3年前に名古屋市内で女性2人を殺害した罪に問われている男の裁判員裁判が始まりました。初公判で、被告の曾我春暉被告(28)は起訴内容を認めています。
起訴状によると、曾我被告は2023年12月、名古屋市中区のマンションの浴室で、同居していた長野汐里さん(当時30)の顔を浴槽の水に沈めて殺害したとされています。
さらに、名古屋駅近くのカラオケ店で、当時20歳の女性の胸などを包丁で複数回刺し、殺害した罪にも問われています。
冒頭陳述で検察側は、「風俗店の経営が行き詰まり、精神的に追い詰められた被告が自暴自棄になり、身近にいた2人を殺害した」と指摘しました。一方、弁護側は事件当時、曾我被告が心神耗弱状態にあったと主張しています。
ただ、これまで報じられている内容を見る限り、曾我被告が精神科に通院していたという事実は確認できません。そのため、弁護側は「うつ病」や「心神耗弱状態」を根拠として刑の減軽を求める方針にも見えます。
また、カラオケ店での事件では包丁が使用されており、事前に凶器を準備していた可能性も考えられます。そのため、計画性の有無も裁判で争点のひとつになるのではないでしょうか。報道によると、彼女はアルバイトで貯めた150万円以上を曾我被告に渡していたとされています。
曾我被告は中学時代、柔道選手として90キロ超級の大会に出場した経験がありました。卒業後はラーメンチェーン店で修業を積み、その後は岐阜県内のラーメン店で店長を務めていたといいます。店長という立場を任されていたことを考えると、一定の社会性や責任感を備えていた人物だったこともうかがえます。
しかし、同居女性に対する犯行は極めて残忍なものに映ります。なぜ殺害に至ったのか、その理由はいまだ明らかになっていません。
曾我被告は身長190センチ近い体格で、数年前までは体重が130キロほどあったといいます。その後、胃の手術などによって大幅な減量に成功し、いわゆる「ホスト風」の外見へと変化していたと報じられています。
また、逮捕当時の報道では、犯行の背景として「風俗店の経営不振」が挙げられていました。曾我被告は当時、女性向け風俗店、いわゆる出張ホストの事業を立ち上げていたとされています。利用者のもとへ男性スタッフを派遣する形態のサービスだったようです。
曾我被告と同じ店で働いていた男性は、次のように証言しています。
「(曾我容疑者が始めた)新しい店の経営はうまくいっていませんでした。もともとは活発な性格でしたが、最近は元気がありませんでした。理由は分かりません。3カ月ほど前から連絡が取れなくなり、そのまま退店しました」
カラオケ店で殺害された20代女性とは仕事を通じて知り合ったとされています。一度は曾我被告の側から別れを切り出したものの、その後、復縁を求めていたとも報じられています。
また、事件当日は事前に会う約束をしており、カラオケ店で事件が起きるまでの間、2人は一緒に過ごしていたことも分かっています。
2人の女性を相次いで殺害した動機は、現在も明らかになっていません。それぞれの犯行にどのような理由があったのか。今後の裁判を通じて、事件の全容が少しずつ明らかになっていくのかもしれません。
