「プラダを着た悪魔2」 2026年製作 アメリカ 原題:The Devil Wears Prada 2
 

デビッド・フランケル監督による『プラダを着た悪魔2』は、前作から20年後を舞台にした作品です。雑誌存続の危機に直面するなか、かつてのアシスタントだったアンディと鬼編集長ミランダが再び手を組みます。それぞれ別の道で成長した元同僚たちも再集結し、華やかなファッション業界で新たな物語を繰り広げます。

監督は前作と同じデビッド・フランケルです。主演のメリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、スタンリー・トゥッチも続投しており、それぞれの20年後の姿を見られるのも見どころのひとつです。

映画が始まってすぐ、「この作品を選んだのは失敗だったかもしれない。やはり前作には及ばないのではないか」と感じました。

主人公の会社では、メール一本で社員たちに解雇が告げられます。混乱する様子は理解できるものの、物語全体が慌ただしく進み、登場人物たちが常に駆け回っているような印象を受けました。もう少し落ち着いて物語を見せてほしいと思う展開でした。

ところが、気づけばいつの間にか画面に引き込まれていました。中盤に差しかかる頃には物語の流れに自然と乗ることができ、ようやく映画を楽しめるようになった気がしました。

前作から20年が経ったとは思えないほど、出演者たちは若々しく見えました。43歳のアン・ハサウェイが30代にしか見えないことにも驚きましたが、あらためて感心したのは76歳のメリル・ストリープです。堂々とした貫禄と美しさは健在で、背筋の伸びた姿勢からは緊張感と人間味の両方が伝わってきます。その存在感は、さすがとしか言いようがありませんでした。

物語の背景には、紙媒体の衰退やSNS、インフルエンサーの台頭といった現代ファッション業界の変化があります。しかし、映画として印象に残るのは、やはり華やかなファッションの世界です。ファッションやブランドに関心の高い人なら、ぼく以上に楽しめる作品なのだろうと思いました。

また、映画の冒頭には葬儀の場面があります。大きなスクリーンに故人の肖像が映し出され、その前で4人のバイオリニストが演奏を行っていました。厳かに響くバイオリンの旋律は、弔いや追悼を象徴する名曲『死の舞踏』です。

このような葬儀の形式はなかなか良いものだと感じました。意味のわからないお経を、線香のむせ返るような香りのなかで聞くよりも、こちらのほうが心に残るように思えました。

公開前には、公式アカウントがアンディのアジア系女性アシスタントが登場する場面の切り抜き動画を投稿しました。その容姿や描写が「アジア人差別ではないか」と批判され、SNSで炎上しました。

その女性は、チェック柄のシャツにスカートを合わせ、大きな眼鏡をかけ、髪をきつくまとめた姿で登場します。そして名乗った名前が、中国人や中国系の人々をからかう際に使われてきた「チンチョン(Ching Chong)」を連想させる発音だったことから問題視されました。キャラクター名は「ジン・チャオ(Zen Chou)」です。ハイファッションに身を包んだ周囲の同僚たちと比べると、やや場違いな印象を与える描写になっていました。

さらに、初対面のアンディに対して自身の学歴やGPA(学業成績の指標)を早口で語る場面もあり、「勉強はできるが社会性に欠けるアジア系」というステレオタイプを強調しているとして批判を集めました。

中国ではボイコット運動が始まっているとも報じられていました。しかし実際に映画を観ると、この女性アシスタントは「RUNWAY」の危機を察知するうえで重要な役割を果たします。ぼくは公開前の騒動を知っていたため、どのように描かれているのか注目していましたが、作品全体を観た印象では、切り抜き動画だけが独り歩きして炎上した出来事だったように感じました。

参照:『プラダを着た悪魔2』公開直前に“アジア人描写”で炎上――日本・韓国で批判殺到