「アメリカン・マーダー: 一家殺害事件の実録」2020年製作 アメリカ
原題:American Murder:The Family Next Door
Netflixのドキュメンタリー映画『アメリカン・マーダー: 一家殺害事件の実録』は、2018年にアメリカで発生した実際の殺人事件を扱った作品です。
物語は、妻シャナン(34)が幼い子どもたちと幸せに暮らす様子から始まります。ある日突然、妻と子ども二人が失踪します。仲睦まじく見えた家族の裏側には不穏な空気が漂い、夫クリス・ワッツ(事件当時33)は次第に追い詰められていきます。
警察は取り調べの中でクリスにこう尋ねます。
「数年前の写真を見ましたが、体を鍛えましたね。浮気を始めた人によくあることなんです。あなたは?」
「私は浮気なんて……」
「やせましたね」
「ありがとう。今は83キロぐらいです」
「やせようと思わせる女性は?」
「いいえ、浮気をしたことはありません」
しかし警察の指摘どおり、クリスが同僚の女性と不倫関係にあったことが後に明らかになります。
一方で、妻シャナンの言動もSNSの動画を中心に描かれます。クリスの両親のもとへ子どもを連れて遊びに行った際、義母が出したアイスクリームが子どものアレルギーを引き起こす可能性があるとして、シャナンは激怒します。「娘を殺す気か!」と強く非難します。
それ以降、シャナンは子どもを義両親に会わせなくなります。また、夫が性行為に応じなくなったことを友人へのメールで嘆き、クリス本人にも強い口調で責め立てます。こうした関係の悪化が、クリスの不倫、そして事件へとつながったのかもしれません。殺害の動機については、もう少し深く描いてほしいと感じました。
結果として、シャナンがSNSに投稿していた、夫が子どもたちと楽しそうに遊ぶ姿からは想像もできない結末を迎えます。
ワッツ容疑者は、離婚を切り出した後にシャナンが娘のセレステちゃん(3)とベラちゃん(4)の首を絞めたと説明し、自身は激高してシャナンを殺害したと主張しています。しかし警察は、クリスが家族全員を殺害したとみています。
妊娠15週だったシャナンの遺体は、クリスが勤務していた石油会社の敷地内にある浅い穴から発見されました。娘二人の遺体はその後、付近の石油タンクの中で見つかっています。かつてシャナンがSNSで語っていた「彼と出会ったのが人生で最高の出来事です」という言葉も、今では悲しい響きとして残ります。
