「蟹ラーメン」と聞けば、いかにもおいしそうで、一度は食べてみたいと思います。しかし、ラーメン一杯で2000円となると話は別です。貧乏性のぼくとしては、さすがにそこまで出す気にはなれず、食べるのを見送ってしまいます。

ところが、その「冷やし蟹ラーメン」をめぐって、いま穏やかではない騒ぎが起きています。

● 「冷やし蟹ラーメン」で食中毒の疑い
東京都港区で毎年開催されている「麻布十番納涼まつり」で販売された「冷やし蟹ラーメン」を食べた人たちに、食中毒の疑いがある症状が出ています。これを受け、保健所は出店した店舗への立ち入り検査を行っています。

麻布十番納涼まつりは、2026年8月22日と23日の土日に開催されました。

問題となっている冷やし蟹ラーメンは、2023年にオープンした日本料理店「割烹こめを」が、店舗前のテントで一杯2000円で販売したものです。

ところが、8月26日ごろからX上で「このラーメンを食べた後に体調を崩した」とする投稿が相次ぎました。投稿は瞬く間に拡散され、大きな騒ぎへと発展しました。

「割烹こめを」で統括料理長を務めるのは、格闘技イベント「Breaking Down」への出場でも知られる、こめおさん(31)です。「世界で闘う料理人」を自称するこめおさんは、騒動を受け、8月27日に自身のXで説明を行いました。

まず、注目を集めたのが、商品を翌日に持ち越して販売したのではないかという疑惑です。

こめおさんは8月22日、「麻布十番祭りが雨で中止になり、700食余ってしまった。明日天気よくなってくれ、、、」とXに投稿していました。

この投稿を受け、「22日に余った商品を翌日の販売に回したのではないか」との疑いが浮上しました。しかし、こめおさんはこれを否定し、「22日に余った商品を、23日の販売に使用した事実はありません」と説明しています。

また、「浅草の『かにを』で提供している通常商品なのではないか」との質問についても、「今回提供したのは浅草店舗の通常商品そのものではなく、麻布十番納涼まつりに出店した『割烹こめを』の『冷やしカニラーメン』です」と回答しています。

さらに、臨時営業許可を申請せずに出店していたのではないかという指摘については、必要な臨時営業許可を申請済みであり、「冷やし蟹ラーメン」として申請していたと説明しました。

つまり、現時点では、商品を翌日の販売に流用したことや、必要な営業許可を取得せずに出店したことについて、こめおさん側は明確に否定しています。

● 溝口勇児氏との「共同経営」
一方、今回の騒動をめぐって、別の意味で注目を集めている人物がいます。溝口勇児氏です。

関係者である溝口氏が、今回の騒動についてほとんど発言していないことに、SNS上では疑問の声も上がっています。

というのも、溝口氏は蟹ラーメン事業の「共同経営者」として名前を連ねているからです。

こめおさんと溝口氏の関係は、単に親しいというだけではありません。

2026年5月、こめおさん(本名・沼倉大将)が代表を務める「株式会社蟹を」は、浅草に蟹ラーメン専門店「かにを」をオープンしました。

その際に発表されたプレスリリースには、WEIN / BACKSTAGE Groupの代表取締役CEOを務める溝口氏との「共同経営」であることが明記されています。

リリースによれば、味づくりはこめおさんが主導し、運営や資金面では溝口氏がバックアップする体制です。約2年にわたって検証と改良を重ね、一杯のラーメンを完成させたこともアピールされていました。

こうした説明を見る限り、こめおさんの蟹ラーメン事業において、溝口氏は決して無関係な存在ではありません。

それだけに、今回の騒動について、9月1日現在まで溝口氏から目立った発言がないことを疑問視する向きがあるのでしょう。

● 「冷やし蟹ラーメン」のリスク
今回販売された商品は、「豆乳を使った冷やしまぜそば(冷やし蟹ラーメン)」として提供されました。

一般的な熱いスープを使ったラーメンとは異なり、冷たい状態で提供する麺料理では、衛生管理や温度管理がより重要になります。特に屋外のテントで提供する場合、夏場の高温環境の中で適切な温度を維持することは容易ではありません。

蟹などのシーフードや豆乳は、水分や栄養分を多く含む食材です。夏場の高温下で適切に冷却・保管されなければ、食中毒の原因となる菌が増殖する可能性があります。

もちろん、今回の体調不良が実際に食中毒によるものなのか、その原因が何だったのかについては、現時点では保健所の調査結果を待つ必要があります。

だからこそ、屋外で冷たい蟹ラーメンを提供するにあたり、どのような衛生管理や温度管理が行われていたのか。その点についても、今後の調査で明らかになることが期待されます。

● 過去にもあった「言っていることと違う」という批判
実は、こめおさんがSNS上で批判を浴びたのは今回が初めてではありません。



2026年5月4日に東京・浅草でオープンした蟹ラーメン専門店「かにを」も、開店直後に「カニの原産地」をめぐって話題になりました。

こめおさんはこれまで「国産食材」や「地方創生」をアピールしていました。しかし、実際にはトッピングのソフトシェルクラブに中国産やインドネシア産のものが使われていることが判明し、SNS上では「言っていることと違う」といった批判が出ました。

ソフトシェルクラブとは、脱皮直後のカニのことです。殻が柔らかいため、殻を剥かずに食べられるのが特徴です。特定の一種類を指す名称ではなく、さまざまな種類のカニが該当します。

この問題について、こめおさんは次のように説明しています。

「中国産の利用、食品偽装の件ですが、結論から言います。『中国産使ってます。』

インドネシア産もタイ産も使ってます。というより、国産のソフトシェルクラブというものがありません。あるのかもしれませんが、探した中でなかったです。」

こめおさんの説明によれば、スープなどには国産の蟹を使用する一方、具材には中国産やインドネシア産のソフトシェルクラブを使用しているとのことです。

ただ、ここで問題になったのは、外国産の食材を使用していたことだけではありません。事前に掲げていた「国産食材」や「地方創生」というイメージと、実際の食材の産地との間に、消費者がギャップを感じたことが大きかったのでしょう。

特にラーメンのように、味だけでなく、店のコンセプトや食材へのこだわりまで含めて楽しむ料理では、こうした情報をあらかじめ明確に伝えておくことが重要です。

そして今回の冷やし蟹ラーメンをめぐる騒動でも、説明と実態との間に食い違いが生じることがなければいいのですが……。そう思わずにはいられません。

何より、現時点では食中毒の原因も含め、事実関係がすべて明らかになったわけではありません。

今回の体調不良が本当に食中毒によるものなのか。原因は何だったのか。そして、販売時の衛生管理に問題はなかったのか。

最終的には、保健所による調査結果を待つ必要がありそうです。

参照:麻布十番祭り「蟹ラーメン」で76人体調不良 余った700食、保健所「使い回した可能性」
   76人体調不良のこめお「蟹ラーメン」騒動…なぜ共同経営者・溝口勇児氏はだんまりなのか?
   こめお氏の新ラーメン店が「食品偽装」で激しく炎上 ラーメン特有の「炎上理由」とは