山本太郎氏といえば、歯切れのよい語り口で政治問題を鋭く追及する姿が印象的な政治家です。しかし、今回の記者会見では、そのイメージとはかけ離れた無責任とも受け取れる幕引きが強い違和感を残しました。

約半年ぶりに公の場へ姿を見せた山本氏を前に、急遽集まった約30人の記者は、そのあまりに軽い口調に戸惑いを隠せなかったといいます。「あははは」と笑いながら「辞めた!」と話す場面もあり、同席した幹部たちも「代表のおかげで…」と、まるで卒業式の送辞のような言葉を並べていました。

れいわ新選組は、山本氏の辞任表明を受け、後任を選ぶ代表選を17日に告示し、31日に投開票すると発表しました。また、新代表の選出後には党名も変更する方針を示しています。

● 生き急いでいると言えば山本太郎
問題となったスピード違反は2025年10月に発生しました。山本氏は東九州自動車道で法定速度を69キロ上回る時速149キロで走行し、道路交通法違反で検挙されました。この事実が明らかになると、世間から厳しい批判が寄せられました。

実際に略式命令を受け、罰金9万円を納付したのは2026年4月です。しかし、公表されたのはさらに約3か月後の2026年7月でした。

さらに問題視されたのは、その後の対応です。当初、オービス(自動速度違反取締装置)の通知への対応を秘書に任せたまま約3か月放置していたことに加え、2026年1月に参議院議員を辞職した際にも、この事実を一切公表していませんでした。そのため、記者からは党としての説明責任や、意図的な隠蔽ではないかとの厳しい追及が相次ぎました。

定刻になると、永田町の貸し会議室で記者会見が始まりました。冒頭、山本氏は神妙な表情で次のように語りました。

「生き急いでいると言えば山本太郎なんですが、スピード違反という法令違反までして生き急いではならないと。ま、当たり前の話なんですけど、大幅な速度超過を行ったことに関して私自身、反省しております」

しかし、この謝罪には多くの記者が違和感を抱きました。「生き急いでいる」という言葉で自身を表現しながら謝罪を始めたこと、着席したまま頭を下げたこと、そして何より、病状が思わしくないことを理由に「れいわ新選組代表を辞任します」と表明し、その流れでスピード違反についての説明を打ち切ってしまったからです。

こうした一連の対応を見る限り、法定速度を69キロ超過したことへの反省が十分に伝わってきたとは言い難い印象を受けます。

● 世界のトヨタだな、って思いました
記者から「サーフィンで遊んだ帰りにスピード違反をしたのではないか」という趣旨の質問が飛ぶと、山本氏は次のように答えました。

「海のそばには支援者が多い。私の趣味である波乗りで繋がっている人がいる。もちろん海に入りましたよ。波は良くなかったです」

山本氏は、サーフィンはあくまで政治活動の一環だったと強調しました。しかし、その後の説明はさらに意外なものでした。

「レンタカーが1台だけしか空いておらず、アルファードだったんです。新車の。すごいですね…。私はずっとハイエースに乗っていた。ハイエースで高速でスピードを出すとかなりの音が出るんですが、(アルファードは)ものすごく静かですね。なんて言うかな。世界のトヨタだな、って思いました」

高速道路で時速149キロを出した理由として、車の静粛性に言及したことで、論点が大きくずれているとの印象を与えました。結果として、説明というよりも失笑を招く発言になってしまったと言えるでしょう。

会見の終盤には、東京新聞の望月衣塑子記者が「辞職とスピード違反には関係があったのではないか」と質問しました。これに対し、山本氏は語気を強めて次のように反論しました。

「今後、もし国会議員の中でスピード違反をしたとしても、辞職しなければならないという前例にはなってはいけないと思っているんです。もちろん死傷者が生まれたり、事故があったりした場合の話は別です。スピード違反というのはできればない方がいいが、うっかり出してしまうこともある」

そして最後は、「すみませんー、スピード違反しちゃって申し訳ないですぅ」と言い残し、会場を後にしました。

この会見をネット中継で見ていた山本氏の元私設秘書、渡邉勇磨氏(24)は、強い憤りを口にしています。

「うっかり149キロ出す人がいますか。もし1回だけだったなら、私は告発なんてしませんでした。私は何度も助手席で、人命を軽視しているとしか思えない運転を目撃しています。普段からハイエースで140~150キロ近く出すことは珍しくありませんでしたし、前を走る車に悪態をつきながら威嚇することもありました。このような人物が政治家であり続けるのはおかしいと思ったからこそ、スピード違反が発覚した後に、党費で『ねずみ取りレーダー』を購入するよう指示された証拠とともに、デイリー新潮へ告発したのです」

参照:149キロスピード違反を「世界のトヨタのせい」にして政界引退を表明したれいわ山本太郎氏