「大量のカキを廃棄することになりました」というカキ漁師の告白を取り上げた「ねとらぼ」のニュースに目を通しました。

カキといえば、ぼくは生ガキが好きです。レモン汁やポン酢をかけて食べるのが定番ですが、けっこうな値段がします。岩ガキ(殻付き)なら、1個600円から1000円前後が相場です。

● 復興のためにカキを2万個売って
そんなカキを大量に廃棄しなければならない事態に陥ったカキ漁師に、思いもよらない展開が待っていました。

廃棄に至った経緯を紹介した動画と、その後の展開を報告した動画がYouTubeに投稿され、合わせて33万5000回以上再生されています。

投稿したのは、石川県でカキ漁師をしている「しょうた」さんです。YouTubeチャンネル「能登かき漁師 しょうた(@kaki_shota)」では、生産しているカキやおいしい食べ方、漁師ならではの知識などを発信しています。

しょうたさんによると、ちょうど1年前、新規の客から「能登半島地震後の復興のためにカキを広めたいので、2万個売ってほしい」と依頼があったそうです。

提示された価格は通常よりもはるかに安かったため、当初は断りました。しかし、その後も何度も依頼があり、最終的には規格外のカキを販売することで交渉が成立しました。

こうして2万個のカキを用意しましたが、一度に引き取ることはできないと言われ、2000個ずつ10回に分けて納品することになりました。

最初の1~2カ月はきちんと入金があったものの、あるとき突然、連絡が途絶えました。こちらから連絡すると、先方からは「やっぱりいらない」と言われてしまったそうです。

● カキが売れない、処分にもお金がかかる
その結果、しょうたさんは規格外のカキを大量に抱えることになりました。

規格外のため正規品として販売することはできません。さらに、この1年間は多忙を極めていたため、カキの処理や掃除をする時間も取れませんでした。そのため、在庫のカキには海藻が大量についた状態になっています。

この状態では、食用として販売することはできません。貝柱も薄いため、カキをむく練習用として利用するのも難しいそうです。

ほかの活用方法を考えても、すべて砕いて釣りの撒き餌にするくらいしかないといいます。

しかも、廃棄する場合はカキを殻ごと処分する必要があり、当然ながら費用もかかります。時間をかけて育てたカキが売れないだけでなく、処分するにもお金がかかる。なんともつらい状況です。

ここで気になるのが、大量注文が成立した後に一方的にキャンセルされた場合、法的な規制はないのかという点です。

卸売りで大量注文が成立した後の一方的なキャンセルは、原則として認められず、契約違反(債務不履行)となります。法的な責任として、売主側から損害賠償を請求したり、民事訴訟を起こしたりできる可能性があります。仕入れにかかった費用や、得られるはずだった利益を請求できるケースもあります。

また、悪質な場合には、偽計業務妨害罪として刑事責任を問われるケースもあるとのことです。

● これこそが意味のあるSNSの力
ところがある日、事態が大きく動いたことを、しょうたさんが続編の動画で報告しました。

なんと、約5トンにも及ぶ、廃棄するしかないと思われていたカキを出荷できることになったのです。

きっかけは、前回の動画を見た視聴者から寄せられたアドバイスでした。

「かぶせ釣り(カキなどの2枚貝を使って魚を釣る方法)用のカキを販売しているバラシスタさんに相談してみては?」

このコメントを受け、しょうたさんがバラシスタさんに「大量に廃棄する予定のカキを買っていただけないか」と相談したところ、すぐに取り扱ってもらえることになったそうです。

バラシスタさんはもともと、かぶせ釣り用に広島産のカキを使用していました。しかし、昨年は大不作だったため販売を中止していたそうです。そこに今回の話が舞い込み、ちょうどタイミングが合ったようです。

こうして、廃棄されるはずだったカキは、釣り用のエサとして買い取ってもらえることになりました。

しょうたさんは「これからも能登カキの生産を頑張るために大きな弾みとなりました。皆さま、ありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、動画を締めくくっています。

コメント欄には、「祝完売」「すげえ……これがネット時代の口コミネットワーク」「これこそが本当に意味のあるSNSの力なんだと思います」「地域を越えてつながれるのはネットならでは」「捨てる神あれば拾う神ありですね」など、驚きや感動、安堵の声が寄せられました。

参照:カキ5トンの注文が入るも“音信不通”で全て廃棄することに→1カ月後…… まさかの光景