俳優ケヴィン・スペイシーといえば、1995年公開のサスペンス映画『ユージュアル・サスペクツ』が印象に残っています。作品を見進めるうちに、ほかの出演者以上に存在感が際立ち、気づけばスペイシーの演技ばかりを目で追っていました。

卓越した演技力と強い魅力を持つ俳優が現れたと感じたものです。そのスペイシーは2017年以降、複数の男性への性的暴行やセクシャルハラスメントの疑惑により、ハリウッドの第一線から退き、法廷闘争や経済的な困難に直面しました。

2017年には、過去の性的不祥事を複数の男性から告発され、Netflixの看板作品『ハウス・オブ・カード』を降板しました。さらに、撮影中だった映画『ゲティ家の身代金』では出演シーンがすべて撮り直されるなど、大きな影響が広がりました。

『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は、冷徹な政治家が裏切りと策略を駆使し、ホワイトハウスの頂点へと上り詰める政治サスペンスです。評価は高いものの、ぼくには合わず、数話で視聴をやめた記憶があります。

制作会社メディア・ライツ・キャピタル(MRC)は、スペイシーの降板に伴うシーズン6の脚本修正や撮影中断の損害をめぐり提訴しました。結果として、スペイシーには3100万ドル(約46.8億円)の支払い命令が出されましたが、2024年2月には100万ドル(約1.5億円)で和解したと報じられています。

この大幅な減額の背景には、別の裁判の影響があるとみられています。MRCは損失回収のため、スペイシー本人に加え、保険会社ロイズおよびファイアマンズ・ファンドも提訴しました。

最終シーズンをめぐる争点は、MRCと保険会社の対立へと移ります。MRCは、俳優の出演不能に備えて保険をかけており、スペイシーがスキャンダル発覚後にリハビリ施設でセックス依存の治療を受けていた点を「病気」として保険適用を主張しました。

一方、保険会社は「降板の原因はスキャンダルであり、補償対象外」と反論しました。この裁判では、スペイシー側が調査協力や医療記録の提出を拒否したために障壁となったと伝えられています。

そして2026年3月、スペイシーの降板に関連する保険金請求訴訟で、MRCの請求は退けられました。

スキャンダルによって大きな打撃を受けたスペイシーですが、訴訟ではなく作品で再び注目されることを期待しています。俳優としての実力を示す新たな名作への出演を望みます。

 

参照:ケヴィン・スペイシー「ハウス・オブ・カード 野望の階段」100万ドル支払いで合意
   ケヴィン・スペイシー裁判で決着 製作会社が敗訴、100万ドル請求はなぜ認められない