東京大学の学園祭「五月祭」で爆破予告があり、16日午後に予定されていた企画の一部が中止となりました。中止された企画には、参政党の神谷宗幣代表による講演会も含まれていました。

今年の五月祭は16日と17日に開催予定でした。神谷氏の講演会は、保守系学生サークル「右合の衆」が主催し、16日正午から東京大学本郷キャンパスで行われる予定でした。

● 卑劣な行為で中止に追い込まれ悔しい
関係者によると、16日朝に「右合の衆」へ爆破予告メールが届きました。これを受け、主催側は午前11時半から予定していた受け付けを中止し、不審物の確認など安全対応を進めました。しかし、神谷氏の日程調整が難しかったこともあり、午後1時過ぎに講演会の中止が決定しました。

さらに午後2時ごろからは、安全確認を理由に、ほかの企画への入場も一時停止されました。

「右合の衆」の山田泰氏は、「こういう『卑劣な行為』で中止に追い込まれたのは、悔しいし、許せない」とコメントし、爆破予告を送った人物に対する刑事告訴も検討していると明らかにしました。

東京大学も、「自由な学術の場である大学で開催される学園祭が、このような形で中止に至ったことは極めて遺憾です」とする声明を発表しました。その後、学生団体がキャンパス内の安全を確認し、17日の開催は予定どおり行われることになりました。

山田氏は、講演会を企画した理由について次のように説明しています。

「昨年5月、日本を守りたいという思いから団体を立ち上げました。現在は学部生と大学院生を合わせて25人ほどが参加しています。神谷代表を招いたのは、政治的立場を超えて、社会や政治について考える機会をつくりたかったからです。
 

学内では共産党関係者の講演会などは頻繁にあります。左寄りの発言機会ばかり多く、政治的バランスが偏っています。保守や右派といわれる論者も呼んでバランスを取りたかったのです」

今回の中止は、五月祭に参加していた学生たちにも大きな影響を与えました。

クイズ番組「東大王」に出演していた東京大学農学部の女子学生は、17日にXを更新し、自身が関わっていた企画で約40万円の赤字が発生したと報告しました。そのほかにも、東大生とみられる複数のユーザーが、イベント中止による経済的損失を訴えています。

● メール1本で経済的・社会的損失
爆破予告を行った人物の特定については簡単ではありません。一般的に、メールには「ヘッダー情報」と呼ばれる通信記録が含まれており、利用されたインターネット回線や大まかな地域は把握できます。しかし、個人の住所などを直接特定するのは難しいとされています。

それでも、過去には悪質なメールから送信者が特定された事例もあり、警察による捜査の進展が期待されています。

一方で、16日午前11時ごろには、東京大学正門前で約20人による抗議活動も行われました。参加者は、神谷氏の過去の発言を差別的だと批判し、「差別的な人物を呼ぶくらいなら開催しないほうがいい」といったメッセージを掲げていました。

今回の事件では、大きく三つの問題点が浮かび上がっています。

第一に、脅迫という犯罪行為によって企画が中止に追い込まれ、言論や対話の機会が失われたことです。異なる意見を暴力的な手段で封じ込める行為は、言論の自由を脅かしかねません。

第二に、学生や団体への経済的被害です。模擬店の食材準備やイベント制作にかかった費用が無駄になり、多くの団体が赤字を抱える結果となりました。

第三に、爆破予告のような行為によって、大規模イベントを容易に混乱させられる前例が生まれてしまったことです。社会的・経済的損失を引き起こせると示された影響は小さくありません。

今後は、入場管理の強化や不審物検査など、これまで以上に厳重な警備体制が求められる可能性があります。その結果、運営コストや学生側の負担がさらに増えることも懸念されています。

参照:「スキンヘッドの男性から“殺してやる”と言われ…」「東大五月祭」爆破予告騒動舞台裏
   東大「五月祭」爆破予告で途中中止...「多数の企画団体に損害・影響」と大学回答