼女が周囲との間に何らかの深刻な確執を抱えていた可能性がうかがえます。

● 那珂川で遺体を発見、男女3人を逮捕
事件が発生したのは8月18日深夜から19日未明にかけてです。

8月19日早朝、福岡市・天神を流れる那珂川で、ラジバンシさんの遺体が浮いているのが見つかりました。その後、捜査は大きく動きます。



9月8日、福岡県警はネパール国籍の男女3人を殺人容疑で逮捕しました。日本でネパール国籍の女性が殺害され、同じネパール国籍の3人が逮捕されるという事件になりました。

逮捕されたのは、タマン・サンズ容疑者(28・専門学校生)ら20代の男女3人です。

警察によると、3人は共謀してラジバンシさんの頭を鍋で殴り、首をロープで絞めたうえ、3階のベランダから転落させるなどして那珂川へ落とし、溺死させた疑いが持たれています。

警察は、ラジバンシさんをベランダから落とし、川まで運んだのはサンズ容疑者とみて捜査しています。他の2人についても、事件への関与があったとみています。

ほかに逮捕されたのは、無職のタマン・アスミタ容疑者(25)と、留学生のラマ・プラビン容疑者(22)です。2人はいずれも佐賀県鳥栖市村田町に住んでいました。

捜査では、男性の交際相手をめぐる三角関係が事件の背景にあった可能性が浮上しています。さらに、サンズ容疑者がラジバンシさんの退勤時間を聞き出したり、自宅周辺を事前に下見したりしていた疑いもあるとされ、警察は計画的な犯行だった可能性も視野に捜査を進めています。

● 背景にあった複雑な三角関係
事件の背景にあるとみられているのが、ラジバンシさん、サンズ容疑者、そして1人の男性による複雑な関係です。

ラジバンシさんが交際していた男性は、もともとサンズ容疑者の元交際相手だったとされています。2人は別れた後も同居を続けていたといい、1人の男性をめぐる女性2人の関係が、次第に複雑になっていったとみられます。

サンズ容疑者の自宅近くに住む住民は、男性について「知っているか」と尋ねられ、次のように答えています。

「知っています。(日本は)お金とか高いです。だから2人で住んで安くなります」

今年1月には、男性をめぐってラジバンシさんとサンズ容疑者の間でトラブルが起きていたといいます。

ラジバンシさんの母親は、娘がサンズ容疑者から暴力を受けたと話しています。

「(サンズ容疑者は)私の娘に暴力をふるったのです。髪の毛を引っ張ったり、殴ったりしたので娘は警察に行って話したようです」

以前から女性同士の間にトラブルがあり、今回の事件につながった可能性があるとみられています。

● 「心優しい子だった」両親が語った娘の素顔
ラジバンシさんの母親は、娘の人柄についてこう話しています。

「ラクスミは心優しい子で、人に怒っているところを見たことがありませんでした」

父親も、娘が家族を大切にしていたことを明かしました。

「家族思いで、日本からもよく連絡をくれていました。生活費を送ってくれて、ネパールでの生活を支えてくれていました」

ラジバンシさんは日本で働き続け、家族を支えたいと考えていたようです。

「娘は『日本で働いてお父さんを養う。日本でずっと暮らします』と言っていました。『日本の環境はとても良いから、仕事帰りの夜道も1人で歩ける。とても安全』とも話していました」

3年前に来日して以降、専門学校で学びながら働き、遠く離れたネパールの家族を経済的に支えていたラジバンシさん。両親にとって、日本は娘が安心して暮らし、将来を築いていく場所でした。しかし、その生活は突然奪われました。

父親は、事件の捜査と今後について、次のように訴えています。

「日本人はとても親切で尊敬すべき人たちと娘は言っていた。娘の遺体がネパールに帰れるよう支援してほしい。犯人には最も重い処罰をしてほしい」

日本での生活を続けながら家族を支えようとしていた25歳の女性。その死の背景に何があったのか。警察は、事件に至るまでの人間関係や3人の関与について、さらに詳しく調べています。

 

参照:【速報】任意同行の一部始終 ネパール人女性殺人事件 殺人容疑で男女3人を逮捕

   《福岡天神・ネパール女性殺害》「陰で私を嫌っているみたいだけど、どうでもいいわ」