兵庫県たつの市で発生した母娘殺害事件で、兵庫県警は元隣人の大山賢二容疑者(42)を殺人容疑で指名手配しています。大山容疑者は住所、職業ともに不詳で、現在も行方が分かっていません。
● 財布は残されたまま 金銭目的ではない可能性
事件が発覚したのは5月19日午前10時半ごろです。「被害者と連絡が取れない」との通報を受けて駆け付けた警察官が、自宅で倒れていた田中澄惠さん(74)と娘の千尋さん(52)を発見しました。
2人の遺体は自宅1階で見つかり、いずれも首などを複数回刺されていました。澄惠さんの死因は首の動脈損傷による失血死で、千尋さんは首の静脈や筋肉を損傷したことによる出血性ショックだったと確認されています。
また、2人には防御創があったことから、犯人は抵抗する2人を執拗に襲ったとみられています。5月13日夕方までは2人が電話で連絡を取っていたことが確認されており、その後に殺害された可能性が高いとみられています。凶器とみられる刃物は発見されていません。
さらに、室内には現金入りの財布が残されていたことから、捜査関係者は金銭目的の犯行ではないとみています。
県警は捜査本部を設置し、現場に残された遺留品などから大山容疑者を特定しました。5月23日に逮捕状を取得し、翌24日には顔写真を公開して全国に指名手配しています。
● 「家に入れず車で生活していた」との証言
近隣住民によると、田中さん親子は地域で大きなトラブルを抱えていた印象はなかったといいます。しかし、自宅は長年にわたりゴミ屋敷の状態だったとの証言もあります。
ある住民は次のように話しています。
「外から見ても分かるくらいの状態でした。家の中も足の踏み場がないほど物が積み上がっていました。澄惠さんのご主人は家に入れず、車の中で生活していたそうです。車内で新聞を読んだり、コーヒーを飲んだりしていました」
● 遺体発見前に警察と接触していた
実は大山容疑者は、遺体発見の数日前に警察と接触していました。
5月16日午後10時過ぎ、高砂市内で「歩道に寝ている人がいる」との通報があり、警察官が対応しました。その人物が大山容疑者だったとされています。
捜査関係者によると、職務質問を受けた際、大山容疑者は「人を殺した」と話したといいます。しかし、殺害相手や日時などの説明に具体性がなく、発言内容にも一貫性が見られなかったため、警察は信憑性が低いと判断しました。
その後、任意同行されたものの、最終的には遺体発見現場近くまで送り届けられたといいます。田中さん宅の南隣には、大山容疑者が生まれ育った実家がありました。
その後、大山容疑者の行方は分からなくなっています。当時の所持金は550円だったとされ、県警は遠方へ逃走したのではなく、周辺に潜伏している可能性も視野に入れて捜査を続けています。
● 父親の造園業を手伝っていた過去
大山容疑者はどのような人物だったのでしょうか。
近隣住民によると、子どもの頃は自宅裏の川の土手で遊ぶ、ごく普通の少年だったといいます。
地元の小中学校に通っていたとみられ、卒業後は父親の営む造園業を手伝っていました。しかし、その父親は10年以上前に亡くなっています。
その後は祖母と再婚相手と暮らしていたものの、やがて実家を離れました。祖母夫妻も亡くなり、実家は空き家になっていたため、近隣住民の多くは大山容疑者が戻ってきていたことを知らなかったといいます。
また、15年以上前に大山容疑者と父親へ庭木の手入れを依頼したことがある住民は、次のように振り返ります。
「お父さんは腕の良い造園職人でした。大山容疑者も手伝っていましたが、主な仕事は片付けやゴミ集めでした。とにかく無口な人で、ほとんど話した記憶がありません。黙々と作業する、おとなしい印象でした」
住民は「なぜ田中さん親子を襲う必要があったのか分からない。早く逮捕されて真相が明らかになってほしい」と話しています。
● ホストクラブ勤務の経歴も
週刊文春によると、大山容疑者にはホストクラブで働いていた時期があったといいます。
同級生は次のように証言しています。
「スーツ姿でコンビニにいたので『最近何しているの』と聞いたら、『姫路のホストクラブで働いている』と言っていました」
ただ、その仕事は長く続かなかったようです。その後、家庭環境の変化もあり、大山容疑者は実家を離れたとみられています。
最近は、たつの市内のコンビニでアルバイトをしながら生活していたという証言もあります。
● 遺体発見の約30分前に現場周辺で確認
大山容疑者とみられる男が、遺体発見のおよそ30分前に現場近くの防犯カメラに映っていたことも分かっています。
映像には、黒地に白いラインの入ったズボンを着用した男が歩く様子が記録されていました。その後、約30分後に再び同じ場所に現れた際には、上着の色などが変わっていたといいます。
男が歩いていた方向には田中さん親子の自宅があり、その後まもなく2人の遺体が発見されました。このため警察は、大山容疑者が事件直前まで現場周辺にいた可能性があるとみて捜査を進めています。
現在も大山容疑者の行方は分かっておらず、県警は周辺地域を中心に捜索を続けています。事件の動機や経緯など、不明な点は多く、今後の捜査の進展が注目されています。
参照:《たつの市・母子殺害》「どちらもゴミ屋敷のようになっていて…」近隣トラブルの可能性
兵庫・たつの市母娘殺害 公開手配中の男は遺体発見30分前に現場付近にいたか
【兵庫・たつの市母娘殺人】「ゴミ屋敷」を襲った“隣人ホスト”大山賢二容疑者(42)
