週刊文春7月23日号を買いました。7月9日号に掲載された佐藤二朗さんと橋本愛さんを巡る「爆弾ハラスメント」の記事は、一方的で論点がずれた内容だったため、大きな批判を浴びました。週刊文春という雑誌の存在意義を考えるうえでも、疑問を抱かせる結果になったように思います。

それでも、事件に関するニュースを詳しく、しかも迅速に伝えてくれる媒体は、今や週刊文春か週刊新潮くらいしかありません。

週刊誌を取り巻く現状については、作家の林真理子さんが連載エッセイ『夜ふけのなわとび』で次のように書いています。

『最近は週刊誌が廃れてしまった。「ポスト」や「現代」はすっかり健康雑誌となり、血圧と認知症の特集ばかり。女性週刊誌は愛子さまの憶測記事のローテーション。』

そうした状況のなかで、今週号の文春で最も注目したのは、同居する女性の上下の唇を糸で縫い合わせたとして、7月6日に逮捕された櫻井政恵容疑者(49)の記事です。

しかし、読み終えた感想は少し拍子抜けするものでした。掲載されていた内容の大半は、すでにネットニュースで読んだ情報ばかりだったからです。これでは、わざわざ週刊誌を購入する価値を感じにくくなってしまいます。

最近の週刊文春は、記事をいくつかに分けてネットで順次公開し、「全文は『週刊文春 電子版』で読めます」という決まり文句で月額2200円の会員登録を促しています。また、「雑誌を買えば全文が読める」と期待させる構成にもなっています。

こうした販売方法の仕組みが見えてくると、紙の週刊文春を買うことも、電子版に加入することも、以前ほど魅力を感じなくなってしまいます。

● 針と糸で自分の唇を縫おうと
今週号の週刊文春で初めて知った内容といえば、被害女性は姉妹で櫻井容疑者の家に同居しており、櫻井容疑者が「食費がかかってしょうがねえ」と周囲に愚痴をこぼしていたという話です。(もっとも、この内容も後から調べるとネット記事ですでに報じられていました。)

櫻井容疑者の知人は次のように証言しています。

「寝床や食事など、生活の面倒はきちんと見ていました。姉妹は二人とも大食いで、マコ(櫻井容疑者のあだ名)は『食費がかかってしょうがねえ』と愚痴っていました。二人は工場などで働いていたそうですが、職場でトラブルが起きるとマコが対応し、『負債を肩代わりした』という話もあります。友人からは『早くあの姉妹を追い出せよ』と言われていました」

家出した姉妹との共同生活のなかで、櫻井容疑者は次第に不満を募らせていったようです。

「マコは『姉妹がなかなか言うことを聞かない』と手を焼いていました。姉には物を盗む癖があったようで、何度も息子の財布からお金がなくなったそうです。それでも『こういうことはやってはいけない』と根気よく教えていました」
と語られています。

さらに近隣住民は、事件前の異様な出来事を目撃していました。

「女性が一人で外に出され、雨が降るなか駐車場に横たわっていたんです。締め出されているような雰囲気でした」

そして事件発覚のおよそ1か月前には、さらに衝撃的な出来事があったといいます。櫻井容疑者の元夫は、家を訪れた際の様子を次のように証言しています。

「玄関で正座した女性が、針と糸で自分の唇を縫おうとしていました。『痛い、痛い』と言いながら。糸は血で赤くなっていて、私はパニックになりました。すぐに『やめて!』と止めました。そのときマコは外出していました」

「誰かに命じられたのではないか」という問いには、

「それは分かりません。でも普通、『やれ』と言われただけで自分の口を縫いますか。後でマコに聞いたら『私じゃないよ』と言っていました」
と答えています。

自ら唇を縫おうとする光景は、まるでホラー映画の一場面のようです。事件の前兆とも受け取れる出来事ですが、真相については現在も警察の捜査が続いています。

一方で、この事件には別の見方もあります。

● 妹から見ると「優しい姉」
櫻井容疑者の実妹が「現代ビジネス」の取材に応じ、「真実を伝えてほしい」として姉について語っています。

妹によると、家には櫻井容疑者と子ども2人、そして同居人の計5人が暮らしていましたが、自分が遊びに行った際に同居人と激しく口論する姿は一度も見たことがなかったといいます。

みんなでUNOをしているときに冗談で「バカ」「アホ」と言い合うことはあっても、深刻なトラブルがあるようには見えず、事件後は同居人とも会えていないため、何が起きたのか分からないと話しています。

古河市で4人姉妹の次女として生まれた櫻井容疑者は、妹から見ると”優しい姉”でしかなく、あくまでも「面倒見の良い姉」でした。

家庭環境が複雑だったため、幼い頃からずっと一緒に育ったわけではありませんが、妹にはとても優しく、悪いことをすればきちんと叱り、悩みがあれば相談にも乗ってくれる存在だったそうです。

また、二度の結婚と離婚を経験しながらも、妹一家や子どもたちをディズニーランドや海、川でのバーベキューに連れて行き、特技だったイラストを描いて子どもたちを喜ばせていたとも語っています。

現代ビジネスに掲載された妹の証言は、これまで報じられてきた櫻井容疑者の人物像とは大きく異なり、戸惑いを覚えました。もちろん、家族である以上、かばう気持ちが含まれている可能性はあります。しかし、人にはさまざまな側面があります。事件だけでは見えてこない人物像を知るうえで、このような家族の証言にも一定の参考になる価値はあると感じました。

参照:茨城・古河市“唇縫い付けタトゥー女”(50)の奇妙な共同生活…
   【独自】茨城・唇縫いつけ事件《容疑者の妹》が独白「ウチは家庭環境が複雑で…」