“神の取次者”を名乗る男を中心に、二つの家族にまたがる計7人が逮捕される監禁事件が発生しました。被害者の家族までが監禁に関与したとされており、その背景には容疑者への強い信頼と依存関係があったとみられています。
● “有先生”と呼ばれ、深く信奉されていた
自らを「神のお告げの取次者」と称していた村上有容疑者(46)は、被害者の姉である桜容疑者が住む2階建て住宅に19歳の男性を監禁した疑いで逮捕されました。
また、村上容疑者の兄である順容疑者と、その妻の莉奈容疑者も逮捕されています。さらに、被害男性の父親である辰己勝容疑者、母親の貴子容疑者、姉の桜容疑者、弟の17歳の少年も逮捕され、逮捕者は計7人に上りました。

被害男性の父・辰己勝容疑者は奈良県橿原市(かしはらし)で建築関連会社を経営していました。会社経営が悪化した際に村上容疑者から助言を受けたことをきっかけに親交が深まり、家族ぐるみの付き合いへと発展したといいます。辰己容疑者一家は村上容疑者を「有先生」と呼び、強く信頼していたとされています。
勝容疑者は、素行不良だった息子を更生させるため村上容疑者に相談しました。その後、被害男性は村上容疑者が関わる飲食店で住み込みで働いていましたが、2025年12月に逃げ出しました。
男性は友人宅を転々としながら身を隠していましたが、今年5月6日に発見され、勝容疑者によって連れ戻されたといいます。その後、横浜市にある姉・桜容疑者の自宅で、8日朝まで監禁されていたとされています。
捜査関係者によると、監禁中、村上容疑者や辰己容疑者らは男性を下着姿にし、財布や携帯電話を取り上げました。さらに、バリカンで頭髪の一部を刈られたり、全裸で寝るよう強要されたりした疑いも持たれています。
● 容疑者の母親は「青天の霹靂」
今回の事件について、村上容疑者の母親は取材に対し、次のように話しています。
「監禁なんてしていません。親も一緒にいたのに何を言っているのでしょう。裸にしたのは逃げないようにするためです。逃げられたら追いかけられませんから。まさに青天の霹靂です。なぜこんなことになるのかと思っています」
また、「男性は嫌がっていたのか」と問われると、
「全然嫌がっていませんでした。黙って話を聞いていました。この子はうそばかり言うので、なかなか変わらないと思っていました」
と答えています。
さらに、“神のお告げの取次者”については、
「人助けをしているのです。病気のことでも何でも分かるので、それを伝えてきました。占いではありません。どうした方がいいかという証しが出るので、その通りに伝えるのです。実際に『言われた通りにしたらうまくいった』と言う人もいます。それが本当の神様の力なのです。本当に災難です」
と語りました。
男性はその後、奈良県へ連れ戻されたものの、隙を見て再び逃走しました。知人が警察へ相談したことで事件が発覚したとされています。
● 横浜出身の店主として知られていた村上容疑者
村上容疑者はどのような人物だったのでしょうか。
近隣住民は、
「どこかでイタリアンレストランを始めたと聞いていました。この辺でもよく踊っていたり、朝方に帰宅したりしていて、お酒を飲んでいるイメージがありました」
と話しています。
一方、近隣店舗の従業員は、
「悪い印象はありませんでした。挨拶すると笑顔で返してくれる気さくな人でした。事件を起こすような人物には見えませんでした」
と証言しています。
村上容疑者は飲食店「レストラン賀寿(GAJU)」の経営または運営に関わっていたとみられています。2021年6月28日付のヨコハマ経済新聞では、次のように紹介されていました。
「横浜出身の店主・村上有さんは『岩手県の山菜や香川県さぬき市のうどん、北海道留萌市の鮮魚など、全国の良質な食材を集めています。直接仕入れることで価格も抑えています』と話していました。また、『盛岡の名店「食道園」の冷麺に着想を得て考案した「盛岡風冷うん」もおすすめです』と紹介されています」
掲載写真を見る限り、店内は落ち着いた雰囲気で、おしゃれな空間づくりがなされていました。
村上容疑者が「神のお告げの取次者」を名乗っていたことから、宗教団体を運営していたのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、本業は飲食店経営に関わっていたとみられ、現時点で表立った宗教団体として活動していた事実は確認されていません。
ただし、母親の発言からは、村上容疑者が特別な能力を持っていると強く信じている様子がうかがえます。また、辰己家以外にも同様の関係性やトラブルが存在していなかったのかという点も気になるところです。
警察は、村上容疑者が自身の家族や辰己家の人々に対して精神的な影響力を持ち、支配的な関係を築いていた可能性も視野に入れて捜査を進めています。
参照:10代男性を“監禁”7人逮捕 「監禁なんかしてません」“神のお告げの取次者”の母親語る
