
「フォールガイ」2024年製作 アメリカ 原題:The Fall Guy
映画『フォールガイ』は、元スタントマンのデヴィッド・リーチ監督が手がけた作品です。リアルなアクションと、映画制作の裏側への深い愛情が感じられます。
スタントマンのコルト(ライアン・ゴズリング)は、大スターのスタントを担当していますが、ある事故で重傷を負ってしまいます。18か月後、コルトはプロデューサーから新作映画への参加を依頼されます。
最初は迷いますが、その作品が元恋人ジョディ(エミリー・ブラント)の初監督作だと知り、未練の残るコルトは引き受けることにします。やがて彼は思いがけない大きなトラブルに巻き込まれますが、卓越したスタントスキルで切り抜けていきます。
本作には命がけのアクションが数多く登場します。車が8回転半も転がるシーンはギネス記録に認定されています。さらに火だるまになるシーンも何度も登場し、見ているだけで熱さが伝わってくるようです。45メートルの落下シーンも迫力があり、強いスリルを感じました。
こうした危険なアクションを見ていると、映画におけるスタントマンの存在の大きさを改めて感じます。本作には、普段は表に出ない裏方であるスタントマンへの敬意が込められています。怪我のリスクや、正当な評価を得にくい現実もユーモアを交えて描かれています。
ジョディ念願の初監督作は、SF映画『メタルストーム』として登場します。この作品は実在する映画だそうです。
『フォールガイ』の中で描かれる『メタルストーム』は、SF超大作という設定です。そのためコルトの職業であるスタントマンの技術が存分に発揮される場面が用意されています。
元ネタの『メタルストーム』は興行的には成功しませんでしたが、本作ではその再現にかなり力が入っています。プロダクションデザイナーのデビッド・ショイネマンとチームは、小道具に至るまで本編に近い形で作り上げました。
ただ、アクションの迫力が際立っている一方で、物語の部分には少し物足りなさを感じました。
スタントマンのコルトと元恋人ジョディの恋の再燃が描かれますが、二人の関係を揺さぶるようなライバルが登場しません。そのため、物語の起伏がやや弱く感じられました。
また悪役のキャラクターも迫力に欠けます。コメディ調なのはよいのですが、もう少し人物像に深みがあれば、アクションの魅力もさらに引き立ったように思います。
本作は「頭を空っぽにして楽しめるエンターテインメント」と言われています。確かに気軽に楽しめる作品ですが、ぼくは物語の面で完全には入り込めなかったようです。
参照:【ネタバレあり】「フォールガイ」劇中映画は実在した映画だった スターのカメオ出演