楳図かずおの『ゾク こわい本4 恐怖2』は、名作「高校生記者」シリーズの後半に加え、全12編を収録した一冊です。384ページという大ボリュームで、読み応えを存分に楽しめます。

その中でも特に印象に残ったのが、「4ねんめがこわい」です。絵柄は少女マンガを意識したような雰囲気があり、独特の味わいと初々しさを感じさせます。内容も恐怖マンガというより、むしろSFマンガに近い作品です。

主人公の夏川みどりは、貧しい家庭に生まれ、体も弱く、父親も定職に就いていませんでした。さらに友達からいじめを受けるなど、恵まれない環境で育ちます。しかし、4歳になった途端、人生は大きく好転します。体はみるみる丈夫になり、父親も会社勤めの仕事に就きます。

路地を元気いっぱいに駆け回る4歳のみどりの姿は、傑作マンガ『まことちゃん』を思い起こさせます。犬を踏みつけた勢いで太ったおばさんのお尻にぶつかり、はじき飛ばされる場面などは実にユーモラスです。

このように、みどりの人生には4年ごとに大きな幸運が訪れ、順調に進んでいきます。

ところが16歳になった年、いつものように幸運が訪れるはずだったにもかかわらず、状況は一変します。学校のテストは最低点、スポーツも最下位で、何をやってもうまくいきません。

 

父親の会社は倒産し、母親は山形の山神様へお参りに向かいますが、その途中で交通事故に遭い、山形の病院へ入院してしまいます。一家は家を売り払い、母親のいる山形へ移り住むことになります。

しかしその後、引っ越し前に住んでいたN市が大地震に見舞われ、壊滅したことを新聞で知ります。つまり、一連の不幸に見えた出来事は、結果的に一家を危険から遠ざけるための出来事だったのです。みどりは、自分たちが大きな災害を免れていたことに気づきます。

N市に特別な思い入れも友達もいなかったみどりは、やはり4年目は感謝すべき幸運の年だったのだと考えます。

(もちろん、「では地震の被害に遭ったN市の人たちはどうなるのか」という疑問は残りますが……。)

そしてみどりは、これからも4年ごとにすばらしい出来事が起こると信じ、明るい笑顔を見せます。

ところで、なぜ4年ごとに幸運が訪れるのかについては、作中で特に説明されません。それでも本作が面白いのは、楳図かずおの初期作品ならではの魅力があるからです。どこか少女マンガのパロディのようにも見える優しすぎる存在感が薄い父親の描写や、成長した主人公の姿には、昔の着せ替え人形を思わせる独特の味わいがあります。

このように『4ねんめがこわい』は、「こわい本」に収録されていながら恐怖マンガというよりSF色が強く、収録作品の中でも特に印象深い異色作でした。私にとっては、本書で最も面白かった作品です。