医師の伊沢純容疑者(55)が、20代の女性患者に性的暴行を加えた疑いで、3月30日に逮捕されました。「医師でありながらわいせつ行為に及び、被害者の心を傷つけ、自身の人生も台無しにするとは、情けなく悪質だ」という感想で終わる、ありふれた事件の一つだと思っていました。ところが、Yahooの記事に掲載された検事・前田恒彦氏のコメントが目に留まりました。

「別の報道によると、(1)防犯カメラの捜査などから逮捕に至った、(2)警視庁は他にも被害者がいないか調べている、(3)過去にも同様の事件で逮捕されているという。」

過去にも同様の事件で逮捕されていたにもかかわらず、医師を続けていたのでしょうか。大きな疑問が残ります。では、今回の事件はどのような内容だったのでしょうか。

新宿署によると、伊沢容疑者は昨年8月8日、自身が経営する心療内科「東京クリニック」(新宿区歌舞伎町)の診察室で、20代女性に性的暴行を加えた疑いがあります。女性はこの日が初診で、睡眠薬を切らしていたうえ、かかりつけの病院が休診だったため、インターネットで見つけた同クリニックを受診しました。

容疑者は診察後に睡眠薬の処方箋を出し、近くの薬局まで同行しました。薬を受け取った後、「診察がまだ終わっていない」と言って女性をクリニックへ連れ戻し、玄関に鍵をかけて雑談を続けたうえで、性行為などを求めたとされています。

女性は「鍵をかけられ、抵抗すれば帰してもらえないかもしれないと思った」と話しています。警察は、女性が要求を拒否できない状況にあったとみて調べています。女性の交際相手が容疑者の過去の逮捕歴を知り、被害当日に新宿署へ相談しました。

伊沢容疑者は、女性に訴えられる可能性を考えなかったのでしょうか。彼にはこれまでに7回の逮捕歴があります。患者が、自分の担当医にこれほどの前歴があるとは想像しないでしょう。

伊沢容疑者の問題は2006年頃にさかのぼります。当時、女性患者の髪をつかんで壁に頭を打ちつける傷害事件を起こし、有罪判決が確定しました。この件で医業停止2年の処分を受けています。2008年には元患者に対するストーカー規制法違反や脅迫の疑いで逮捕・書類送検され、「一生追い詰めて破滅させる」と復縁を迫ったとされています。

さらに2011年頃には、診察を行わずに向精神薬を大量に処方したとして医師法違反に問われ、罰金刑の有罪判決が確定しました。こうした前歴を並べると問題の深さが浮き彫りになりますが、より重要なのは、医業停止処分を受けても医師免許が取り消されない点です。

今回の不同意性交の疑いも、現時点では逮捕段階であり、有罪かどうかは今後の判断を待つ必要があります。しかし、過去の処分歴が積み重なっても自動的に免許取消とならない運用には疑問が残ります。このような制度の不備が、被害の拡大を招いている可能性があります。本件の背景には、こうした構造的な問題があるといえます。

参照:歌舞伎町東京クリニック 不死身精神科医伊沢純容疑者 不同意性交で7回目逮捕
   患者に性的暴行容疑、歌舞伎町のクリニックの医師逮捕 容疑者は黙秘