夫を毒入りカクテルで殺害した後、家族を失った悲しみを乗り越える内容の絵本を出版していた米国の30代の女性に対し、陪審団が有罪評決を下しました。
ユタ州在住の不動産業者コウリ・リチンズ被告(35)は、夫エリックさん(当時38)のカクテルに致死量のフェンタニルを混入し、2022年3月に死亡させた疑いが持たれています。陪審団は、殺人未遂や偽造、保険金詐欺などの罪についても、すべて有罪と認定しました。

犯行に使われたフェンタニルは、モルヒネの約100倍の鎮痛作用を持つ強力な麻薬です。がんの痛みの緩和や手術時の麻酔に使われる一方、依存性が強く、2mgで致死量に達します。炊いた米1粒がおよそ20mgであることから、2mgはその約10分の1の量に相当します。
リチンズ被告は逮捕直前の2023年5月、親を亡くした子どもが悲しみを乗り越える過程を描いた児童書『Are You with Me?(ここにいるの?)』を自費出版していました。検察は、この出版によって自らを「夫を亡くし悲しみを乗り越えた未亡人」に見せかけ、犯行の発覚を免れようとしたと主張しています。
また、リチンズ被告は地元ユタ州のテレビ局に出演し、死と向き合う子ども向けの本の重要性を語っていました。3人の子どもも執筆を手伝い、自分たちの気持ちを表現する助けになったと話していたといいます。この点を踏まえると、子どもに与えた影響の大きさも見過ごせません。
検察によると、リチンズ被告には約450万ドル(約7億1600万円)の負債があり、夫の死亡によって約400万ドル(約6億円)相当の資産を相続できる状況でした。これが犯行の動機になったとみられています。
さらに、夫に無断で総額200万ドルに上る複数の生命保険に加入していたことも明らかになりました。結婚生活には常に不満を抱えており、別の男性と交際しながら新たな生活を計画していたことも分かっています。
事件の1カ月前のバレンタインデーにも、フェンタニル入りのサンドイッチを食べさせて意識を失わせるなど、犯行を試みていました。エリックさんは当時、死ぬかと思ったと友人2人に話し、そのうちの1人には「妻が毒を盛ろうとしていると思う」と打ち明けていたといいます。
こうした経緯を踏まえると、エリックさんが危険を感じていながらも回避できなかった可能性があり、悔やまれます。一方で、被告の行動には計画の甘さも見られ、妻の交際関係やその後の意図について、エリックさんがある程度察していた可能性も考えられます。
裁判所は、5月13日に量刑を言い渡す予定です。最低25年から最長で終身刑が科される可能性があります。なお、この日は亡くなったエリックさんの44回目の誕生日にあたります。
参照:夫を失った悲しみ題材に絵本を出版した妻、夫殺害の容疑で逮捕 米ユタ州
夫を毒殺後に「悲しみ克服の絵本」出版した米女性…事件発生から4年を経て有罪評決
