『日本会議の研究』(扶桑社新書)などで知られる著述家でフリーランス記者の菅野完(すがの たもつ)氏(51)の発言が、今ニュースで注目を集めています。菅野氏は6月3日の定例会見で、兵庫県の斎藤元彦知事(48)に対し、「人殺しやないか、お前は!」と発言しました。

●  名誉毀損容疑で刑事告訴
6月10日の定例会見で斎藤知事は、「極めて不適切な発言であり、公人としての受忍限度を超えている」と述べ、弁護士と協議しながら法的手続きを進めていることを明らかにしました。報道によると、斎藤知事は9日付で兵庫県警生田署に名誉毀損容疑で刑事告訴し、受理されたといいます。

斎藤知事の定例会見は原則として毎週開かれており、その様子はYouTubeでも数多く切り抜き動画として公開されています。それらを見るたびに感じるのは、斎藤知事の防御的な姿勢です。自身に不都合な質問には定型的な回答を繰り返すことが多く、質問に正面から向き合おうとしていないように映ります。

そのため、質問する記者たちがいら立ちを募らせている様子も伝わってきます。斎藤知事は疑問を払拭するような説明が十分にできず、自身の考えを説得力のある言葉で伝えられていない印象があります。その意味で、記者会見での対応は決して得意とはいえないでしょう。

一方で、県政のPRを名目としながら、自身の活動をSNSで積極的に発信することには熱心です。これほど多くの問題が周囲で取り沙汰されている状況であれば、通常はもう少し慎重な行動を取るのではないかと思います。その点に違和感を覚える人も少なくないでしょう。

●  懲戒処分を結果として受け入れた
発端となったのは、6月3日の定例会見でのやり取りでした。「公益通報者保護法違反問題」について記者から質問を受けた斎藤知事は、告発文書を作成した元県民局長について「懲戒処分を受け入れた」と発言しました。その根拠を問われ、次のように答えています。

「もし不服があれば、人事委員会への申し出などもできたわけですけれども、(元県民局長が)結果的にされなかったということで、懲戒処分を受け入れられたということです」

元県民局長は、その後、兵庫県が設置した第三者委員会から違法と認定された通報者探しや懲戒処分を受けた末、「死をもって抗議する」というメッセージを残して自死しています。

記者は、元県民局長が百条委員会に提出した文書の中で、「後輩たちを訴えることがどんなにつらいか」「不服申し立てをしなくて済む可能性が少しでも残っているのなら、ぎりぎりまで待ちたい」と記していたことを紹介しました。また、不服申し立てが可能な3カ月の期間内に元県民局長が亡くなっていることも指摘しました。

そのうえで記者は、「不服申し立てをしなかったと断定するのは、ひどいデマではないですか」と再質問しました。

●  人の死を愚弄するな!
斎藤知事が「結果として不服申し立てはされなかったということで……」と説明を続けようとした際、会見に参加していた菅野氏が割って入りました。

「死んだやんけ! 死んだからできひんかったやろ! 人の死を愚弄するな!」

さらに、斎藤知事が「大きい声を出されますので……」と言いかけると、菅野氏は「人殺しやないか、お前は!」と発言しました。

これに対し斎藤知事が抗議し、兵庫県政記者クラブの幹事社も「暴言と受け取れる発言があった」と指摘しました。

しかし菅野氏は、「僕の発言が暴言だというなら、今の受け答えは暴言ではないのですか。問題なのは使った言葉だけなのですか」と反論し、その後会見を退席しました。

菅野氏は自身のYouTube配信で、刑事告訴された件について「想定どおりに進んでいる」との認識を示し、余裕のある表情を見せています。

また、NHKの取材に対しては、「私の発言が暴言であるならば、知事のこれまでの発言はさらに深刻な暴言です。私は知事の言動について正当な意見・論評を行っただけであり、名誉毀損には当たりません」と述べています。

参照:「受忍限度を超えてる」兵庫県・斎藤知事 会見での「人殺しやないか!」発言を刑事告訴