東京地検特捜部に所属していた西田将仁検事が、取り調べを担当した女性と不適切な関係を持っていた問題で、法務省は7月30日付で西田氏を懲戒免職としました。さらに、退職金を全額支給しない異例の処分も決定しています。
● 取り調べ対象者との不適切な関係
西田氏は、捜査対象だった女性と刑事手続きが終了する前に私的な関係を持ち、3000円相当の電子マネーを受け取ったほか、公費で借りたホテルに女性を呼び出していたとされています。
さらに、自分を「ご主人さま」と呼ぶよう女性に求めていたことも判明しました。取り調べ中には「俺が法律」と発言するなど、検察官としてあるまじき言動も確認されています。
関係が始まった当初、西田氏は「妻子とは別れた」などと説明していました。しかし、その後は「二つの家族は大事だけど、お前の優先順位は一番下だ」と女性に告げていたといいます。その言葉を受け、女性は自分が欲望のはけ口として利用されていたことにようやく気づいたそうです。
ここでいう「二つの家族」とは、妻子のいる家庭に加え、別の女性弁護士とも不倫関係にあり、同棲生活を送っていたことを指しています。
● プレゼントまで女性に負担させたか
事情を知る関係者は次のように証言しています。
「西田氏は二つの家庭を行き来しながら、『子どもの学費が高く、お金がない』と話していました。一方で、不適切な関係にあった女性には食事代やホテル代を負担させ、自分ではほとんど支払っていなかったそうです。さらに、約4万円のワイヤレスイヤホンや約9万円のApple Watchなどのプレゼントまで要求していたと聞いています」
懲戒処分を受け、女性は取材に対し、「この度は、私事で世間をお騒がせしてしまい、大変申し訳なく思っております。長期間にわたる調査でしたが、最後まで検察庁の方々が私の心の傷と向き合ってくださいました。特に調査を担当してくださった方には感謝しています」とコメントしています。
● 自民党派閥の裏金問題も担当したエリート検事
特捜検事は、政治家の汚職や大規模な経済犯罪、巨額脱税など社会的影響の大きい事件を担当します。警察任せにせず、自ら情報収集や取り調べを行い、証拠を積み上げて事件を立件するのが主な役割です。そのため、高い法律知識に加え、優れた判断力と行動力が求められます。
西田氏は東京大学法学部を卒業し、2000年に司法試験に合格しました。2002年に検事へ任官した後は、東京地検や横浜地検、大阪地検堺支部、公正取引委員会への出向などを経て、東京地検特捜部では主任検事(キャップ)として自民党派閥の裏金問題の捜査を担当しました。
社会部デスクは次のように話します。
「これまで手が付けられなかった自民党派閥の問題を担当するには、現場を指揮する主任検事に相当な精神力が求められます。その意味でも、西田氏には大きな期待が寄せられていました」
順調であれば、特捜部副部長や特捜部長、地検検事正、さらには高検検事長へと昇進する可能性もあったとみられています。
● 懲戒免職だけで済む問題なのか
弁護士の紀藤正樹氏は7月29日、X(旧ツイッター)でこの問題について、「この件は、懲戒免職だけで済む問題なのでしょうか」と疑問を投げかけました。
さらに、「検察庁で重大なセクハラ事案が繰り返される背景について、第三者委員会による調査が必要ではないでしょうか」と提案しています。冤罪や人質司法、暴言などの問題にも触れ、「検察庁の膿を出し切るには、自浄作用だけでは限界があります」と訴えました。
今回の問題は、一人の検事による不祥事として終わらせるべきではありません。取り調べを受ける立場と検察官との圧倒的な力関係を考えれば、組織として監督体制に問題がなかったのかを検証する必要があります。
第三者委員会による徹底した調査を行い、原因究明と再発防止策を公表することが、国民の信頼回復への第一歩ではないでしょうか。
参照:「意に沿わない態度を取ると、女性に暴力も」元東京地検特捜部のエースが捜査対象の女性と
「ご主人さまと呼べ」の乱倫「特捜検事」に次の就職先はあるのか ほとぼりが冷めるまで
