2024年4月、北海道旭川市の神居古潭(かむいこたん)で、当時17歳だった女子高校生の村山月(むらやま・るな)さんが橋から転落し、命を奪われた事件で、主犯格とされる内田梨瑚被告(23)の5回目の公判が5月29日に旭川地裁で開かれました。

被告は弁護側の被告人質問に対し、村山さんの転落について自らの責任を否定しました。また、繰り返し「死ね」と言ったことは認めたものの、「殺意はなかった」と主張しています。

しかし、公判で明らかになった被告の言動を見れば、その主張をそのまま受け入れるのは難しく感じられます。

● 無断転載を口実に金銭を要求
そもそも、この事件はなぜ起きたのでしょうか。

被告によると、発端は「村山さんに自分の写真を無断で使用されたこと」だったといいます。そして、その問題の解決金として、村山さんに10万円分の電子マネーを送金させようとしていました。

ただ、写真の無断転載という行為が、なぜここまで激しい怒りにつながったのかについて、被告から納得できる説明はほとんどありません。

むしろ、公判で明らかになった内容からは、無断転載を口実に金銭を要求し、それが思い通りにならなかったために村山さんを呼び出したという構図が浮かび上がります。その後、車内に監禁して連れ回し、わいせつな行為を加えた末に、橋の上から約10メートル下の川へ転落させたとされています。

さらに被告は、事件当日、村山さんを全裸にした状態で土下座をさせ、その様子を撮影したうえで、橋の欄干に座らせて「落ちろ」「死ねや」などと言ったとされています。

弁護人から、村山さんを全裸にさせた理由を問われた被告は、次のように説明しました。

「村山さんが死にたいと言っていたので、本当なのか確かめようと思いました。本当に死にたい人なら、理由もなく服を脱ぐことも平気だと思ったので『服を脱いで』と言いました。本当に脱ぐとは思っていなかったので驚きました」

しかし、この説明は理解しがたいものです。

「死にたいと思っている人なら、理由もなく服を脱ぐことに抵抗がない」という考え方自体に論理的なつながりが見えません。両者の間にどのような関係があるのか、説明からは読み取れませんでした。

また、被告は「本当に脱ぐとは思わなかった」と述べていますが、その言葉にも違和感があります。

当時の状況を考えれば、被告の要求は対等な立場でのお願いではなく、命令に近いものだったと考えるのが自然でしょう。現場には被告の仲間もおり、村山さんが強い心理的圧力を受けていたことは容易に想像できます。そのような状況で「驚いた」と語る被告の説明は、後付けの弁明のようにも聞こえます。

● 保護者の方とも話ができる
さらに、村山さんを橋の欄干に上がらせた理由について問われると、被告は次のように答えました。

「暴言や暴力を受けているのに、ずっと『死にたい』と言っていたので、ほかの方法を考えてほしかったです。もう一度謝れば、自分が悪かったことを理解すると思っていました。そうすれば『死にます』と言わなくなり、保護者の方とも話ができると思っていました」

しかし、この説明にも首をかしげざるを得ません。

「もう一度謝れば、自分が悪かったことを理解する」という考え方は、一方的で独善的に映ります。そもそも、村山さんが被告に対して命を脅かされるような扱いを受けなければならない理由は見当たりません。

また、「保護者と話をしたかった」という発言からは、保護者に対しても何らかの金銭的要求を考えていた可能性を連想させます。

このように、公判での被告の説明には理解しづらい点が多く、犯行の動機や意図がかえって見えにくくなっています。

少なくとも被告は、抵抗できない状態の村山さんを何度も橋の欄干に座らせ、「死ね」と罵倒し続けていました。

仮に、共犯とされる小西優花受刑者が証言した「背中を押した」という行為がなかったとしても、被告に重大な責任があることは否定できないでしょう。

● 自殺として処理される可能性がある
事件後、村山さんを悼むため神居古潭を訪れた旭川市内の男性は、現場について次のように語っています。

「神居古潭は昼間は観光地ですが、夜になると若者が集まる心霊スポットのような場所になります。鳴門海峡ほどではありませんが川には渦もできるので、昔から『人を落としても流されてしまう』という話が出る場所でした。

だからこそ、被告らはあの場所を選んだのではないでしょうか。たとえ遺体が見つかっても、自殺として処理される可能性があると考えたのかもしれません。

こうした発想は、旭川の繁華街『サンロク』に出入りする一部の人たちの考え方と似ています。ビルの非常階段から人を突き落としても事故として扱われるかもしれない、と考えるような発想です。

危険な考え方ですが、彼らは仲間内の結束が強く、誰も口を割らないと信じています。そのため、トラブルが起きても外部に情報が漏れにくい。仲間をかばい、逃がそうとする文化があるのです」

なお、「サンロク」とは旭川市の繁華街「さんろく街」の通称です。約1,000軒の飲食店が集まる道北最大級の歓楽街で、その名称は中心地の住所である「3条通6丁目」に由来しています。

参照:《旭川・女子高生殺害》「本当に死にたい人なら平気だと思い全裸にさせた…」
   「ヤンキーとかじゃなくてワル」逮捕された元キャバ嬢“サンロクのリコ”は元いじめっ子