テレビ番組「情報ライブ ミヤネ屋」は、ほかのニュース番組に比べて事件報道が丁寧なため、好んで視聴していました。しかし、京都男児遺棄事件に関する放送には疑問を持ちました。2時間近い番組の大半をこの事件に費やし、それが数日間続いていたからです。

視聴者は、京都男児遺棄事件の担当刑事でも警察関係者でも専門家でもありません。同じ事件の詳細を何日もさまざまな角度から見せられても、関心を持ち続けるのは難しいはずです。報道すべきニュースは、ほかにもあります。

京都男児遺棄事件の過熱報道に疑問を呈する著名人も増えています。小説家の山口恵以子さんも、具体的な報道時間を挙げてXに投稿していました。

「テレビは京都の小学生殺人事件を1日6時間も報道しているとか。一方、沖縄県辺野古の抗議船転覆事故の報道は、1週間で38分だったという。京都の事件は痛ましいが、あくまで個人的な問題で、社会的な教訓はない。辺野古の事故には、安全、教育、政治、学校など、多くの教訓が含まれている。もっと報道すべきです。」

辺野古の抗議船転覆事故の報道が少ないことについては、視聴者から放送倫理・番組向上機構(BPO)にも意見が寄せられています。

放送倫理検証委員会が4月10日に開いた会議では、3月に寄せられた視聴者の意見が紹介されました。その中では、3月16日に沖縄県名護市辺野古沖で発生した船の転覆事故について、「放送局全体で報道回数が少ないのではないか」と疑問視する声が多かったといいます。

また、ジャーナリストの今野忍氏も、辺野古のボート転覆事故をめぐる既存メディアの報道姿勢に対し、3月31日にXで疑問を投げかけました。17歳の命が失われた痛ましい事故でありながら、詳細を報じ続けているのが産経新聞だけである現状を問題視しました。

京都男児遺棄事件の過剰な報道と、事故後の問題点をほとんど報じない辺野古の抗議船転覆事故。この対比から、現在の報道姿勢の問題点が見えてきます。

大手メディアは「国民の関心」、つまり視聴率を優先し、政治的、社会的に複雑な問題を避ける傾向があります。京都の事件は人の感情に訴える要素が強く、連日の報道で関心を集めました。しかし、必要以上に細かな情報まで取り上げられ、時間を埋めるために漫然と報じられているようにも見えました。

一方、辺野古の抗議船転覆事故は、報道機関の姿勢や沖縄問題への向き合い方が問われる事例として、BPOへの意見やSNSで批判の対象になっています。本当に知るべきニュースが、メディア側の意図によって選ばれているのではないかという疑念も生まれています。

参照:「放送回数少ないのでは」辺野古転覆事故巡り 3月のBPOに多くの指摘寄せられる
   なぜ産経以外報じない? 元朝日・今野記者が問う辺野古17歳死亡事故「報道の闇」